材料製造プロセス
高分子量タンパク質の高効率分離の確立
京都府
株式会社エマオス京都
2024年12月6日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 抗体医薬の低コスト化を実現する次世代貫通型多孔粒子充填力ラムの開発 |
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基盤技術分野 | 材料製造プロセス |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | モノリス、クロマトグラフィー、貫通型多孔性粒子、抗体医薬、バイオ医薬 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
タンパク質医薬品が高額になる原因である全製造コストの2/3を占める分離精製のコストを低減するためには、短時聞で大量の試料を髙純度で精製できる従来にない新規な分離媒体(力ラム充填剤)の開発が必要である。本申請では、相分離によって共連続構造を形成するモノリス技術を活用することで、タンパク質の高速・高性能な分離精製の達成に最適化された貫通型多孔粒子を開発し、それを低コス卜で生産できる方法を確立する。
開発した技術のポイント
・貫通型多孔性粒子の最適素材の探索、多孔構造の最適化課題への対応
・分散相としての重合液と非相溶かつ反応しない長鎖アルカンを連続相とした油中油滴型(O/O)エマルジョンの懸濁重合による粒子合成
・貫通型多孔粒子担体へのリガンド表面修飾と分離評価課題への対応
・貫通型多孔粒子の工業的製造技術課題(低コスト化)への対応
・SPG膜による膜乳化法の導入
具体的な成果
・シリカ、アクリル、エポキシ、スチレン系など様々な素材を基盤とした貫通型多孔性粒子の作製に成功した。
・様々な材質の粒子に対して最適なジブロック共重合体のブロック比を見出すことで、表面スキン層のない粒子を高収率で合成することに成功した。
・化学的に安定なエポキシ系貫通型多孔性粒子について、粒子径は3~130mm、細孔径は50nm~1mmの範囲で制御できるようになった。
・市販カラムと同等以上のイオン交換容量をもつ表面修飾が可能となった。
・高流速でのIgGの分離性能は市販カラムよりも高く、動的吸着容量(DBC)は30mg/cm3以上あり、DBC値の流速依存性は比較的小さかった。
・2Lスケールの合成で100g以上の貫通型多孔粒子の収量を得た。
・連続相溶媒を10%に減量することで、従来よりも原料費を60%カットすることができ、市販品相当の現実的な価格に見通しがついた。
研究開発成果の利用シーン
低コストな貫通型多孔粒子を生産することで、高額となるタンパク質医薬品の分離精製コストを低減し、より多くの人に抗体医薬を届けられるようになることで、医療格差の是正に繋がる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
技術開発としては完成しており、販売やライセンス供与をどのようにしていくか検討段階。
提携可能な製品・サービス内容
共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・細孔サイズ 500nm を超える貫通孔を有する多孔性粒子の製造は世界的にも珍しく、新規なアプリケーションの創出につながるものと大いに期待できる
・貫通型多孔粒子は高流速域でも破壊されず十分耐えられる強度を示し、市販カラムよりも圧力損失が小さい
・本研究で開発した貫通型多孔粒子は、高流速条件下において効率的にバイオ医薬品の分離が可能である
・分取のみならず、精密分析カラムとしても適用可能
・高価な原料である連続相溶媒の減量によりこれまでの半分以下のコスト削減を達成
・分離分析だけでなく、触媒担体、固相合成担体としての応用にも大いに期待できる
今後の実用化・事業化の見通し
クロマトグラフィー専門メーカーとして確固たる世界的地位を確立した企業であるワイエムシィ社が、川下製造業各社が希望する基材のスペックに合わせて生産し、世界的販売ネットワークを駆使して、販売。また、川下製造各社が独自の表面修飾を行って医薬品製造企業に販売できる体制を予定している。
実用化・事業化にあたっての課題
抗体医薬製造用精製(クロマトグラフィー)媒体を販売している川下製造業者である大手企業への販売または当該技術のライセンス供与をいかに促進していくか。
事業化に向けた提携や連携の希望
抗体医薬をはじめ、mRNAやAAVなどのバイオ医薬品の精製や核酸医薬の合成に関する事業提携先を海外中心に模索中。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社エマオス京都 研究開発部 |
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事業管理機関 | 公益財団法人京都高度技術研究所 |
研究等実施機関 | 国立大学法人京都大学 化学研究所 化学材料機能化学研究系 高分子材料設計化学研究領域 国立大学法人京都工芸繊維大学 工芸科学研究科 機能物質化学専攻 化学工学研究室 |
アドバイザー | 株式会社ワイエムシィ 京都研究所 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社エマオス京都(法人番号:4130001025368) |
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事業内容 | 製造業・材料開発 |
社員数 | 3 名 |
本社所在地 | 〒615-0055 京都府京都市右京区西院西田町26番地 |
ホームページ | http://www.emaus-kyoto.com |
連絡先窓口 | 研究開発部 石塚 紀生 |
メールアドレス | info@emaus-kyoto.com |
電話番号 | 075-323-6113 |
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