測定計測
ウェーハ中の金属不純物をレーザーアブレーションICP-MSで直接全自動分析できる装置
東京都
株式会社イアス
2025年1月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | SiCおよびGaNウェーハおよび薄膜中の極微量金属不純物定量分析装置の開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、自動車、情報通信、半導体、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | レーザーアブレーション,ICP-MS,金属元素定量分析,ウェーハ,べべル |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 令和2年度~令和4年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
SiCおよびGaNの半導体パワーデバイスは、高速通信分野で大きな市場として今後期待されている。しかしながら、これらデバイスの製造工程における金属不純物汚染管理に有効な金属分析方法が確立されていない。よって、レーザーアブレーション法(LA)と誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を組み合わせたLA-ICP-MS法によりSiCおよびGaN中の微量金属不純物を定量分析する全自動分析装置を開発する。
開発した技術のポイント
・LA-ICP-MS法の定量分析方法の確立
-2台のシリンジを組み込んだ標準溶液導入装置(MSAG)を開発。
-標準添加法を用いることで精度の高い定量分析が可能になった。
・LA-ICP-MS法を用いて大気雰囲気下でウェーハ試料直接分析を可能とした。
-従来方法の小型密閉系セルを用いないで、大気雰囲気下のウェーハの直接分析が可能になった。
-エジェクターを開発し、少量のArガスで微粒子を吸引することができた。
-Arガスへの置換装置GEDを用いることで、空気中の微粒子をArガス中の微粒子にし、ICP-MSに直接導入することが可能になった。
・LA-ICP-MSを用いた全自動装置の試作機が完成。
-ウェーハのロードポート、搬送ロボット、アライナーを組み込んだLA-GED-MSAG-ICP-MS装置の試作機を製作。
-従来検出できなかった局所の金属汚染分析が可能となった。
具体的な成果
・LA-ICP-MS法の定量分析方法の確立
-MSAG用ソフトウェアを開発し、標準溶液の添加量を一定に維持することでICP-MSの感度変化を防止。
-自作のネブライザーとコネクタを開発し、流量安定化時間を1分以内に短縮。
-1台のMSAGに2個のシリンジを組み込んだ試作品を開発し、設置スペースとコストの削減を実現。
・LA-ICP-MS法を用いて大気雰囲気下でのウェーハ試料直接分析
-自作のエジェクターを開発し、吸引量を5倍以上に増加。
-GEDを介した微粒子の透過効率を98%以上達成し、清浄な大気下での直接分析が可能に。
・LA-ICP-MSを用いた全自動装置の試作機完成
-SiCおよびGaN分析の最適条件を開発し、低出力のフェムト秒レーザーを使用して不純物測定が可能。
-自動搬送ロボット、カセットローダー、アライナーを組み込んだ全自動LA-ICP-MS装置の最終試作機を開発。
知財出願や広報活動等の状況
株式会社イアスの知財戦略は、以下の3つである。
・重要技術の特許取得による競合優位性の確保
・技術の公知化による特許侵害リスクの回避
・社内機密技術のブラックボックス化に基づく保護
これまでに国内外で60以上の特許を取得し、ユーザーと共同で取得したものも含まれる。本研究開発においても特許を3件出願し、1件は特許を取得している。他社への技術供与は行わない方針である。
研究開発成果の利用シーン
SiCおよびGaNウェーハや薄膜に含まれる極微量の金属不純物を全自動で分析するシステムを通じて、半導体製造プロセスでの不良品削減や歩留まり向上に寄与する。
また、従来のSiウェーハを用いた半導体製造プロセスにおいても、従来装置では検出できなかった局所の金属不純物の検出が可能となり、製品の高性能化および歩留まり向上に寄与する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
SiCおよびGaNパワー半導体関連企業からの引き合いが来ているが、従来のSiウェーハ関連の企業へ1号機の納品が完了した。また、ウェーハ以外の企業および最先端半導体開発を行っている企業に来年1月に納品予定である。
また、ウェーハの周辺ベベル部分の分析ができるようにウェーハを垂直に保ったまま回転させて分析できる開発を行った。
顧客のニーズに応じたソフトウェアの開発は継続して行っている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造、試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
本製品Expert_LAは、酸による分解が難しい化合物半導体に対しても応用可能。MSAG IIは、溶液中の微粒子分析を容易にし、環境分析にも活用できる。GED_LAは、固体試料を大きいまま分析することが可能で、地層分析などの新たな応用シーンを提供する。
今後の実用化・事業化の見通し
株式会社イアスは、既存主力製品であるExpertの成功を基に、次世代製品Expert_LAの販売戦略を策定中。ターゲットは、既存のExpertユーザーを中心とした大手半導体関連メーカーで、海外市場に強みを持ちつつ、特にヨーロッパとアメリカのサポートを強化するため、ローツェ株式会社の傘下に入ることで販売体制を強化。ICP-MS関連製品の販売促進を通じ、トレーニングやセミナーも実施。また、国際学会での発表を通じて技術を広く紹介する計画があり、業界内での認知度向上を目指している。
実用化・事業化にあたっての課題
競合企業の特許取得や技術の公知化がリスクとなるため、知財戦略が重要。さらに、海外市場への対応を強化する必要があり、販売促進や顧客サポート体制の充実が課題として残る。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社イアス |
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事業管理機関 | 一般社団法人首都圏産業活性化協会 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 物質計測標準研究部門 無機標準研究グループ |
アドバイザー | 東京エレクトロン株式会社 京都大学 工学研究科 都市環境工学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社イアス(法人番号:9012401010270) |
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事業内容 | 全自動気相分解装置、オンライン薬液中金属不純物分析システム、オンライン自動標準液添加装置、気体中金属粒子導入システム、レーザーアブレーションGED-MSAGシステム、金属標準エアロゾル発生ユニットの製造販売 |
社員数 | 60 名 |
生産拠点 | 東京都日野市日野本町2丁目2-1 |
本社所在地 | 〒191-0011 東京都日野市日野本町2-2-1 |
ホームページ | https://iasinc.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 川端克彦 |
メールアドレス | katsu.kawabata@iasinc.jp |
電話番号 | 042-589-5525 |
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