材料製造プロセス
SiCフォーカスリングの低コスト再生化技術の開発
岡山県
倉敷ボーリング機工株式会社
2022年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 3次元LSIの高効率生産を実現するSIC半導体製造装置部品の革新的工法開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 半導体 |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | フォーカスリング、再生、SiC |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
倉敷ボーリング機工では、SiCフォーカスリングの再生技術を用い、使用済みフォーカスリングをリサイクルすることで、コストや生産数の課題を解決するための研究を行ってきた。ただ、現状では品質よくフォーカスリング再生を行う際の生産性向上効果の低さが問題となっていた。
そのため、下記3点の開発を行うことで、SiC製フォーカスリングの生産性コスト削減と生産性向上を行い、従来フォーカスリングに対する競争力の向上を目指す。
1.低コスト、高生産性を実現するSiC再生技術の高度化
2.高コスト反応ガスのリサイクル処理方式の構築
3.3次元フラッシュメモリ製造工程の品質保証を実現するフォーカスリング性能・解析
開発した技術のポイント
深さ検出が困難な「残存変質層の除去」、 片側の再生SiC削除を必要とせず、効率的なCVD処理を実現する「高耐熱接合・分離」、厚みが増加しても均一で高い結晶性を得る「SiC-CVD品質維持」をそれぞれ実現し、高品質なフォーカスリングの生産性を1.6倍に向上した。また「高コストガスのリサイクル」により、コスト削減方法の具体的な方法に目処がついた。生産したフォーカスリングを評価し、従来品と同等以上の品質が得られることも確認した。
具体的な成果
・精密ブラストによる劣化後変質層の除去手法の効率化及び、高温熱処理による酸化膜除去のCVD連続処理化を実現
・CVD処理高効率化のためのSiCリングの接合・分離プロセスを確立
・CVD炉内におけるガス流速分布の最適化により、CVD処理枚数増においても膜厚均一性の改善を達成
・CVD原料ガスであるHClの回収システムの構築により、使用後ガスからの高濃度HCl回収を実現
・本研究で確立した手法を用いて作製したSiCリングは、各種分析試験及び実機試験により従来手法再生品と同等の品質を確認
研究開発成果の利用シーン
フラッシュメモリ製造のエッチング工程において、SiCフォーカスリングを採用し、コストや生産性を考慮する際に利用される。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
川下ユーザへの評価用試料を提供し、受注を目指す。また学会や展示会において川下ユーザと共同で発表することにより、最終的なユーザとなる半導体デバイスメーカへのアピールを図る。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造
製品・サービスのPRポイント
KBKマテリアルソリューションズ社は業界トップクラスの耐プラズマエッチング性能を持つSiCメーカーであり、また倉敷ボーリング機工は基幹技術としてSiC再生技術を保有していることから、協業によって海外メーカーに対する技術優位性を生み出している。
今後の実用化・事業化の見通し
2021年度から事業化展開を行い、2023年度には12億円規模のSiCフォーカスリング再生を予定している。
実用化・事業化にあたっての課題
2020年2月に発生したコロナ問題が全世界に影響を与えており、フラッシュメモリの社会・市場ニーズも大きな影響を受けているため、事業化時期が遅れることが懸念される。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 倉敷ボーリング機工株式会社 株式会社KBKマテリアルソリューションズ |
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事業管理機関 | 公益財団法人岡山県産業振興財団 |
研究等実施機関 | 国立大学法人横浜国立大学 |
アドバイザー | キオクシア株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 倉敷ボーリング機工株式会社(法人番号:1260001013123) |
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事業内容 | 溶射などの各種コーティングを利用した設備・機器・部品の製作・修理 |
社員数 | 99 名 |
生産拠点 | 本社工場(岡山県)、松江南工場(岡山県)、鴨方工場(岡山県) |
本社所在地 | 〒712-8052 岡山県倉敷市松江二丁目4番20号 |
ホームページ | http://www.kbknet.co.jp/ |
連絡先窓口 | 代表取締役 佐古 さや香 |
メールアドレス | sayaka@kbknet.co.jp |
電話番号 | 086-456-3877 |
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