複合・新機能材料
耐熱・高強度・低吸湿のポリイミド繊維 IMIDETEX(R)のFRP及びプリプレグ開発
滋賀県
株式会社アイ.エス.テイ
2022年1月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 極限環境でも高強度と耐衝撃性を持続する世界初の革新的FRP素材の研究開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、情報通信、建築物・構造物、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上) |
キーワード | FRP、ポリイミド、高強度、耐衝撃、耐候 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
省エネルギー化・軽量化で製品へのFRPの採用が幅広い分野で拡大する中、現行FRP素材の弱点として「極限環境でも高強度と耐衝撃性を持続し安心して使える革新的なFRP素材」が、川下製造業共通の強いニーズとされながらも実現できていなかった。株式会社アイ.エス.テイが開発した夢の高強度有機繊維IMIDETEXRと滋賀県との連携による複合化技術の研究開発で、このニーズに応える革新的なFRP素材及びその中間材料を実現する。
開発した技術のポイント
・高強度ポリイミド繊維IMIDETEX(R)に対し、強度を保持し異種材料(エポキシ樹脂)との結合力を確保できる最適な繊維処理手法を確立した。
・エポキシ樹脂を用いてプリプレグ化した場合のIMIDETEX(R)は既存の製造工程で成形可能で、構造部材としても使用可能な高強度FRP(i-FRP)として成立した。
・IMIDETEX(R)を欠損少なく機械製織できる手法と、織物形態においても、構造部材として使用可能な結合力を付与し、FRP向けの最適な繊維処理手法を確立した。
・硬化したi-FRPは、既存のAFRP同等以上の引張強度を有していた。
・i-FRPは低荷重衝撃から破壊に至るまで優れた耐衝撃性を有していた。また、CAI試験において試験規格内で唯一破壊しなかったことから、部分破壊後も荷重変形での破壊領域が拡大しにくく、構造を保持する特徴が認められた。
・CFRPとの組み合わせでは、AFRPより大幅に高い結合力を発揮したことから、層間せん断強度の低下を最小限に抑えたハイブリッド積層FRPとしても成立した。
・アドバイザ助言から追加研究を行った電波特性において、広帯域の電波に対し既存FRPより優れた透過特性を有することも実証できた。
具体的な成果
・FRP化技術を確立、優れた高強度・耐衝撃・耐候特性
-高(引張破壊)強度1,554MPa(Vf60%換算)を実現した。
-高結合力(層間せん断強度)58MPaを実現した。
-非破壊~破壊までの広域で優れた耐衝撃特性を確認した。
-紫外線による外観を含む劣化が少ないことを確認した。
-既存の工程で市販のFRP用中間材料であるカーボンプリプレグ等とのハイブリッド積層が可能である。
・その他の特徴
-CFRPハイブリッド積層でも層間せん断強度が高い(62MPa)。
-衝撃破壊後の圧縮でも剥離進展しにくく、形状を保持する傾向がある。
-優れた電波透過特性(低誘電率・低誘電正接)を有する。
研究開発成果の利用シーン
・開発した結合技術によって、FRP用の強化繊維として、単独またはハイブリッド積層でも構造部材として成立、優れた強度と耐衝撃特性及び耐候性が実証できた。よって、既存のあらゆるFRP製品に対し、耐衝撃特性の付与が期待できる。
・優れた耐衝撃特性に加えて部分破壊発生後も構造を保持する傾向があり、、航空機分野や自動車分野等での飛散しにくい構造部材としての活用が期待できる。
・電波に対して広帯域で既存のFRPを上回る透過性を発揮する特徴から、今後ますます加速する高速移動通信機器等への適用が期待できる。
・これらを実現する中間材料となるプリプレグの開発においては、既存の製造プロセスにマッチックさせたことにより、既存製造メーカーは新たな設備投資なしに成果が利用できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
採用期間が最も早いと考えられるスポーツ用品業界への営業を重点的に図っている。現在、大手一流スポーツ用品メーカーに対し無償サンプルを提供しつつ、新たに得た知見をフィードバックしながら、量産設備開発にて製造技術課題を解決中である。さらに継続した用途開発への取り組みを行うことにより早期の事業化を目指す。
提携可能な製品・サービス内容
素材・部品製造、製品製造
製品・サービスのPRポイント
本事業で開発を進めるFRP及びその中間材料は、エンドユーザが熱望する従来FRPの弱点を克服する、極限環境でも高強度と耐衝撃性を持続する世界初の革新的な新素材である。
今後の実用化・事業化の見通し
株式会社アイ.エス.テイは、本案件に対し、事業終了後も量産設備開発と用途開発に新たな追加投資を行った。
IMIDETEX(R)事業部を設立し、研究開発及び販路拡大を強化、早期の実用化に向けて自社内でもスポーツ用品の製品開発を開始した。
一部の未達成課題及びサンプル提供先からのフィードバックを反映した量産化設備及び技術の研究開発を行い、量産化を見据えた課題解決を目指している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社アイ.エス.テイ |
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事業管理機関 | 公益財団法人滋賀県産業支援プラザ |
研究等実施機関 | 滋賀県工業技術総合センター |
アドバイザー | 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 構造・複合材技術研究ユニット スーパーレジン工業株式会社 経営戦略室 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社アイ.エス.テイ(法人番号:5160001000012) |
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事業内容 | ポリイミド樹脂を軸とした高機能高分子材料、OA機器用機能性部材、各種テキスタイル素材および製品、不燃繊維素材および応用製品、系両利きなどを中心とした新しい材料と製品の研究開発およびそれらの製造 |
社員数 | 134 名 |
生産拠点 | 滋賀県大津市一里山5丁目13番13号 |
本社所在地 | 〒520-2153 滋賀県大津市一里山5丁目13番13号 |
ホームページ | http://www.istcorp.jp |
連絡先窓口 | 研究開発本部 部長代理 上原 聡 |
メールアドレス | satoshi_uehara@istcorp.jp |
電話番号 | 077-543-2211 |
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