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機械制御

ダミー印刷ユニットの開発とDX化を行い、準備紙の大幅な削減の実現を検証し、環境分野への貢献を確定する

秋田県

宮腰精機株式会社

2025年1月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 カーボンニュートラルを徹底的に追及した世界初DXオフセット輪転印刷機の開発
基盤技術分野 機械制御
対象となる産業分野 産業機械
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮
キーワード 印刷品質、損紙低減、技能伝承、AI、自動化
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 令和4年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要
Label expo 2023(ベルギー)

従来手動操作が主流であったオフセット輪転印刷機の自動化を目指し研究開発を開始 。特に印刷の安定化と品質向上、省力化に焦点を当て、ダミー印刷ユニットを開発した。このユニットには、濃度検査装置や網点検査装置、光検出センサーが組み込まれ、これまで検出できなかった現象を観測できるようになった。さらに、AI解析システムを活用し、印刷中に取得した映像データを基に機械学習を行い、AIの判定精度を向上させることに成功。これにより、損紙率の大幅削減と印刷品質の安定化を達成し、CO2排出削減など環境分野への貢献も実現している。また、ベルギーでの展示会に出展され、高い評価を得ており、国内外での商業化が視野に入っている

開発した技術のポイント

ダミー印刷ユニットの開発: 濃度検査装置、網点検査装置、光検出センサーを組み込み、従来は検出できなかった印刷プロセス中の現象を観測可能にした(図1)。
AI解析手法の確立: 印刷中の映像データを元に機械学習を重ね、AIの判定精度を大幅に向上させた。
光検出センサーの導入: インキローラーの輝度をリアルタイムで検出し、インキの乳化状態を予測することで、印刷品質を維持しながら効率を向上させる技術を確立した​。

具体的な成果

ダミー印刷ユニットの開発により、これまで検出が困難だった印刷プロセスの詳細なデータを取得可能になった(ダミー印刷ユニットの画像を添付)。特に、AI解析システムの導入により、印刷中の映像データを活用して機械学習を行い、AIの判定精度を向上させ、損紙率を50%削減することに成功した。また、光検出センサーを活用することで、印刷中のインキの乳化状態を正確に検出し、印刷品質の安定化を図った。さらに、ベルギーで開催された展示会「Label expo 2023」においても本技術が高く評価され、AI解析システム搭載の印刷機の商業展開が進行中である。こうした技術革新は、環境保全にも寄与しており、CO2排出削減に大きく貢献している。

ダミー印刷ユニット(入紙側)
ダミー印刷ユニット(排紙側)
知財出願や広報活動等の状況

「オフセット輪転印刷機の印刷品質制御システム」に関する特許が、日本(特願2022-069099)、欧州(特願23164970.8)、中国(特願202310410165.5)で出願されている。また、商標「yaless」「yaless AI」も2022年12月に登録が完了している。
さらに、AI解析システムを活用した技術の広報活動が国内外で展開されており、ベルギーでの展示会「Label expo 2023」では来場者から高評価を得た。この展示会での成功は、今後の市場拡大に向けた重要なステップとなっている。

研究開発成果の利用シーン

本研究開発の成果は、オフセット輪転印刷機を使用する幅広い印刷現場での利用が想定される。特に、AI解析システムを活用することで、熟練工の技術に依存せずに安定した印刷品質を実現できるため、オペレーターの熟練度に左右されない作業が可能となる。また、損紙率の削減により、コストの低減と環境負荷の軽減が期待されている。この技術は、商業印刷、出版印刷、ラベル印刷など多様な分野で活用されることが予想され、特に紙資源の無駄を削減することが可能であるため、持続可能な印刷業界の発展に貢献すると考えられている​。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

既にAI解析システムを搭載したオフセット輪転印刷機がベルギーでの展示会に出展され、高評価を得ている。2024年には、初のサンプル出荷が実施されており、国内外での販売が本格化しているところである。このたびのAI技術を活用した自動化印刷機の開発は、印刷プロセスの効率化が期待されており、熟練工に頼らずとも高品質な印刷が可能となる。また、損紙率削減や省エネ技術により、印刷会社にとっての経済的メリットも大きい。宮腰精機株式会社は今後も市場ニーズに応じて製品を改良し、広範な業界に向けて技術を提供する予定である​。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造

製品・サービスのPRポイント

熟練工の技術をデジタル技術で補完し、作業の自動化を実現する点が大きな特徴である。また、損紙率を50%削減することで、紙資源やエネルギーの無駄を大幅に削減し、環境保全にも貢献する。この製品は、印刷業界における品質向上、省力化、コスト削減を可能にし、新人オペレーターでも高度な印刷作業を行える点が強みである。さらに、CO2排出削減に寄与する点も大きなPRポイントである。

今後の実用化・事業化の見通し

2024年以降にAI解析システム搭載オフセット輪転印刷機の商業展開が本格化する見通しである。特に、AI技術による自動化と損紙率削減の効果が大きいため、国内外での市場需要が高まることが期待されている。さらに、環境負荷の低減を実現する技術として、持続可能な経営を目指す企業からの注目も高まっている。製品の販売に向けては、2024年に最初のサンプル出荷が実施され、その後の販売拡大とともに、製品の改良や新技術の導入も進められる見込みである。また、販売済み印刷機へyaless AI レトロフィットの引き合いを数社からいただき設計を進めているところである。そのうち一社から2025年6月導入予定で受注を確定した。

実用化・事業化にあたっての課題

技術のさらなる自動化とコスト削減が挙げられる(図2)。特に、AI解析システムを搭載したオフセット輪転印刷機は、高度な技術を必要とするため、その導入コストが一定の障壁となる可能性がある。また、熟練工の技術を完全に自動化するには、さらなるデータ収集とAI学習が必要である。さらに、国内外の市場での競争力を保つためには、継続的な技術革新と環境規制への適応が重要な課題となる​。

事業化に向けた提携や連携の希望

中小企業省力化投資補助事業で、今回Go-Tech事業で開発したyaless AIを、日本印刷機械工業会を通じてカタログ登録作業を進めている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 宮腰精機株式会社
事業管理機関 公益財団法人あきた企業活性化センター 経営支援部
研究等実施機関 秋田県産業技術センター 素形材開発部
アドバイザー 福島印刷株式会社
株式会社トッパンインフォメディア

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 宮腰精機株式会社(法人番号:3410001008072)
事業内容 一般産業用機械・装置製造業
社員数 192 名
生産拠点 国見工場(秋田県)
本社所在地 〒019-1605 秋田県大仙市太田町国見字稲荷堂162番地
ホームページ https://seiki.miyakoshi.co.jp/
連絡先窓口 国見工場 工場長 藤原鈴司
メールアドレス rei.fujiwara@miyakoshi.co.jp
電話番号 0187-88-1200