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測定計測

連続せん断波エラストグラフィを用いて、運動器の硬さを定量的に測定する携帯型運動器用弾性映像装置を開発

東京都

フィンガルリンク株式会社

2025年1月27日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 超音波とせん断波の同時可視化による運動器用弾性映像装置の研究開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード 超音波、エラストグラフィ、カラードップラ、せん断波、雑音フィルター
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本プロジェクトは、運動器用の携帯型弾性映像装置を開発することを目的としている。特に、整形外科領域での診断に役立つ装置として、連続せん断波エラストグラフィ技術を活用し、筋肉や腱の硬さを定量的に測定できるシステムを目指している。映像の分解能は2mm、測定精度は5%以内を目標に設定し、これを実現するための技術的改良を行った。従来のプロトタイプ機では対応できなかった薄い筋や靭帯にも対応することを目指し、表示アプリケーションの開発も行い、カラー表示などによりユーザービリティを大幅に向上させた。

開発した技術のポイント

技術開発の主要なポイントは、超音波技術を応用した高精度な硬さ測定技術である。連続せん断波エラストグラフィ法を導入することで、2mmの分解能と5%以内の測定精度を達成した。さらに、非常に硬いアキレス腱でのせん断波速度測定において、従来技術(SWE法)での測定値上限は7.5m/s程度だったが、開発法では10m/s以上という結果を得た。これにより靭帯や腱のような非常に硬い組織も正確に計測できる。また、プローブ内に電子回路やCPUを組み込み、小型化・低消費電力化を実現し、携帯性の高い装置となった。これにより、遠隔地での診断や屋外での使用も可能となっている。

具体的な成果

このプロジェクトの成果としては、携帯型運動器用弾性映像装置の開発に成功したことが挙げられる。この装置は従来品ではオンデマンドでしか計測ができなかった運動器の弾性をリアルタイムで最高7.5枚/秒の映像再生速度で測定することを可能とした。また計測が難しかった靭帯や腱の硬い部位も従来法以上の精度で計測ができ、臨床現場での診断精度の向上が期待される。また、カラー表示機能を搭載することで、筋肉や腱の微細な硬さの違いを視覚的に確認でき、患者への説明や診断結果の共有が容易になる。

知財出願や広報活動等の状況

Go-Tech事業の研究開発成果として特許の出願を行った。主な出願特許はせん断波の周波数の設定範囲を拡げ、再生画像の耐雑音性を向上するためにせん断波複素振幅のフレーム等化処理による信号処理法を新規に開発したものである。発明の名称「体組織硬さの表示装置・表示方法」(特許番号2022-184496)、発明の名称「運動機能検査における評価システム」(特許番号2024-027958)発明の名称「生体組織硬さ測定用の加振器付きアタッチメント及びこれを備えた生体組織の硬さ測定装置」(特許番号2024-027959)発明の名称「せん断波伝播速度推定による靭帯ないし腱の状態表示方法、及びこれを備えた靭帯ないし腱の状態表示システム」(特許番号2024-027960)。

研究開発成果の利用シーン

開発された運動器用弾性映像装置は、整形外科領域を中心に幅広い応用が期待される。特に、腱や筋肉の硬さを定量化することで、従来の触診では見逃されていた損傷や、回復の状態を詳細に把握することが可能となる。また、リハビリテーションやスポーツ医学の分野でも、治療や回復過程のモニタリングに活用されることが期待されている。さらには、鍼灸治療や理学療法など、運動器に関連するさまざまな治療分野での応用が可能である。将来的には弾性測定の範囲は運動器のみならず甲状腺や肝臓、乳腺や前立腺などの臓器の弾性を映像化することにより臓器の初期の異常をスクリーニングする検査への応用も期待される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

携帯型運動器用弾性映像装置の事業化が進行中であり、試作機の実証実験や市場投入に向けた準備を進めている。初期段階では、整形外科やリハビリ施設を主な販売先として想定しており、これに伴い、医療機関向けの販路開拓を進めている。また、スポーツ分野やリハビリ施設への拡販も視野に入れた事業戦略を検討しており、装置の多用途性を強みに市場拡大を進めている。

提携可能な製品・サービス内容

試験・分析・評価

製品・サービスのPRポイント

この装置の最大の強みは、筋肉や腱の硬さをリアルタイムで定量的に評価できる点にある。従来の装置では対応できなかった硬い靭帯や腱の計測が可能であり、さらに携帯型でありながら高精度を維持している。また、装置の小型化により、診療室だけでなく、リハビリ施設やスポーツ現場、さらには遠隔診療にも使用可能である点が大きな特徴である。加えて、カラー表示機能により視覚的な診断がしやすく、患者への説明にも役立つ点もPRポイントとなっている。

今後の実用化・事業化の見通し

今後の実用化に向けて、製品のさらなる改良と薬事申請準備中であり、2025年度中に申請予定、2026年までに市場投入を目指している。本機を利用する分野においては、製品の小型化や低コスト化が求められており、医療機関だけでなく、スポーツ施設やリハビリ施設など多様な分野での利用が期待されている。また、遠隔診療への対応も強く求められており、通信機能のさらなる向上が求められている。本機は、リモートでの診療やデータ共有を可能としていることから、医療の現場での活用が広がると見込んでいる。

実用化・事業化にあたっての課題

実用化に向けた課題としては、価格競争力の確保が重要である。装置の性能を維持しながらも、他社製品との価格差をどう縮めるかが商業的な成功の鍵となる。また、装置の普及には販売ルートの確立も重要であり、特に整形外科やリハビリ施設以外の新規市場の開拓が求められている。さらに、医療機関向けの信頼性と安全性の向上も課題の一つであり、これらを解決することで、広範な市場への展開が期待されている。

事業化に向けた提携や連携の希望

当面は自社独自での製造・販売を進めていく方針である。本事業での他社との提携や連携は希望しない。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 フィンガルリンク株式会社 花巻工場
事業管理機関 公益財団法人いわて産業振興センター ものづくり振興部
研究等実施機関 国立大学法人群馬大学大学院 理工学府 特任教授 山越芳樹
アドバイザー 北海道公立大学法人札幌医科大学
学校法人至学館大学
学校法人自治医科大学
木村ペインクリニック
株式会社ゼニタ銭田治療院
株式会社南部医理科

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 フィンガルリンク株式会社(法人番号:9010601018745)
事業内容 医療用機器等輸入、製造、販売
社員数 76 名
生産拠点 花巻工場
本社所在地 〒111-0041 東京都台東区元浅草二丁目6番6号
ホームページ https://www.finggal-link.com/
連絡先窓口 花巻工場 久保田康弘
メールアドレス kubotay@finggal-link.com
電話番号 0198-24-1318