製造環境
微細化が進む半導体プロセスの性能や歩留まりに影響する水分ガス濃度をインライン/リアルタイムで高感度に検出可能なユニットを提供する
大阪府
株式会社フジキン
2025年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 半導体プロセスにインライン搭載可能な微量水分検出ユニットの研究開発 |
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基盤技術分野 | 製造環境 |
対象となる産業分野 | 情報通信、スマート家電、半導体、エレクトロニクス、半導体製造装置業 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上) |
キーワード | 半導体製造,水分,微量水分濃度,その場計測 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
半導体製造における水分混入の影響を解決するため、高感度な水分検出ユニットの開発を目指す。具体的には、インラインでのリアルタイム測定が可能なシステムを構築し、プロセスライン内の水分を常時監視できる環境を整える。これにより、プロセス機器の腐食を防ぎ、集積回路の品質を維持・向上させることが狙いである。新技術として、TDLAS方式を活用し、感度を向上させつつユニットの小型化を実現する。この研究は、半導体製造プロセスの効率化と歩留まり改善に寄与し、業界全体の技術革新に貢献することを目指している。
開発した技術のポイント
・水分吸収特性測定
-近赤外域での水分の吸収特性を明らかにし、高分解能の近赤外分光器を搭載した装置を用いてデータを取得。これにより、高速制御・モニタに寄与する技術が確立された。
・高純度ガス供給ユニットの開発
-水分検出ユニットが正確な濃度を測定できるよう、基準水分濃度を供給するガスシステムを製作。1ppb~100ppmの範囲で高精度なガス供給を実現。
・小型検出ユニットの開発(Fig.)
-新パルスTDLAS方式を採用し、レーザダイオードの高速パルス制御と水分吸収波長のマッチング技術を確立。光学的改良により低ノイズ化と光量バックグラウンドのフラット化を達成。
・信頼性試験
-小型検出ユニットの圧力・温度依存性や長期安定性を評価するための試験装置を設計・製作し、実際の半導体製造環境での性能を検証。
具体的な成果
・水分濃度検出下限界1ppbの達成
-小型検出ユニットにおいて、光学的改良を通じて1ppbの水分濃度検出下限界を達成し、高感度化に成功。
・新システムの実証
-信頼性試験を通じて、新パルスTDLAS技術や低ノイズ化技術を統合したシステムの性能を確認。インライン・リアルタイムでの水分計測が可能であることを実証。
・設計仕様の確認
-試作した検出システムが各種試験の仕様を満足することが確認され、今後の製品化に向けた重要な基盤を提供。
・温度条件の最適化
-検出フォトダイオードの改良により、使用温度を100℃に設定し、半導体製造設備に適した設計を実現。
研究開発成果の利用シーン
新パルスTDLAS技術による微量水分検出ユニットを半導体製造プロセスにインラインで搭載し、チャンバーからの水分放出をリアルタイムで計測。これにより、製造プロセスのクリーン化を進め、半導体製造の歩留まり向上や品質改善に寄与。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
水分検出ユニットはサンプル出荷段階にあり、装置メーカーやエンドユーザーとの技術交流会を通じてニーズを把握しつつ、製品化を進行中。リアルタイムモニタリングや水分検出に対する需要を捉え、さらに高温対応やサイズ縮小を目指して改良中。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造
製品・サービスのPRポイント
・高感度の水分検出(5ppb)を可能とする新パルスTDLAS技術に基づくユニット
・半導体プロセスのクリーン化をサポートし、品質向上と稼働率の向上に貢献
・インラインかつリアルタイムモニタリングを実現し、現場のニーズに応える設計
今後の実用化・事業化の見通し
ユーザーとの協議に基づき、さらなる小型化と高温対応を進めることで、半導体製造現場でのインライン計測ニーズに応える製品としての普及が期待される。サンプル出荷段階からの量産展開に向けて、改良を加えていく見通し。
実用化・事業化にあたっての課題
・現状では感度(5ppb)とサイズの最適化が十分ではなく、さらなる小型化が必要
・高温対応が現段階では不十分であり、150℃程度までの温度に耐える改良が必要
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社フジキン 大阪R&Dセンター |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター 技術振興部 |
研究等実施機関 | 国立大学法人徳島大学 社会産業理工学研究部・出口祥啓 |
アドバイザー | 東北大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社フジキン(法人番号:5120001046991) |
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事業内容 | バルブ機器を中心とする超精密流体制御システムの開発・製造および販売。 |
社員数 | 1692 名 |
生産拠点 | つくば市(茨城県)、奥州市(岩手県)、柏原市(大阪府)、東大阪市(大阪府)に工場を保有。グループ子会社として、海外(アメリカ、アイルランド、ベトナム、中国、韓国)にも展開。 |
本社所在地 | 〒550-0012 大阪府大阪市西区立売堀2丁目3番2号 |
ホームページ | https://www.fujikin.co.jp/ |
連絡先窓口 | 大阪R&Dセンター 永瀬正明 |
メールアドレス | m-nagase@fujikin.co.jp |
電話番号 | 06-6612-0251 |
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