複合・新機能材料
自動車等輸送機械の業界ではスマートウィンドウが注目されているが、耐久性等に課題を有している状況。本事業では、材料を分子構造から見直し、成膜条件の最適化を図る事により高速応答性・高耐熱性を持つカラー液晶調光素子を開発する
大分県
九州ナノテック光学株式会社
2022年1月26日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 自動車等輸送機械の窓に色調豊かで高速応答性・高耐熱性をもつ調光機能を搭載するためのカラー液晶調光素子の研究開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 自動車、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 液晶フィルム、液晶調光フィルム、スマートウィンドウ、スマートガラス、PDLC |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
本研究開発チームは、これまでに液晶-高分子複合薄膜(PNLC)のスマートウィンドウ開発を進めており、電源無印加時に透明となるリバースモードの開発に成功したことから、自動車メーカーなどから早急な実用化を求められている。
そのため、実用化に向けた課題である「光透明性の向上」「耐熱性の向上」「高速応答性や耐久性の向上」を実現するため開発に取り組んだ。
開発した技術のポイント
材料を分子構造から見直し、成膜条件の最適化を図ることにより高速応答性・高耐熱性をもつカラー液晶調光素子の開発に成功した。またコスト面においても製造ライン条件の変更により、時間生産性を向上させ、コストダウンを実現した。
具体的な成果
・低温、高温を保証する液晶調光フィルムの開発
-駆動保障:-20℃~100℃を達成
・高耐久性を持つ液晶調光フィルムの開発
-以下の品質確認試験を行い、変化がないことを確認
①UV耐性:10,000Kj/m2
②高温試験:100℃×2,000h
③高温高湿:60℃90%×2,000h、85℃85%×2,000h
④温度特性:-25℃⇔100℃×100回
⑤スイッチング:1000万回点滅
・生産コストの削減
-生産方法を見直すことにより、既存の生産方法よりも生産コストを1/2に抑えることに成功
知財出願や広報活動等の状況
PNLC材料、プロセスの両面から2件の出願を予定している。他のノウハウを含むコア技術に関してはブラックボックス化を図り、保護するとともに先使用権などの法的根拠のある手法を用いて権利化を進めている。
研究開発成果の利用シーン
高級車や航空機の窓として利用し、太陽光を制御することでエアコンなどのエネルギー負荷軽減や快適な空間を形成する。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究の基礎となった既存技術を使用した製品が、車両メーカーのルーフに採用されている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
車などの輸送用機器に対応したPNLCフィルムとして、-20℃~100℃までの広い温度範囲で応答性を持つため、中国、ロシア等の厳寒期がある国や、中東や東南アジアなどの常夏の国など、広範囲な輸出国に対応できる。また、従来のノーマル型PNLCの白色に加えて、黒、赤、青などの様々な色を使用できるメリットもある。
今後の実用化・事業化の見通し
車両用電子カーテンとしての用途を見出した。今後は特定の川下メーカーだけでなく、ガラスメーカー、建材メーカーなどの幅広い分野に対してアプローチを行い、事業展開の可能性を拡大する。
実用化・事業化にあたっての課題
川下ユーザーにサンプル提供を行った結果、透過時に色味が残り透明感が薄いという意見を頂いた。原因はPNLCに添加している色素の2色比が狭いことによる色残りなので、調色比率の変更及び色素の2色比を向上させON時の透過色の補完を行う必要がある。また他の川下ユーザーにもサンプルを提供しているため、今後新たな課題が見込まれる。
事業化に向けた提携や連携の希望
現在、トヨタ自動車の新型車両に対し、色素有のノーマルタイプの調光素子を提案中で、2022年3月の採用決定を目指し交渉中である。トヨタ自動車以外の自動車メーカーからも引き合いがあり商談を進めている。技術連携については引き続き大分大学の協力の元、サンプル片の分析などを実施している。定期的にトヨタ関連会社も含め大学と打ち合わせを続けている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 九州ナノテック光学株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人大分県産業創造機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人大分大学 |
アドバイザー | 豊通オートモーティブクリエーション株式会社 ダイキン工業株式会社 九州大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 九州ナノテック光学株式会社(法人番号:7320001008656) |
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事業内容 | 製造業 |
社員数 | 36 名 |
生産拠点 | 本社・藤原工場/大神工場 |
本社所在地 | 〒879-1502 大分県速見郡日出町大字藤原2393番地 |
ホームページ | http://www.kyunano.jp |
連絡先窓口 | コーポレート本部/部長補佐 富田 亘、副社長/財務室/コーポレート本部/本部長 桐田 守 |
メールアドレス | wataru_tomita@kyunano.co.jp |
電話番号 | 0977-72-3315 |
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