複合・新機能材料
難燃剤の脱ハロゲン化、環境での安定性を目指し、機能性の高いリン系難燃剤と、安全・環境面・低コストに配慮した有機酸系難燃剤を同時に活用した新規の高機能・環境に配慮したハイブリット難燃剤および難燃樹脂を実現する
愛知県
服部株式会社
2024年12月5日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高機能・環境に配慮したハイブリット難燃剤の開発 |
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基盤技術分野 | 複合・新機能材料 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、スマート家電、エレクトロニクス、印刷・情報記録、化学品製造 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 難燃剤、繊維、印刷、樹脂、構造解析 |
事業化状況 | 事業化に成功 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車産業、エレクトロニクス産業の発展において、自動車や電子機器の火災事故を防ぎ、安全・安心な難燃材料を提供することが必要である。そこで本研究開発では、難燃剤の脱ハロゲン化、環境での安定性を目指し、機能性の高いリン系難燃剤と、安全・環境面・低コストに配慮した有機酸系難燃剤を同時に活用した新規の高機能・環境に配慮したハイブリット難燃剤および難燃樹脂を実現する。
開発した技術のポイント
・高機能難燃剤の開発
-赤外吸収スペクトル法による分子構造解析、電子顕微鏡を用いたミクロ構造、X 線回折による結晶構造解析を実施し、難燃剤の構造と難燃特性との相関性を明らかにした
-難燃性能が向上する難燃メカニズムを明らかにした
・高機能難燃樹脂の開発
-新規難燃剤の構造解析を行い、目標の難燃剤であることが証明できた
-難燃剤と PET 樹脂を混錬複合化した難燃樹脂について、組成分析を行い、樹脂内での難燃剤の分布や構造の変化について明らかにした
・難燃樹脂成形体の開発
-糸状の練り込み樹脂であるストランド及びストランドを細かくしたペレットの作製を実施
-PET 樹脂内での難燃剤の分散性などの微細構造が強度特性に大きく影響していることが明らかになった
具体的な成果
・高機能難燃剤の開発
-アミノ酸及びカルボン酸を用いたハイブリッド難燃剤で難燃特性を満たす水系コーティング剤の配合比率を確立
-LOI値は、目標数値35には届かなかったものの難燃基準値である25以上の28を達成
・高機能難燃樹脂の開発
-リン系難燃剤にアミノ酸を化学的に置換させた新規難燃剤を合成できた。難燃剤の基準値である V-2 レベルの評価は得られた
-PET 樹脂と難燃剤を複合化することで、PET 樹脂が加熱により分解する際に生ずる発熱量を大きく抑制させる効果があることが判明
・難燃樹脂成形体の開発
-ストランド、ペレットを用い高機能難燃成形品として、難燃樹脂シートを作成
-各種難燃剤と PET 樹脂を複合化した難燃樹脂成形体の難燃特性評価は、高機能難燃樹脂の評価法と同様の UL-94 規格で行い V-2 基準を得ることができた
研究開発成果の利用シーン
自動車産業や電子産業において、難燃性に優れ、環境性能を向上させた材料を低コストで提供できる。それらを用いることで、自動車や電子機器の性能向上、低コスト化を実現できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
開発した技術を、従来取り扱っている生地を用いて試作化、事業化を進める予定。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・難燃性の向上
・環境に悪影響が想定されるハロゲン系難燃材を使用しないことで、環境性能の向上
・枯渇が懸念され、調達コストが上昇しているリンの使用量低減による低コスト化
今後の実用化・事業化の見通し
開発した技術を、従来取り扱っている生地を用いて試作化、事業化を進める予定。さらに平行してアドバイザー企業協力の元、カーシートの応用へと発展させ事業化計画にのっとり収益化を目指す。さらに、安全性に優れ、難燃性を有する新規難燃剤の開発に成功し、カーシート分野においてその高い難燃性を有する事が確認できた。しかし、残念ながら開発した難燃剤と樹脂との混錬技術には課題が残った。今後、事業化に向けて他社との連携を強化し事業化を目指す。
実用化・事業化にあたっての課題
カーシートの応用への発展
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 服部株式会社 東名みよし工場・技術開発室 |
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事業管理機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 |
研究等実施機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター ナノ構造研究所 服部株式会社 東名みよし工場・技術開発室 |
アドバイザー | トヨタ紡織株式会社 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 服部株式会社(法人番号:1180001039853) |
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事業内容 | 幟・幕・旗等 繊維製品における広告宣伝物の印刷 |
社員数 | 100 名 |
本社所在地 | 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2丁目14番12号 |
ホームページ | https://www.hattoribana.co.jp/ |
連絡先窓口 | 服部株式会社 技術開発室長 深井 大 |
メールアドレス | fukai@hattoribana.co.jp |
電話番号 | 090-1734-5630 |
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