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測定計測

多重経路散乱場理論を適用した非破壊検査技術によるコンクリート構造物の画像診断

兵庫県

株式会社Integral Geometry Science

2025年1月22日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 Super-Array 4次元時空間スライサーテクノロジーの実現
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 建築物・構造物
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)
キーワード 散乱場理論,マイクロ波,再構成,ドローン,コンクリート
事業化状況 実用化に成功し事業化間近
事業実施年度 令和3年度~令和5年度

プロジェクトの詳細

事業概要

本研究では、世界初の技術として、「正確な物体の3次元構造を電磁波の散乱信号から高速に映像化する。」「異常個所の背後に隠れた構造を含めて正確に映像化する。」この2つの目的を達成し、空間内部の3次元構造を正確にかつ高速に可視化、すなわち時間を含めた4次元時空間での情報を得て、任意の断面像を得ることが可能な、Super -Array 4次元時空間スライサーテクノロジーを世界で初めて実現することを目的とする。
また、この技術を最先端の小型飛行体技術と融合させ、巨大コンクリート構造物の外観と内部情報、さらには多数の小型飛行体によるパルスの相互送受信により、巨大コンクリートにおける全体と細部の構造認識、内部の異常状態、複雑に折り重なった構造体の可視化を実現し、世界中で老朽化が進む巨大コンクリート構造物の維持管理の超効率化を早期実現することを目標とする。

開発した技術のポイント

・自己補対型アンテナ構造
-すべての周波数帯で同じ特性を持つアンテナ構造を採用し、回転対称を維持。
・非平衡–平衡変換
-20GHz対応の回路で、通常のバランでは難しい周波数をカバー。
・小型化
-世界最小クラスの7.5mmサイズで、高分解能と広帯域を実現。
・分布定数回路
-誘電体と金属配置を最適化し、空間分解能とパルス性能を向上。
・指向性強化
-パラボラ反射面を使用して指向性を強化、遠距離観測を可能に。
・広帯域対応
-8GHz以上の帯域で動作し、20GHzまで対応可能。
・散乱場理論の適用
-多重散乱データのリアルタイム解析と高分解能画像を取得。
・アップダウンコンバージョン
-17GHzの搬送波と100MHzの変調で、長距離の反射波を検知。
・マルチスタティックデータ取得
-散乱データの高精度取得と反射波の明瞭化を実現。

具体的な成果

・世界最高水準の20GHz超広帯域アンテナ
-20×8 Gbpsのマイクロ波を検出できる4台の送信機と受信機を一体化した4T4Rアンテナを開発。数百メートル先の電波を送受信できるパラボラアンテナも設計し、特性評価試験を完了。
・社会問題への適用
-コンクリートの表面クラックや水濃度の高い媒質での異常個所を検出。これにより、複雑な構造物の高速撮像に貢献できることが示された。

非導電性白色プラスチックを使用した
受信用パラボラアンテナ
コンクリートクラックの映像化実験結果
知財出願や広報活動等の状況

・知財出願の状況
-必須の要素技術を早期に権利化し、特許マップを作成している。
-原理特許、画像診断ソフトウェア、アンテナプローブ、信号源回路など、ハードウェアとソフトウェアの特許を戦略的に取得中。
・広報活動の状況
-大手事業会社に技術を導入し、国内の高層ビル、鉄道インフラ、首都高、空港の路面検査事業を展開予定。
-検査サービス事業とシステム販売を同時に進行し、土木関係検査会社と連携してリースやシステム販売を進める。
-株主企業や監査役のネットワークを活用し、インフラ建造会社やメンテナンス会社のトップにアプローチする営業を展開。
-国内外の学会での講演、展示会への出展、各国の省庁と連携した普及活動を実施し、現地投資家と関係構築を図る。

研究開発成果の利用シーン

・電力設備の劣化や故障を検査するための機器を開発し、受託開発の形で事業展開。
・電力会社や関連企業に対して、信頼性の高い検査技術を提供。
・大手事業会社との共同研究で、地盤検査に資する機器を開発。
・建設現場における地盤の強度や安定性を検査し、地震や土砂災害などのリスクを軽減するための技術を提供。
・コンクリート橋梁や高層ビルなど、コンクリート構造物の劣化や損傷を検査する機器を開発。
・首都高速道路やその他のインフラ構造物の維持管理に貢献し、将来的には大規模な橋梁のRC床版検査へと展開予定。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

国内では、約87,000橋のコンクリート橋が10年に一度の点検を必要とし、年間の点検費用は約78億円に達する。全自動化技術の導入でコスト削減を図り、年間23億円規模の市場シェアを狙う。高速道路などのインフラ検査を中心に展開し、大手事業会社と共同で地盤検査装置の開発も進行中。米国市場にも進出を計画し、老朽化した橋梁の検査事業に参入する。米国の大手建設会社との連携を目指し、国内外での事業拡大を図る方針である。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・世界最高水準の性能
-20GHz超広帯域アンテナを開発し、20×8 Gbpsでのマイクロ波検出を実現。
-4T4R(4台の送信機と受信機を一体化)による多重経路レーダ用量産アンテナを完成。
・高精度のパラボラアンテナ
-数百メートル離れた領域からの電波の送受信が可能な高性能パラボラアンテナを設計・評価。
-広大な領域の瞬時撮像が可能。
・社会問題への適用性
-コンクリート構造物の表面クラックの映像化や、水濃度の高い媒質での異常個所の検出に成功。
-レーダ技術の不得意分野にも対応可能な技術力を証明。

今後の実用化・事業化の見通し

・「Super-array 4次元時空間スライサー」は、老朽化した巨大コンクリート構造物の欠陥を早期発見し、超効率的なメンテナンスを可能にする技術として開発中。
・高層ビル、高架橋、ダムなどの巨大コンクリート構造物の精密検査と維持管理を目指す。
・日本やアメリカの老朽化した橋梁の点検・診断に特化。
・散乱場理論を用いて死角なく正確な画像をリアルタイムで再構成し、従来のレーダ技術では難しかった波動散乱の逆問題を解決。
・100万画素のリアルタイム画像形成で高い計算効率を実現。
・国内では年間78億円の橋梁点検費用市場に、全自動化でコスト削減し23億円規模のシェア獲得を目指す。
・医療や地下探査、災害救助など、多分野への応用が期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

・散乱場理論に基づく画像再構成の精度およびリアルタイム性の更なる向上が必要。
・高精度な装置開発の初期費用を抑え、低コスト化を達成する必要がある。
・日本やアメリカのインフラ市場での信頼と実績の構築が重要。
・各国の規制や検査基準の標準化が必要。
・特許の早期、網羅的かつ戦略的な取得が求められている。
・専門人材の確保と協力企業との連携強化が必要。
・技術の認知度を高める広報活動が重要。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社Integral Geometry Science
事業管理機関 株式会社Integral Geometry Science
研究等実施機関 株式会社Integral Geometry Science
国立大学法人神戸大学 数理・データサイエンスセンター
アドバイザー 国立大学法人 神戸大学 三木朋広先生
国立大学法人 名古屋工業大学 黒田孝二先生

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社Integral Geometry Science(法人番号:7120903001200)
事業内容 計測機器、ソフトウェアの製造販売
社員数 21 名
本社所在地 〒657-8501 兵庫県神戸市灘区六甲台町1-1 神戸大学学術・産業イノベーション創造本部棟109号室
ホームページ https://www.igs-group.com/
連絡先窓口 出口雄一
電話番号 078-335-6110