測定計測
橋梁の老朽化による倒壊を防ぐ
和歌山県
4Dセンサー株式会社
2021年2月17日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ホモグラフィ変換1ピッチ格子位相解析法を用いたインフラ劣化診断用全面ひずみ計測装置の研究開発 |
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基盤技術分野 | 測定計測 |
対象となる産業分野 | 産業機械、建築物・構造物 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、低コスト化 |
キーワード | ひずみ分布計測、変位分布計測、非接触、高速度、高精度 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
政府はインフラに係る人員不足・予算不足を補うため、将来的にドローン等を活用すると発表しておりドローンと連携した計測技術が求められている。また、インフラ維持管理の現場では現状の定性的な劣化診断に加え定量的に診断したいニーズが寄せられている。本事業で、測定物に固着させた格子シートをドローン等で撮影した画像データからひずみを計測する技術を開発し、定量的なインフラ劣化診断を実現する。
開発した技術のポイント
今回開発した画像ひずみ計測法は、HOPPA法(ホモグラフィ変換1ピッチ格子位相解析法)という。
HOPPA法を用いて以下の技術を開発した。
・HOPPA法による変位分布・ひずみ分布計測技術の確立
・HOPPA法によるひび割れ開口量計測技術の確立
・HOPPA法によるホモグラフィ変換技術の確立(画像をホモグラフィ変換するソフトウェア開発)
・HOPPA法による3次元変位分布計測技術の確立
・対象物に応じた最適格子シートの開発(対象物:コンクリート用、鉄用を開発)
具体的な成果
本研究開発では、平成29年度から令和1年度までの3年間、高速高精度な位相解析技術をひずみ計測用に高度化させたHOPPA法(ホモグラフィ変換1ピッチ格子位相解析法)の確立を目的とし、定量的にインフラ劣化診断できる全面ひずみ計測装置を研究開発した。
1年目は、HOPPA法をソフトウェアに組み込み、HOPPA法の基本性能を確認した。また、広範囲計測用格子シートの開発も行った。
2年目は、引張試験機を用いて、HOPPA法と従来法であるひずみゲージとの結果を比較し性能評価をした。また、HOPPA 法による3次元変位分布計測技術の確立と、ドローンを用いた室内実証実験を実施し、ひび割れ開口量計測での計測結果について精度評価をした。
3年目は、HOPPA法の利便性向上のため、ソフトウェアUIを設計し、外注とソフトウェアの作成をした。作成したソフトウェアを用いて引張試験時の計測を行い、シミュレーションソフトと比較して、変位・ひずみを求めるアルゴリズムが正しく組み込まれていることを確認した。また、ドローンを用いた屋外撮影実験を実施し、データの解析を行った。
知財出願や広報活動等の状況
生産設備のトライアル計測活動を行った。
研究開発成果の利用シーン
本研究開発の成果によって、ドローンによる撮影データからひずみ計測を基に橋梁の劣化診断を行うことができるようになる。
また、工場内の大型生産設備を対象に、変位計測装置として活用できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
本研究開発の事業化は、ドローンの撮影データからひずみ計測を基に橋梁の劣化診断を行うことであるが、ひずみ計測のプログラムは完成したものの環境による格子シートの劣化やドローンの撮影に課題が残ったため、即座に事業化は困難で継続した研究開発が必要な状況である。
提携可能な製品・サービス内容
試験・分析・評価
製品・サービスのPRポイント
本研究開発では、高速高精度な位相解析技術をひずみ計測用に高度化させたHOPPA法(ホモグラフィ変換1ピッチ格子位相解析法)を確立した。
ドローンを用いて、インフラ構造物のひび割れ開口量計測が可能となり劣化診断できる見込みである。
また、開発した計測プログラムを活用して、固定のカメラと望遠レンズを用いてひずみ計測も可能となる見込み。
インフラの劣化診断や、大型生産設備のひずみ計測にを実現でき、コスト、人員削減が可能となる。
今後の実用化・事業化の見通し
完成したひずみ計測のプログラムを活用し、ドローンの高度化を待たずに固定されたカメラと望遠レンズを用いて、ある程度離れた距離における格子シートを望遠レンズで撮影・解析するひずみ分布・変位分布計測装置を実用化していく。
また、工場内における生産設備の動きの監視に関するニーズが強くあることが分かったので、今回開発した試作機を元に、室内での大型の機械(生産設備)を対象にした変位計測装置を実用化していく。
実用化・事業化にあたっての課題
HOPPA法を用いたひずみ分布計測について、計測例を増やす必要がある。また、応力ひずみ線図としてデータをまとめるように改善する必要がある。
格子シートについては、塩害の耐久性や直射日光による耐熱性については評価していないため、海沿いや高温になる地域で計測する場合は、地域の特性に合わせた実用実験をする必要がある。
ドローンのホバリング精度は±50㎝程度あり、橋梁などはドローンのコンパスを狂わせ操縦は困難になることが想定される点や、バッテリーで飛行するため飛行時間は限られる点など、ドローンを用いた画像計測精度の課題がある。ドローンの計測精度の高度化をドローン業者と連携して進めていく必要がある。
事業化に向けた提携や連携の希望
生産設備の動きを監視したい大手企業に提案を希望
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 4Dセンサー株式会社 本部 |
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事業管理機関 | 和歌山県中小企業団体中央会 |
研究等実施機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
アドバイザー | 株式会社島津製作所 国立大学法人和歌山大学 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 4Dセンサー株式会社(法人番号:1170001012381) |
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事業内容 | 画像計測機器の研究開発製造販売およびコンサルティング事業 |
社員数 | 10 名 |
生産拠点 | 和歌山本社、東京事務所 |
本社所在地 | 〒640-8550 和歌山県和歌山市梅原579-1 |
ホームページ | 4d-sensor.com |
連絡先窓口 | 代表取締役社長 柾谷 明大 |
メールアドレス | info@4d-sensor.com |
電話番号 | 073-454-1004 |
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