バイオ
鶏卵黄や燕窩から得るシアル酸糖鎖物質と速放性持続滞留型ガム製剤により、市民レベルでのパンデミック予防に貢献
奈良県
ダイヤ製薬株式会社
2025年1月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ウイルス不活化機能を有するシアル酸糖鎖物質の抽出技術ならびに速放性持続滞留型ガム製剤技術の開発 |
---|---|
基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、食品 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加) |
キーワード | シアル酸糖鎖物質、ウイルス、感染予防、燕窩、卵黄 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染阻害機能を有するシアル酸糖鎖物質を、安全性が高く、SDGsに準拠する鶏卵黄および燕窩から効率的に得る抽出・可溶化技術を開発し、これを添加したガム製剤を創製した。これにより、市民レベルでの感染症予防に貢献する基盤を確立した。
開発した技術のポイント
・シアル酸糖鎖物質の抽出技術
-卵黄と燕窩から脂質と不純物を除去し、シアル酸糖鎖物質を効率的に抽出する技術を開発した。
-卵黄はエタノール脱脂、燕窩は熱水による抽出で、抽出精度と安定性を向上。
・ウイルス不活化技術
-抽出したシアル酸糖鎖物質がインフルエンザウイルス(H1N1)およびSARS-CoV-2に対して感染阻害活性を示すことを確認。
-各ウイルスの感染阻害濃度(IC50)を測定し、ガム製剤に適した添加量を決定。
・ガム製剤への応用
-シアル酸糖鎖物質を含有するガムの製造技術を確立し、唾液中への放出量を実証。
-ガム中のシアル酸糖鎖物質が口腔内で効果的に放出されることを確認し、持続的な抗ウイルス効果を期待。
・安定性評価
-ガム製剤の安定性試験を実施し、褐変や有効成分の劣化がないことを確認。
・産業化への対応
-各工程の効率化とコスト削減を図り、実用化に向けた量産システムを検討中。
具体的な成果
・食品(卵黄及び燕窩)からの脂質および不純物の除去技術の開発
-卵黄から脱脂、燕窩から不純物除去の技術を確立した。
-脱脂卵黄、不純物除去燕窩からシアル酸糖鎖物質を抽出・回収する技術を確立した。
・ガム製剤の持続放出機能付加設計
-シアル酸糖鎖物質含有ガム製剤の創製技術を確立した。
・製剤評価試験方法の検討と実施
-インフルエンザウイルスおよびSARS-CoV-2に対するシアル酸糖鎖物質の感染阻害活性を IC50 値または TCID50 値で数値化する技術を確立し、 シアル酸糖鎖物質を添加したガム製剤を創製した。
-HPLC によるシアル酸の定量技術を確立した。
知財出願や広報活動等の状況
・特願2021-66792 シアル酸誘導物質含有剤含有製剤、及び、シアル酸誘導物質含有剤含有製剤の製造方法 *国立感染症研究所との共同出願
・特願2020-170167 ヨウ素担持高分子材料の製造方法、及び、ヨウ素担持高分子材料
研究開発成果の利用シーン
・唾液分泌促進、口臭予防、集中力向上、眠気防止。
・ニコチンガムで禁煙支援。
・抗ウイルス、記憶力維持、体脂肪減少効果。
・健康志向の消費者向け製品の開発。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
ダイヤ製薬は、新奈良工場での機能性ガム製造ラインの設置に向けた事業化を進めている。新奈良工場は、奈良県高取町に建設予定で、敷地面積約30,000㎡、延床面積5,202.55㎡の環境に配慮した工場となる。既に医薬品や冷却シートを製造している現奈良工場に加え、機能性ガムも製造予定である。また、食品製造業許可を取得し、GMPやHACCP基準に基づいた生産体制を構築中である。販売については、OEM販売を基本とし、海外メーカーやネット販売を通じて市場開拓を図っている。さらに、インフルエンザウイルス感染予防としての普及も目指している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・機能性ガムの多様な効果
-唾液分泌促進、口臭予防、眠気防止、集中力向上など、多くの健康効果が期待できる。
-禁煙サポートやカフェイン配合など、ライフスタイルに合わせた多機能ガムを提供。
・天然成分の配合による付加価値
-抗ウイルス効果を持つシアル酸糖鎖物質など、健康をサポートする天然成分を配合。
-無糖や低カロリーといった健康志向に対応した製品。
今後の実用化・事業化の見通し
・市場の成長見込み
-世界的にチューインガム市場は2028年までに318億米ドルに達する見通し。
-無糖や機能性ガムの需要拡大により、健康志向の製品が成長のカギとなる。
・製造体制の整備
-奈良工場に最新のGMP適合設備を設置し、医薬品や機能性ガムの生産を計画中。
-現在、建設用地の整備と開発行為申請が進行中。
・販売戦略の構築
-OEMを基本とし、他企業と連携した市場展開を目指す。
-海外メーカーやネット販売を通じた販路拡大を計画。
・許可取得と品質管理
-GMPやHACCP基準に基づく食品製造業許可を取得し、品質管理体制を整備。
実用化・事業化にあたっての課題
・機能性食品届出に関する課題
-安全性の確保と科学的根拠の提示が必要。
-消費者への正確な情報提供が求められる。
-サプリメントの安全性問題により、制度の見直しが進行中。
・事業化に向けた技術開発の課題(ハード面)
-新工場の建設に向けた行政手続きや安全対策の整備。
-新技術であるガム製造技術の導入と工場建設の推進。
・事業化に向けた技術開発の課題(ソフト面)
-GMPやHACCPに基づく製造・品質管理体制の構築。
-文書管理規定の整備と運用体制の確立。
事業化に向けた提携や連携の希望
●アドバイザーであるピジョンホームプロダクツ株式会社、株式会社奈良大和生薬をはじめとする新マーケット創設を目指すメーカーとのOEM販売を目的に検討を進めている。
●OEMでの販売を基本として進めると同時に、ダイヤ製薬が展開する海外メーカーへの販売やグループ会社のネット販売など幅広く市場開拓に努め、これまでにない市民レベルによるインフルエンザウイルスに関する「感染予防法」としての普及に努める。
●海外への販路開拓については、これまで弊社での取引先である企業について、先ずは先行しプレゼンテーションを進める計画である。弊社の取引海外企業としては、ヨーロパにおいては、イギリス、スペイン、フランス、スイス、イタリア、ドイツ、トルコ、ベルギー、オランダ、ウクライナ、コソボ、そしてアジア諸国では、韓国、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、台湾、中国、香港、インドネシア、フィリピン等含め約30ヶ国に広がる。
プロジェクトの実施体制
事業管理機関 | 公益財団法人奈良県地域産業振興センター |
---|---|
研究等実施機関 | 横浜薬科大学 |
アドバイザー | 滋賀医科大学 徳島文理大学 香川大学 ピジョン株式会社 株式会社奈良大和生薬 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ダイヤ製薬株式会社(法人番号:8150001010661) |
---|---|
事業内容 | 医薬品・化粧品・健康食品・ヘルスケア製品の製造・販売 |
社員数 | 204 名 |
生産拠点 | 奈良工場 奈良県高市郡高取町越智129番地2 兵庫工場 兵庫県丹波市柏原町大新屋字三ツ町60番地1 |
本社所在地 | 〒634-0835 奈良県奈良県橿原市東坊城町503番地 |
ホームページ | https://dia-pharma.com/ |
連絡先窓口 | 管理部 平井純子 |
メールアドレス | j-hirai@dia-pharma.com |
電話番号 | 0744-21-5577 |
研究開発された技術を探す