バイオ
豊かで持続可能な社会をバイオの力でデザインする
愛媛県
株式会社ユーグリード
2025年2月27日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ユーグレナ由来の高アスペクト比パラミロンナノファイバーの大量調製法確立と素材利用への展開 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、自動車、農業、食品、建築物・構造物、印刷・情報記録、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、環境配慮 |
キーワード | バイオ、ユーグレナ、パラミロン、ナノファイバー、自然素材 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
宮崎大学が開発した新種のユーグレナ株を高効率で培養し、産業技術総合研究所が開発した技術を基盤に、ユーグレナからパラミロンを抽出し、さらにそのパラミロンを高アスペクト比のナノファイバーとして調製する技術の確立を目指した。このパラミロンナノファイバー(PNF)は、中間品を食品添加物等の栄養素として事業化し、最終製品をナノファイバーとして衣料用繊維等を始めとする各種工業製品へ混練し、品質、生産性を向上させることを目指す。将来は樹脂・ゴムへ混錬し、自動車・家電等の樹脂部材の機能高度化に寄与する。
開発した技術のポイント
・宮崎大学で開発された高密度培養可能な新種ユーグレナを5トンタンクスケールで効率的に培養する技術を確立。
・パラミロンの抽出プロセスを確立し、純度95%以上、回収率96.6%を達成。
・パラミロンから高アスペクト比のナノファイバー(PNF)を調製し、その収率90%以上を実現
具体的な成果
この研究開発はユーグレナから得られるパラミロンを使ったPNFの大量生産技術を開発するため進められた。
・ユーグレナの大量培養技術の確立: 宮崎大学との共同研究により、90Lから5トンの培養槽へのスケールアップに成功した。パラミロン含有率は73.8%で、収量は目標を上回り、年間生産量13.5トンを達成。今後の課題としては、培地コストや設備設計などが挙げられる。
・パラミロンナノファイバー(PNF)の大量調製技術の確立: 産総研との共同研究により、パラミロンの高効率な抽出プロセス(回収率96.6%、純度95.7%)と、ナノファイバーの大量調製技術(収率92%)を確立。今後は、コストダウンや設備の大型化が課題。
・調製したナノファイバーの応用: 調製されたPNFはゴムへの混練でその強度を向上させることが確認された。今後もサンプル提供を続け、最終製品レベルまでの改良を進めていく予定。
研究開発成果の利用シーン
開発したパラミロンナノファイバー(PNF)は、主に工業製品に応用される。例えば、天然ゴムとの混練によってゴム製品の強度を向上させることができ、自動車部品や家電製品などの機能向上に貢献する。また、PNFは高アスペクト比を持つため、樹脂やゴムのフィラー材として、軽量化や強度向上を目的とした様々な分野での活用が期待されている。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化に向けて、5トンスケールでのPNF製造ラインを構築し、大量生産体制を確立した。現在、PNFをゴム製品や樹脂製品に適用するための技術サンプルを提供しており、製造プロセスの最適化が進められている。特に、PNFの均一分散技術の確立により、実用化、量産化に向けた評価試験が進行中である。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
パラミロンナノファイバー(PNF)は、高アスペクト比を持つ均一なナノファイバーであり、従来のセルロースナノファイバー(CNF)に比べて軽量かつ高強度であることが特徴である。また、微生物由来のため環境負荷が低く、製造時のエネルギー消費も少ないことから、持続可能な開発に貢献する素材である。PNFは、樹脂やゴムに混練することでこれらの材料の機能性を向上させ、自動車部品や家電、衣料用繊維など、多様な工業製品に適用可能である。また、PNFの製造技術は既存の工業プロセスと組み合わせやすく、スムーズな導入が可能である点もPRポイントである。
今後の実用化・事業化の見通し
現状の主なサンプル供給先と進捗状況は以下の通り。
・タイヤメーカーA社: 凝集改善したPNF水分散体とPNF乾燥粉末を提供し、ゴムへの混錬評価が進行中。
・旭化成株式会社: パラミロン粒子とPNF乾燥粉末を提供し、樹脂への混錬評価が進行中。
・大手鉄鋼メーカーB社と大手化成品メーカーC社: 一部の試験で良好な特性が確認されており、研究を継続中。
また、多くの企業からPNFに対する関心が寄せられており、主にプラスチック部材メーカーから、自動車部品、電子材料、フィルム・シート材などの分野での引き合いがある。さらに、タイヤ、ゴム部材、塗料、粘着剤、グリスなど、多岐にわたる分野での適用が検討されている。残課題はあるが、他社が取り組んでいない「ナノファイバーを利用した事業展開」が強みとなり、石化品由来の素材に置き換えられる可能性も秘めている。
実用化・事業化にあたっての課題
主に水分散体を利用してきたが、今後の事業展開を拡大するためには、疎水化処理を施したパラミロンナノファイバー(PNF)の開発が必須となり、これが大きな技術的課題となっている。また、製品を広く普及させるためには価格競争力が重要であり、当初予定していた1kgあたり10,000円の価格帯よりも大幅に下げる必要がある。そのためには、大型製造設備の導入や、安価な糖源の確保が求められている。グルコースは食品向けの価格や供給量の面から限界があるため、パルプ糖化技術の導入が必要。さらに、PNFをバイオマス素材として提供するためには、製造プロセスのライフサイクルアセスメント(LCA)も考慮し、エネルギー消費の削減が必要となる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ユーグリード |
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事業管理機関 | 公益財団法人えひめ産業振興財団 |
研究等実施機関 | 国立大学法人宮崎大学 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
アドバイザー | 旭化成株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ユーグリード(法人番号:2500001023757) |
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事業内容 | ハイパーユーグレナ®をはじめとした微生物の研究開発及び培養を行うバイオ事業 微生物培養の研究成果に基づく各種製品の研究開発製造及び販売(ユーグレナ、パラミロン、パラミロンナノファイバー) |
社員数 | 11 名 |
本社所在地 | 〒799-0112 愛媛県四国中央市金生町山田井183番地 |
ホームページ | https://euglead.co.jp/ |
連絡先窓口 | 株式会社ユーグリード 石川一雄 |
メールアドレス | k-ishikawa@my6.euglead.co.jp |
電話番号 | 0896-72-6678 |
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