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バイオ

国産唯一のウシ血清で、厚生労働省生物由来原料基準を満たした細胞培養用血清の製法を高度化

広島県

有限会社ジャパン・ラム

2022年1月25日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 医薬品・再生医療向け細胞培養用新規原料『ウシ加工処理血清』の安定製造技術開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 医療・健康・介護、農業、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 再生医療、細胞培養、生物由来原料基準、ウシ血清
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成30年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

再生医療等製品において細胞培養用原料として汎用されるウシ胎児血清は、1需要増による高額化、2採取方法による品質リスク、3不特定胎児由来のロット差、等の問題があり、ウシ胎児血清を含む海外産原料の価格等が再生医療関連産業の成長阻害要因の一つとなっている。そこで、新規国産原料「ウシ加工処理血清」製造の技術開発を行い、1安価、2高品質、3均一な医薬品・再生医療向け原料を安定提供することで課題解決を図る。

開発した技術のポイント
開発した製法による「ウシ加工処理血清」

・ 「ウシ加工処理血清」の製造工程の標準化
-事業完了後の海外展開に関しても検討した。
・「ウシ加工処理血清」の品質管理・保証体制の構築
-無菌、エンドトキシン、マイコプラズマ、ウイルス試験を含む項目を検討し、生理活性物質の探索も視野に入れた。
-ウシの飼育から製品製造までの一連の工程において、事業後の本格製造のための体制を構築できた。
・血液成分分離装置の設定パラメータの至適化
-ヒトではなくウシ向けに設定パラメータを調整・至適化するのは新規の取組であった。
-装置の設定パラメータを調整して大量処理・高品質化を行い、10%以上の高速化を実現した。
・血液成分分離装置のウシ専用プログラムの開発
-ウシ採血に至適化させて大量・高速採血を可能とし、日本語版・英語版のプログラムを完成させた。ウシ向けである点が新規の取組であった。
-プログラムの頑健性を向上させるための取組を行った。
・血液成分分離装置のウシ専用回路の開発
-回路のローラーポンプ部のチューブ径を太くする、回路を並列化するなどの改変を実施し、高速・大量採血を実現した。
-回路の頑健性を向上させるための取組を行った。
・ウシ加工処理血清の製造工程改良に伴う同等性評価
-高速かつ大量に培養しながら、安定した品質を保持していることを成分分析や細胞培養度により評価した。

具体的な成果

・ 「ウシ加工処理血清」の製造工程の標準化
-本格製造への移行に向けて、SOPの整備、プロセスの検証を行い、製造工程を標準化
・「ウシ加工処理血清」の品質管理・保証体制の構築
-分析項目、分析方法の検討から、品質管理項目を決定し、品質保証の実施体制を確立
・血液成分分離装置の設定パラメータの至適化
-装置の設定パラメータを調整して大量処理・高品質化を行い、10%以上の高速化を実現
・血液成分分離装置のウシ専用プログラムの開発
-ウシ採血に至適化させて大量・高速採血を可能とし、日本語版・英語版のプログラムを完成
・血液成分分離装置のウシ専用回路の開発
-回路のローラーポンプ部のチューブ径を太くする改変を実施して高速・大量採血を実現
・ウシ加工処理血清の製造工程改良に伴う同等性評価
-成分分析及び細胞培養度を検討し、同等性評価を実施

日本国内のウシに由来する原料から生産
知財出願や広報活動等の状況

補助事業開始前に基本特許となる「ウシ血清組成物及びそのウシ血清組成物を添加剤として使用する細胞の培養方法」の国内特許権を取得し、国際出願を行っている(特許第6212723号、PCT/JP2016/83990)。外国特許としてオーストラリア、ニュージーランド、EPC及び米国で特許権を得ており、EPCからイギリス、フランス、ドイツへ移行した。

研究開発成果の利用シーン

今回の成果が寄与すると想定している具体的なユーザーは、細胞培養により医薬品・再生医療等製品を製造・開発している企業・研究者である。今回の成果を実用化できれば、対抗製品となるFBSより安価で高品質な製品を企業や研究者に届けることが可能となる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

衛生面と品質面について川下製造業事業者等から一定の評価を得られている。少しずつリピーターといえる顧客を獲得できているため、継続購入している顧客の満足度を高め、安定した供給を進めていく計画である。再生医療産業が地位をなし、厚生労働省の法整備がなされたところで市場へ本格投入を行う計画である。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

今回の成果を活かした製品の大量生産を進めることができれば、高品質な「ウシ加工処理血清」を15万円/L程度の価格で提供できると想定される。

今後の実用化・事業化の見通し

補助事業期間中からサンプル提供を継続して実施しているため、再生医療産業が地位をなし、厚生労働省の法整備がなされたところで市場へ本格投入を行う計画である。市場優位性を判断できるまでは受注生産的に製造を行い、少しずつリピーターを増やしていく戦略が有効と考えている。国内の環境が整うより先に海外顧客への提供が有利と判断できる状況となった場合は、アジア中心の拡大が期待できる市場へ再生医療産業向け製品として販売していく。現在、海外展開としてオーストラリアの協力企業との連携を進めている。

実用化・事業化にあたっての課題

製品の本格製造に向けた一連の製造工程の頑健性を高める取り組みをさらに進めることが今後の課題である。今後の追加研究では、コスト削減に向けた取組を進め、顧客側が購入しやすい価格設定が可能となるよう、一層の技術開発を進めていく予定である。

事業化に向けた提携や連携の希望

再生医療等製品を開発する研究室・企業と連携して、製法改善を行った「ウシ加工処理血清」を原料として利用した新製品研究・開発を実施していきたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 有限会社ジャパン・ラム
事業管理機関 公益財団法人とかち財団
研究等実施機関 株式会社ジャパン・バイオメディカル
学校法人兵庫医科大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 有限会社ジャパン・ラム(法人番号:6240002038653)
事業内容 医学検査材料用、動物血液及び血清の製造・販売
社員数 30 名
生産拠点 本社(広島県)、北海道牧場(北海道)、千葉事業所(千葉県)
本社所在地 〒720-2111 広島県福山市神辺町上御領1711-6
ホームページ http://www.japan-lamb.jp
連絡先窓口 有限会社ジャパン・ラム 財務部 梅沢 晃
メールアドレス ko.umezawa@japan-lamb.jp
電話番号 084-965-0574