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複合・新機能材料

2,000℃以上の超高温での工業用カーボン材料の物性把握、熱膨張率計測を実現

東京都

日本カーボン株式会社

2020年3月23日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 工業用カーボン高温物性の計測評価による製造・製品高度化の研究
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、情報通信、スマート家電、半導体、工作機械、エレクトロニクス、光学機器、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 黒鉛材料、炭素材料、黒鉛ルツボ、黒鉛ヒータ、電気抵抗
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成20年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

電炉製鋼、シリコン半導体製造等では製造プロセスの熱処理材料として高強度で熱衝撃に強い工業用カーボン材料が望まれている。本事業では、高温における電気的、熱的、機械的特性を正確に計測ができる装置を開発し、種々の調製条件の異なるカーボン製品の高温特性のデータベースを構築する。そして、川下製造業での操業時及びカーボン材料製造の熱処理の省エネルギー、低コスト化、カーボン材料の原単位削減という高度化を目指す

開発した技術のポイント

工業用カーボンの電気的、熱的、機械的特性の計測装置を開発
・高温時での計測
→2,000℃を超えた温度で±10μm程度の膨張・収縮を計測
・高温物性データベースの構築
・工業用カーボン材料製造における黒鉛化プロセスの物理特性の把握
(新技術)
(特徴)
・2,000℃を超えた温度での熱膨張率の測定
・工業用カーボン材料の高温物性の把握
・工業用カーボン材料の高温熱処理(黒鉛化)における特性の把握

具体的な成果

・工業用カーボン材料の高温物性をデータベース化
‐種々のカーボン材料の高温物性を計測し、調製条件が高温物性に与える影響をデータベース化
‐室温での物性値が類似している材料でも、高温での物性値と温度依存性は、調製条件で異なることが判明
‐カーボン材料の高温での機械的特性は、カーボン材料のかさ密度と細孔構造に影響を受ける
・カーボン材料の黒鉛化に伴う物性変化の分析
‐カーボン材料の製造の際の高温熱処理(黒鉛化)にともなう熱伝導性、電気抵抗の変化を計測、エックス線回折による結晶構造解析を実施
‐熱伝導と電気伝導現象は、キャリアがフォノンと電子と各々異なるので、高温での温度依存性が微妙に違うことを見出した
・2,000℃を超える超高温での熱膨張計測装置の開発(図1)
‐2,000℃を超える超高温での熱膨張による伸びを計測する装置を新規に開発(図2)
‐JIS R2207-3法に準拠して、2,400℃までの熱膨張率と線熱膨張係数を算出することが可能
‐熱膨張係数とその温度依存性もまた、カーボン材料の調製条件に影響することが判明(図3)

開発した熱膨張計測装置
2000℃超の高温で熱膨張を測定している様子
開発した装置によって測定された3種類のカーボン材料の熱膨張係数の温度依存性
知財出願や広報活動等の状況

・特許:「超高温熱膨張試験装置」(特願2011-043662)
・論文:岩下哲雄「カーボン材料の高温での引張試験」 材料試験技術, Vol.55 No.2, 76-80 (2011)
.論文:岩下哲雄「ガラス状カーボン材料の高温曲げ強度の及ぼす表面粗さの影響」 材料試験技術, Vol.55 No.4, 173-178 (2011)

研究開発成果の利用シーン

工業用カーボン材料製造の高温熱処理(黒鉛化)技術、及び川下製造業者が工業用カーボン製品を使用するときの熱処理技術の高度化に寄与

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・実用化に成功、H25年度の事業化を目指し活動中
・川下製造業が要求する技術データの取得と提供今後の見通し

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造

製品・サービスのPRポイント

・耐久性の向上:使用高温環境での電気抵抗、熱物性の把握
・強度・熱衝撃性向上:高温強度など機械的物性変化の把握
・省エネルギー化:使用高温環境における抵抗値、熱物性値から最適条件を検討できる

今後の実用化・事業化の見通し

新規開発材料の調製条件等を検討し、川下製造業者へ材料提供
・高温物性評価装置を利用して、既存のカーボン材料製品の使用時の技術データを継続して計測して、新規開発材料の調製条件を検討
・カーボン材料製造時の物性変化を詳細に計測して、製造の歩留まり向上を目指した研究を実施
・今後も、得られた高温物性計測値より、新規開発材料の製造調製条件の探索と最適化を図り、川下製造業者へ新材料を提供していく

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 日本カーボン株式会社 富山工場製造部
事業管理機関 国立研究開発法人産業技術総合研究所 つくば中央事業所 産学官・国際連携推進部 プロジェクト支援室
研究等実施機関 新日本テクノカーボン株式会社 仙台工場 開発部
国立研究開発法人産業技術総合研究所 つくば西事業所 分析計測標準研究部門

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 日本カーボン株式会社(法人番号:9010001035011)
事業内容 ガラス・土石製品
社員数 154 名
生産拠点 富山県、滋賀県
本社所在地 〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-10-7
連絡先窓口 新日本テクノカーボン 開発部 薄葉
メールアドレス h-usuba@technocarbon.co.jp
電話番号 022-359-2611