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測定計測

炭化ケイ素基板に潜在する欠陥をUV照射により可視化し、それをAI画像解析により高速にスクリーニングする装置の開発

滋賀県

株式会社アイテス

2025年1月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 次世代パワー半導体用SiC(炭化ケイ素)基板に潜在する通電拡張型欠陥の可視化及び、製品の高信頼性化を実現する高速AI抽出によるスクリーニング技術の研究開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 自動車、半導体、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)
キーワード SiC (炭化ケイ素),化合物半導体,通電劣化,結晶欠陥,スクリーニング技術
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

次世代パワー半導体用SiC基板に潜在する欠陥を可視化するための高速AIスクリーニング技術の開発を行った。特に、通電劣化現象とUV照射条件の相関性を定量化し、通電によって拡張された欠陥を高い精度で検出する技術を確立。既存の検査装置では検出できなかった欠陥を新たに検出する技術が開発された。

開発した技術のポイント

・UV照射による欠陥拡張と完全可視化技術
‐TED転換したBPD(ショックレー型積層欠陥)の検出
・AIによる高速良否判定
‐画像処理技術を活用し、検査工程の効率化を実現
・タクトタイムの短縮
‐6インチウェハで60分未満の検査時間を達成
・信頼性向上のための欠陥縮小工程
‐拡張した欠陥を再び縮小する条件を確立

具体的な成果

通電劣化した欠陥に対するUV照射による再現性が95%以上となり、従来検出が困難であった欠陥の可視化に成功した。また、タクトタイム60分未満の検査システムを確立し、SiC基板の製品化に向けた実用性を高めた。これにより、バーンイン工程を置き換えることで、リードタイムの短縮および製品信頼性の向上が期待されている。

知財出願や広報活動等の状況

・特許出願
国際出願番号: PCT/JP2021/007020
国際出願日: 2021年2月25日
発明の名称: 欠陥検査方法、及び欠陥検査装置
・特許取得
特許番号: 特許6999212号
登録日: 令和3年12月24日
発明の名称: 欠陥検査方法、及び欠陥検査装置

研究開発成果の利用シーン

次世代パワー半導体用SiC基板の欠陥を可視化し、製品の高信頼性化を実現する検査装置に応用される。想定される市場としては、ニーズが高いと思われる順にパワー半導体メーカー、自動車・車載メーカーの半導体部門、続いてSiCウェハ製造メーカーである。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

多くの潜在顧客との直接のやり取りを通じ、研究開発の有用性や課題を把握する貴重な機会を得た。具体的には、ローム、トヨタ自動車、デンソー、サンケン電気、富士電機、東芝デバイス&ストレージ、サイコックス、Soitec(フランス)、レゾナック、Wolfspeed(米国)、Infinion(ドイツ)、On-semiconductor(米国)、Bosch(ドイツ)などが挙げられる。また、グローバル展開の一環として、令和3年度と4年度には国際的なSiC関連学会「ICSCRM」に論文を発表し、特に令和4年度にはスイスの現地会場で直接関係者と交流することができた。

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

SiCウェハの欠陥可視化技術は、通電劣化による欠陥を高精度に検出し、従来の検査工程を短縮する画期的な技術である。特に、AIを活用した自動化された判定技術により、検査の効率化と高い信頼性が実現されている。また、短時間での欠陥縮小処理も行える点が他社製品にはない強みである。

今後の実用化・事業化の見通し

今後の事業化の見通しとしては、川下企業の要求を満たす有用性と有効性の定量化が鍵となる。すでにSiCウェハ製造メーカー、パワー半導体メーカー、自動車・車載メーカーとのやり取りを通じてニーズの把握とシーズの獲得はできており、東京エレクトロンデバイスとの協業により、量産向け検査装置の製品化スピードが加速する見込みがある。3年後の事業化の実現性は高いと考えている。
本事業で確立したE-V-Cスクリーニング技術の検査結果に対する顧客の評価も好評であり、令和5年5月から検査受託サービスを開始している。このサービスを通じて、顧客からのフィードバックを迅速に反映し、ラボ用検査機器の生産・販売を当初の計画より1年早い令和6年度に開始する予定である。

実用化・事業化にあたっての課題

SiCパワーデバイスの汎用性を高めるためには、さまざまなデバイス製品を使用し、通電条件とUV照射条件の相関性をさらに検証する必要がある。また、顧客からの意見により、タクトタイムを現行の60分からさらに短縮できれば、装置の魅力が一層高まることが確認されたため、タクトタイムの短縮も今後の課題となっている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アイテス
事業管理機関 公益財団法人滋賀県産業支援プラザ 連携推進部 プロジェクト管理室
研究等実施機関 滋賀県工業技術総合センター
アドバイザー 国立大学法人名古屋工業大学
東海国立大学機構名古屋大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アイテス(法人番号:1160001016292)
事業内容 1.解析・信頼性評価事業: 電子部品各種データ収集から故障解析までの解析・評価、研究開発・製造における原材料評価および特性評価、2. 検査装置開発事業: 太陽光パネル検査・測定器の開発・販売、3. 電子機器修理事業: 産業用機器およびパソコンの修理、4. ウェハー加工事業: ウェハー加工サービスおよび販売
社員数 102 名
本社所在地 〒520-2151 滋賀県大津市栗林町1丁目60番
ホームページ https://www.ites.co.jp/
連絡先窓口 代表取締役社長 五十嵐靖行
メールアドレス yiga@ites.co.jp
電話番号 077-599-5015