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測定計測

高感度TMRセンサにより日常生活で使える心磁計を実現し、心疾患の早期に発見等により人々の健康に貢献する

宮城県

スピンセンシングファクトリー株式会社

2025年2月17日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 予防医療の普及を支える心磁計用超高感度TMRセンサの開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、低コスト化
キーワード トンネル磁気抵抗(TMR)、量子センサ、心磁計、AI
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本プロジェクトは、TMRセンサを用いた心磁計を開発することを目的としている。従来のSQUID心磁計に代わる低コストかつ高性能な心磁計を実現するため、TMRセンサの磁場分解能向上、量産体制の構築、環境ノイズキャンセリング技術の開発に取り組んでいる。これにより、虚血性心疾患の早期発見が可能になり、医療の予防的役割を果たすことが期待されている。TMRセンサは、心臓のみならず脳の活動計測にも応用が可能である。

TMRセンサの特徴 
(高感度磁気センサに対する位置づけ)
開発した技術のポイント

・TMRセンサの磁場分解能向上
-トンネル障壁層の改善によりTMR比を約1.3倍向上
-バルク磁気収束板の形状変更により、磁場分解能を約2倍改善し、0.54pT/√Hz@1Hzの性能を実証
・量産体制構築
-プロセスの最適化により、ウェハ歩留まりは80%以上を達成
・環境ノイズキャンセリング技術
-グラジオメータとAI技術を組み合わせ、0.1pT以下のノイズレベルを実現

具体的な成果

開発したTMRセンサの磁場分解能は、0.54pT/√Hz@1Hzの性能を実証し、従来の1.4pT/√Hz@1Hzから大幅に改善された。また、量産体制の整備によりウェハの歩留まりが80%以上に達し、心磁計として使用可能なTMRセンサの量産が可能になった。さらに、AI技術を用いたノイズキャンセリング技術によって、環境ノイズを0.1pT以下に低減し、実用レベルの心磁計測が可能となった。

知財出願や広報活動等の状況

事業期間中に新たに発見された技術や知見については、都度学会等で報告すると同時に、知財化の判断を行い必要な出願を実施。初年度に二件、第三年度に一件の特許を出願。

研究開発成果の利用シーン

心臓の活動を計測する心磁計として使用され、特に虚血性心疾患の早期発見に役立つ。従来の心電計と異なり、非接触で短時間に測定が可能であり、学校や事業所での健康診断の場でも使用できる。また、心臓以外にも脳磁計としての応用が期待されており、脳研究やリハビリテーションなどの医療分野でも活用が可能である。

TMRセンサによる心磁測定

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

開発されたTMRセンサは、心磁計測装置に組み込まれ、共同研究契約を締結したUniMedical社と共同で実験を開始している。現在、治験前の実証段階にあり、実用化に向けた取り組みが進んでいる。また、TMRセンサを利用した心磁計のビジネス展開が進められ、すでに2社と共同研究契約が締結されている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、加工・組立・処理、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

開発されたTMRセンサを用いた心磁計は、従来のSQUID心磁計に比べて導入コストが1/20に抑えられ、冷却システムや磁気シールドルームが不要である点が大きな特徴。これにより、病院だけでなく、学校や事業所での健康診断においても広く普及が期待されている。

今後の実用化・事業化の見通し

病院や診療所だけでなく、学校や職場などでも導入されることが期待されている。特に、定期健康診断での利用が進めば、虚血性心疾患の早期発見による死亡率の低減が見込まれる。さらに、脳磁計などへの応用が進むことで、脳研究やニューロマーケティング分野にも貢献が期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

課題として、センサのさらなるコスト削減と医療機器としての品質基準をクリアする量産技術の確立が挙げられる。更にセンサの歩留まりを向上させることがコスト削減に直結する。また、医療機器としての認証取得や、導入先の医療機関や企業との協力体制の強化も重要な課題となっている。

事業化に向けた提携や連携の希望

TMRセンサを製造する上で、技術的に大きな障害はほぼ無いと考えるが、検査装置が量産対応となっておらず、製造がスタートするとボトルネックとなる。また、品質保証の為に、種々の基礎的なデータを取得する必要があり、これも十分なデータを取得できていない。社内で人材を確保できた事から今後装置立ち上げやデータ取得を進める予定であるが、この機能を持つ製造受託企業があれば、連携を検討したい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 スピンセンシングファクトリー株式会社
事業管理機関 公益財団法人みやぎ産業振興機構 産業育成支援部地域連携推進課
研究等実施機関 国立大学法人東北大学 大学院 応用物理学専攻 スピントロニクス分野 大兼研究室
アドバイザー 株式会社リアルデザイン
東北大学大学院医学系研究科
独立行政法人産業技術総合研究所

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 スピンセンシングファクトリー株式会社(法人番号:1370001043522)
事業内容 製造業 TMR素子構造の設計、研究開発用素子・モジュールの試作販売、増幅回路設計
社員数 8 名
本社所在地 〒985-0845 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉468-1 東北大学レアメタル総合棟403
ホームページ https://www.spintronics.co.jp
連絡先窓口 熊谷 静似
メールアドレス seiji.kumagai@spintronics.co.jp
電話番号 022-752-2282