バイオ
iPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実用化開発
大阪府
株式会社ジェイテックコーポレーション
2021年2月16日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | IPS細胞等幹細胞の高効率な継代作業を実現した3次元大量継代培養自動化技術の実用化開発 |
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基盤技術分野 | バイオ |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化 |
キーワード | 再生医療、iPS細胞、大量培養、3次元培養 |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
再生医療への大きな期待により、国や企業が多額の研究費により難治性疾患治療法の確立を急ぎ目指している。iPS細胞は主に手作業で培養されており、生存率などの品質が低く、細胞の形質にバラつきが多く、また手間やコストも必要とされる中で、再生医療には高品質で大量の細胞が要る。そこで本研究にて臨床現場に普及し易い低コストの大量継代培養自動化システムを構築し、品質、バラつき、コストを満足する細胞の提供を目指す。
開発した技術のポイント
・細胞継代培養「JiSS」での大量培養に向けたプロトコル(製造法)の構築
-シリンジ型の25ml、50mlガラス製培養ベッセルならびに大量培養に向く10ml樹脂製培養ベッセルを開発し、それぞれの最適培養条件を確認した。
-細胞小片化のための金属メッシュフィルタ周辺の構造最適化を行った。
-1.0×10^8(1億)個のiPS細胞が得られることを実証した。
-得られたiPS細胞は心筋細胞に分化し、この心筋細胞シートが拍動することを確認した。このシートは、冷凍保存が可能であった。
-CO2インキュベータが不要となる回転培養ユニットを開発した。恒温温度は37±0.3℃で制御できた。
・「JiSS」を適用した臨床応用可能な低コストのiPS細胞継代培養自動化システムの構築
-継代培養自動化システムを構成するターンテーブル、ジョイントステージ、小片化・分散ユニットを開発した。
-臨床応用向けの装置に使用可能な低コストアクチュエーターを開発し、このアクチュエーターによる培養ベッセル移送ユニットを開発した。
-本自動化システムにより、1.0×10^8(1億)個のiPS細胞が得られた。
-培養に使用した培地の微生物検査では、菌やマイコプラズマなどの汚染は確認されなかった。
具体的な成果
・細胞継代培養「JiSS」での大量培養に向けたプロトコル(製造法)の構築
-「JiSS」の培養ベッセルの開発、培養方法、細胞小片化の最適化を進め、1.0×10^8(1億)個の概念実証を実施し、「JiSS」によるiPS細胞が心筋細胞に分化することを確認した。
-「JiSS」向けの回転培養ユニット(量産試作)の開発に成功した。
・「JiSS」を適用した臨床応用可能な低コストのiPS細胞継代培養自動化システムの構築
-「JiSS」を適用した臨床応用可能な継代培養自動化システムを開発し、樹脂製培養ベッセルによる1.0×10^8(1億)個の概念実証に成功した。
-本システムは、回転培養ユニットとiPS細胞継代培養自動化ユニットで構成されており、iPS細胞継代培養の過程で微生物汚染が無いことを確認した。
知財出願や広報活動等の状況
・特願2017-004993(H28/1/19)「大量細胞培養システム及びそれに用いるベッセル間細胞液移送装置並びに回転細胞培養装置」
研究開発成果の利用シーン
「JiSS」を適用したiPS細胞継代培養自動化システムを用いることで手作業の工程が無くなり、高品質なiPS細胞を低コストで、細胞シート等の製造に十分な数(1億個)だけ製造することができる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
「JiSS」については特定川下企業への紹介は進めており、2020年度末までに得られた実験データ等を持って 2021 年度初めから積極的に「JiSS」の導入検討に向けた紹介を開始する。その後は、2024 年度の実用化を目標に、2022~ 2023 年度にかけて導入検討を実施し、臨床応用に資するための特性・品質や安全性 の評価を実施する予定としている。また、大学・研究機関や他の川下企業となるベンチャー企業等へのアプローチを図るために追加研究開発での成果については学会総会での対外発表や学術論文投稿を行い、「JiSS」の成果や実績を示し、遅くとも 2024 年度から新しい川下企業等への導入検討を予定している。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
今回開発したシステムは臨床現場に普及し易い低コストの大量継代培養自動化システムであり、品質、バラつき、コストを満足する細胞を、細胞シート等の製造に十分な数(1億個)だけ提供することができる。
今後の実用化・事業化の見通し
本研究開発において開発に成功した回転培養ユニットならびにiPS細胞自動継代培養自動化システムについては、翌年度からiPS細胞ユーザーを中心にパイロットユーザーとなる研究機関等の探索、関係強化を図り、営業販売に使用できるデータ取得を進める予定である。
実用化・事業化にあたっての課題
・今回開発した継代培養自動化システムで使用した培地から、微量のエンドトキシンが検出された。エンドトキシンを低減するために培養ベッセルの製造法を改善する必要がある。
・今回の開発では当初の目標である1.0×10^8個(1億個)のiPS細胞が得られたが、外科的治療用の軟骨等の大型組織においては10億個以上のiPS細胞が必要である。そのため、「JiSS」の更なる大量培養や高効率化が必須課題である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ジェイテックコーポレーション |
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事業管理機関 | 公益財団法人新産業創造研究機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人大阪大学 大学院工学研究科、大学院医学系研究科 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ジェイテックコーポレーション(法人番号:5140001023717) |
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事業内容 | 放射光施設用X線ミラーの設計 製作及び販売 自動細胞培養装置の開発設計 製作及び販売 各種自動化システムの開発設計 製作及び販売 各種材質の表面加工における開発 製造及び販売 再生医療に関する支援サービス |
社員数 | 40 名 |
本社所在地 | 〒567-0086 大阪府茨木市彩都やまぶき2丁目5番38号 |
連絡先窓口 | 公益財団法人新産業創造研究機構(担当:西野公祥) |
メールアドレス | nishino@niro.or.jp |
電話番号 | 078-306-6805 |
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