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機械制御

農業分野での脱樹脂化の一助となるセルロース系繊維(コットンネット)の家畜用飼料梱包ネットの開発

愛知県

松山毛織株式会社

2022年1月28日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 セルロース系繊維を用いた飼料用ラップネットの利用技術の開発
基盤技術分野 機械制御
対象となる産業分野 環境・エネルギー、農業
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、環境配慮
キーワード コットンネット、ベールネット、環境、防カビ、酪農
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要
干し草にネットを巻いた様子

セルロース系繊維(木綿)を原料とした飼料用ラップネットとして製造するものである。PP、PE製で従来製品とは異なり、本事業製品は木綿であることから牛が誤食しても消化可能で安全に使用でき、また外したネットは牛の糞尿と混ぜて堆肥にできることから、酪農農家にとって安全かつ後処理(廃棄物)がゼロになる便利なネットである。酪農家からの綿ネツトが腐食による脆化の指摘を受けて、可食性防カビ剤を使用することでこの課題を解決し、事業化を目指すものであります。

開発した技術のポイント

・巻取機の設計、開発とラップネットの試作
-巻取長さを感知しながら綾振り角度を一定になるような機構を付け加えた。
-軽量化に取り組み糸を変えて試作を行ったが、ロールベーラー機の送り出しローラーに巻き付くことが発生。そのためくつかの種類の糸で試作を行うが軽量化には寄与しなかった。巻き付きトラブルが発生しない糸の検討及び試作を行い、現地実証試験でトラブルが発生しないことを確認した。
・牛に無害な防カビ対策
-酸化してしまう金属ではなく、有機酸、香辛料、ハーブなど天然由来の成分で防カビの効果があるものを確認した。
-防カビ剤(ヒバ油)を巻取直前のラップネットに塗布する手法の効果を確認した。
・牛がネットの一部を食することによる影響研究
-牛がラップネットの成分を消化できることを確認、防カビ剤を塗布した場合には消化火時間が長くなることを確認した。

具体的な成果
巻取り装置改良後のネット

・巻取機の設計、開発ラップネットの試作
-一定値で左右に振るため直径が大きくなると巻き取り角度が大きくなりリボン状態になるという不具合が判明した。また、ロールベーラー機にてネットを巻き付ける際に、ネットが収納箱から飛び出すというトラブルが発生した。それらの対応として、巻き取り長さを感知しながら綾振り角度を一定できるよう巻取装置を改良した。
-巻き付きトラブルが発生しない糸の検討及び試作を行い、現地実証試験ではトラブルが発生しないことを確認した。
・牛に無害な防カビ対策
-ラップネットを構成する糸の中に防カビ効果を持つ物質を混入することは、現時点で未達成。防カビ剤(ヒバ油)をネット製造時に塗布することで効果を確認
・牛がネットの一部を食することによる影響研究
-ラップネットを誤食しても量が少なければ問題ないことは判明。

知財出願や広報活動等の状況

ラップネット
・特許番号 第6775805号
・特許国際公開番号 WO2020-162265号
・国際出願番号 PCT-JP2020-00295号

研究開発成果の利用シーン
ロールベーラー機のベールネット

・開発したセルロース系繊維を用いた飼料用ラップネットを採用することで、大型化している酪農家の負担を低減できる。
-取り外したネットは牛の糞尿と混ぜて堆肥にできることから、酪農家にとって安全かつ後処理(廃棄物)がゼロになる。
-軽量化することで作業性が良くなる。体への負担の削減
・開発したラップネットを用いることで、牛が誤食しても大きな影響がない。
・防カビネットを開発することで、数か月は牧草で干し草を巻いた状態でも飼料として問題無く使用できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

ラップネットの巻取機を設計、開発することは概ね成功。生産者に実際に使用してもらう中で、農家から概ね問題ないとの答えをもらえている。
防カビ剤の無いラップネットに対して高い評価を得ることが今後は機械メーカーや農業団体との仕様決定をすすめ、本格的な生産・販売体制を構築する。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造

製品・サービスのPRポイント

・セルロース系繊維(木綿)を原料とした飼料用ラップネットにより牛が誤食しても消化可能で安全に使用できる。
・取り外したネットは牛の糞尿と混ぜて堆肥にできることから牛とって安全かつ酪農家にとって後処理(廃棄物)がゼロになる便利なネットである。
・環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するネットである。

今後の実用化・事業化の見通し

・防カビ効果がないラップネットに関しては酪農家から高い評価を得ており、今後機械メーカーや農業団体との仕様決定をすすめることで、本格的な生産・販売体制を構築していく。
・防カビ効果、強度化および軽量化に向けてラップネットに関する追加の補完研究中である。

実用化・事業化にあたっての課題

・軽量化・・・現状30kg程度のラップネットは、酪農家の方々の作業を考えると25kg程度に抑える必要がある。
・ラップネットの材料となる綿糸を製造する段階で防カビ剤を混入する方法の研究(現状は臭いがきついので、作業環境の改善もしくは別の材料を見つける)
・価格面・・・ポリエチレン、ポリプロピレン製のネットとの競合

事業化に向けた提携や連携の希望
ラップフィルムを巻いた状態

ポリエチレン、ポリプロピレン製のラップフィルムに代わるナノセルロースの利用方法・・・ナノセルロース製のラップフィルムの開発

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 松山毛織株式会社
事業管理機関 公益財団法人一宮地場産業ファッションデザインセンター
研究等実施機関 KBツヅキ株式会社
株式会社大和川染工所
国立大学法人豊橋技術科学大学
広島県立総合技術研究所 畜産技術センター
アドバイザー IHIアグリテック テクニカルアドバイザー 高橋泰貴
有識者 高橋 英治
ユーバス株式会社 専務取締役 高橋徹

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 松山毛織株式会社(法人番号:7180001084613)
事業内容 繊維製品製造
社員数 11 名
生産拠点 松山毛織株式会社大分工場(大分県豊後大野市 KBツヅキ㈱大分工場内)
本社所在地 〒493-0001 愛知県一宮市木曽川町黒田松山東南ノ切29
ホームページ www.matsuyamak.com
連絡先窓口 松山毛織株式会社 田中利明
メールアドレス tanaka22@matsuyamak.com
電話番号 0586-86-2000