接合・実装
中小企業でも使いこなす!ファイバーレーザ溶接ロボットによる高水準の溶接技術
北海道
株式会社ワールド山内
2022年1月9日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ステンレス鋼のファイバーレーザ溶接ロボットによる低ひずみ・高強度技術の研究開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、産業機械、建築物・構造物 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加) |
キーワード | ファイバーレーザ溶接、溶接ロボット、ステンレス、高品質、低ひずみ |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 平成30年度~令和2年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
近年、需要が伸びているステンレス鋼の接合法としてファイバーレーザロボット溶接システムが注目されているが、未だ技術課題も多く、川下企業の品質要求に応える溶接条件の確立には至っていない。本件では、IoT生産管理システムに当該システムを組み込んだ上で、従来技術では製造困難な製品を試作し、高精度・省力化手法を検討する。さらに実製造現場で活用可能な自動溶接条件マップを作成し、中小企業の生産性向上を図る
開発した技術のポイント
・ファイバーレーザ溶接ロボットによる具体的案件の試作と評価
-送風ノズルを試作し、マクロ組織観察、X線透過観察、三次元座標測定機によるひずみ測定においてTIGと同等以上の品質であることを確認した。
-PMT(光電子増倍管)保護カバーを試作し、溶接部の隙間量が溶接品質へ与える影響を調査した。
-新幹線用目違い防止工を試作し、6kW 発振器による窒素ガスとフィラーワイヤーを使用した侠開先2層溶接により、14mm の深溶込み条件を見出すことができた。
- 0.5mm ノズルを試作し十分な品質を確保し、製品化可能な状況となった。
・ファイバーレーザ溶接部の健全性評価に基づいて最適化された溶接条件と品質の相関マップ作成。
-薄板(板厚 2.0t~6.0t) 完全溶け込み溶接の条件
-薄板(板厚 0.5t~2.0t) 気密溶接
-厚板(板厚 9.0t~22t) 開先なし、及び狭開先溶接
具体的な成果
・ファイバーレーザ溶接ロボットによる具体的案件の試作と評価
-送風ノズルは、現行のTIG溶接の製品と比較して、同等以上の品質で、かつ生産工程のボトルネックである溶接時間の1/3を削減することができ、生産量は50%の増加を見込むことができる。
-送風ノズル肉0.5mmノズルは川下企業から製品サンプルを承認いただいた。
-PMT保護カバーについては生産工程のボトルネックである溶接時間を1/3以下に削減し、生産量200%増加を見込める。
-目違い防止工は溶接条件を導出し、溶接サンプルを作成、溶接部の評価が完了した。
-ファイバーレーザ溶接の最大のメリットである「必要な熱量を必要な個所に加えることができる」ことを利用し、ファイバーレーザ溶接ロボットを利用することでメリットがある溶接条件の範囲をマップとしてまとめることができた。
研究開発成果の利用シーン
ファイバー溶接ロボットを展開することで、従来技術(TIG溶接など)に比べて同等以上の品質を、自動で加工可能となる。熟練技術者がいなくとも高品質の溶接を量産化することが可能となる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
試作は終了しており、川下企業からの受注を待っている状態である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、素材・部品製造、製品製造
製品・サービスのPRポイント
ファイバーレーザー溶接は、従来溶接技術と同等以上の品質を達成できる技術である。
また、ロボットを適用し自動化することで、熟練技術者でなくとも高品質な溶接加工を可能とする。
人手不足を解消し、高品質な溶接を可能とする技術開発である。
今後の実用化・事業化の見通し
すでに一部受注しているが生産能力が不足するために受注量を制限している。
試作の段階から取り組み、独自の溶接技術を使用、または強度試験を行っているため他社では製作が難しい案件であり、
生産能力の向上により川下各社の量産受注ニーズに応えることで、高い確率で受注が可能であると考えている。
実用化・事業化にあたっての課題
今後、今回の事業で得られた知見をもとに、川下企業が、どのような溶接部の評価が必要かを確認しつつ、ファイバーレーザ溶接への工法変更を推進することが課題である。
溶接条件マップについては、現状で完成していない。今後、常に更新して溶接条件を追加し、必要に応じて溶接の健全性を評価した資料を添付する必要がある。更に今後は、専用ソフトウェアの開発、IoTシステム化の検討も行う必要がある。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ワールド山内 |
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事業管理機関 | 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター クラスター事業部 |
研究等実施機関 | 苫小牧市テクノセンター 国立大学法人室蘭工業大学 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ワールド山内(法人番号:9430001018147) |
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事業内容 | 金属製品加工 |
社員数 | 98 名 |
生産拠点 | 北海道北広島市に延べ敷地面積約6千坪内に4つの工場を保有し、第5工場も現在着工中。 |
本社所在地 | 〒061-1274 北海道北広島市大曲工業団地4丁目3-33 |
ホームページ | https://world-yamauchi.co.jp/ |
連絡先窓口 | 小野寺 邦之 |
メールアドレス | k_onodera@world-yamauchi.co.jp |
電話番号 | 011-377-5766 |
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