測定計測
微細な位置調整を可能にしたインターフェイスと高精度なキャピラリー研磨技術の開発により高感度計測を実現
山形県
株式会社飯塚製作所
2022年1月28日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 超高感度計測を可能にするキャピラリー電気泳動-質量分析用インターフェイスの開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、環境・エネルギー、農業、食品、化学品製造、サニタリー |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減) |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
生体内代謝物を網羅的に計測するメタボローム解析では、より高感度な計測技術開発への川下ニーズが高い。本研究では、高感度計測を目的として、メタボローム解析技術の一つであるキャピラリー電気泳動-質量分析用の新規インターフェイスの開発を行う。慶應義塾大学先端生命研で開発された新規測定法をベースに、スプレイヤーの量産化及びデバイスの高機能化に対する技術開発を行い、最終的に従来法の100倍の高感度化を目指す。
開発した技術のポイント
以下の3つの技術を開発した。
1.感度向上に繋がるインターフェイスを開発した。
・簡易的な手動ステージと微細な位置調整が可能な自動XYZステージを搭載したデバイスを開発
・再現性確保と測定条件の最適化
2.キャピラリー自動研磨機を開発した。
・マイクロメーターオーダーの精度で安定した研磨を可能にする機構
・非常に細いキャピラリーを容易に保持する機構
・短時間に効率の良い研磨が可能
3.スプレイヤー製作用治具・装置を開発した。
・キャピラリー接着、クラック処理治具を開発
・半透膜塗布装置を開発
・キャピラリーカッターを開発
・射出成型によるスプレイヤーの新規製作方法を確立
具体的な成果
質量分析器の検体導入口に精度の高い位置合わせで簡単に取り付け可能なインターフェイスを開発したことにより、
・カチオン測定では従来法に比べて約13,100倍の感度向上を達成した。
・アニオン測定では従来法に比べて約482倍の感度向上を達成した。
知財出願や広報活動等の状況
特許出願を2つ行なった。
①発明の名称:キャピラリカッタ
出願番号:特願2021-010397
②発明の名称:キャピラリー研磨機
出願番号:特願2021-010392
研究開発成果の利用シーン
高感度計測技術により、少量サンプルで測定が可能となり、サンプル採取時の患者負担などが低減され、より安全性の高いメタボローム解析が可能になることによる、新たな癌マーカーの発見等期待が出来る。これが最初に対象としていた医療業界向けへのニーズとして捉えている。
その他では、国の検疫関係で、輸入食品の安全性確認や動物の病気に関する検疫確認等についても、成分分析を新たなニーズとして考えている。その他に食品業界、化学品業界、サニタリー業界等で成分分析を必須とする業界は多々あるので、利用シーンを今後明確にしていく。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
事業化状況について、新会社(インセムズテクノロジーズ株式会社)を2021年7月1日に設立し、製品の販売体制・フォロー体制は整っている。インターフェイス、キャピラリー及びスプレイヤーの生産体制も整っており、ユーザーとの仕様を確認した上で受注生産体制を敷いている。エンドユーザーへの販売は商社を経由して行う。既に一部の研究機関とサンプル評価を行っており、その状況により本格的な市販化を開始する予定である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・カチオン(陽イオン)測定においては従来法の約13,100倍の高感度化
・アニオン(陰イオン)測定においては従来法の約482倍の高感度化
・カチオン、アニオンとも単一のスプレーでの50回連続測定が可能
・従来法より微量の試料での測定及び解析に要する時間短縮が可能
今後の実用化・事業化の見通し
本研究成果を受けて、装置の販売を行う新会社を2021年に設立した。新会社では、本研究開発で未達であった再現性の向上に関する研究開発を継続するとともに、展示会等を利用して顧客の開拓を行っていく。最初はメタボローム(生体内代謝物)の測定をすでに実施している大学や企業を中心に活動を行うが、その他の分野に関しても順次拡大していく予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
販売体制作りが一つの課題ではあったが、これは整った。CEを持っていないユーザーにCEを提供するルート構築が必要であり検討中である。新会社にて販売後の技術支援体制はあるが、数が増えた時の対応については課題として残っており、販売台数を見ながら体制作りをしていく予定である。
事業化に向けた提携や連携の希望
質量分析器を使用するメーカーすべてに対して、業界で言うと医療業界、食品業界、化学品業界、サニタリー業界等、また公設試での使用含めて、解析に要する時間短縮要望、また今まで微量の試料で測れなかったユーザーを対象に模索中。
(相談を受け付けてます。またご説明に伺うようにしたいと考えてます。)
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社飯塚製作所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人庄内地域産業振興センター |
研究等実施機関 | 有限会社リンクテクノス 学校法人慶應義塾 先端生命科学研究所 KMシステム工房 |
アドバイザー | 山形県工業技術センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社飯塚製作所(法人番号:8390001006066) |
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事業内容 | 製造業 |
社員数 | 31 名 |
生産拠点 | 山形県酒田市 |
本社所在地 | 〒998-0005 山形県酒田市宮海字中砂畑27番地21 |
ホームページ | http://www.iizuka-i.co.jp/pc/ |
連絡先窓口 | 株式会社飯塚製作所 本間修 |
メールアドレス | osamu.h@iizuka-i.co.jp |
電話番号 | 0234-33-5577 |
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