立体造形
高度化ケミカル加工によるガラス製曲面有機ELパネルの実現
大阪府
株式会社NSC
2021年2月16日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 車載・屋外フレキシブル有機ELパネル用大型・高強度ケミカル加工と封止構造の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車、エレクトロニクス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上)、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | ケミカル加工、ガラス、超薄、曲面、有機EL |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
湾曲可能なガラス製有機ELパネルを実現させるために、当社独自のケミカル加工技術の高度化と曲面有機ELパネルに最適な封止構造を開発し、車載や屋外で使える自由度が高く、フレキシブルな立体造形可能なガラス製ディスプレイおよび面照明を実現する。
開発した技術のポイント
湾曲可能なガラス製有機ELパネルを実現させるために、以下の2つの技術を開発
・高度化ケミカル加工技術(プロセスおよび設備)の開発
-目標:基板サイズ=730mm×920mm、面内板厚精度=±10%以下(板厚=100μm)
・曲面に最適な新規封止構造(超薄型)の開発
-目標:湾曲性=曲率半径R100mm、信頼性=恒温恒湿保存試験(85℃85%RH)500時間以上
具体的な成果
・高度化ケミカル加工技術(プロセスおよび設備)の開発
-小判検証(100mm角):単板ガラス基板の超薄研磨加工(50~100μm)のプロセス改善により、面内板厚精度±10%を達成し、4点曲げ強度試験にて破壊に至らないことを確認
-大判検証(730mm×920mm):ケミカル加工の高度化装置(研磨)を開発し、単板ガラス基板(500→100μm)にて面内板厚精度±10%を達成し、更にガラス製有機ELパネルに相当する貼り合せ基板(1000→100μm:片面50μm)にて面内板厚精度±10%を達成
・曲面に最適な新規封止構造(超薄型)の開発
-信頼性:ダム・フィル構造(含封止材料)の改良を行い、恒温恒湿保存試験(85℃85%RH)にて500時間を達成
-湾曲性:有機EL用真空封止装置を開発し、透明有機ELパネルを試作し、総厚150μm(片面75μm)で、固定曲面(曲率半径R100mm)が可能であることを確認、更に湾曲耐久性試験(曲率半径R200mm)にて累計湾曲回数10万回超でも可変曲面が可能であることを確認
知財出願や広報活動等の状況
・知的財産権:5件出願
・展示会出展:オートモーティブワールド(2019,2020)、J-Flex(2019)
・プレスリリース:山形大学学長記者会見(2019)、Webプレスリリース(2019,2020)
・学会発表:有機EL討論会(2019)、JIEPワークショップ修善寺(2019)
・雑誌掲載:月刊車載テクノロジー(2020)
研究開発成果の利用シーン
・高度化ケミカル加工技術および新規封止構造の開発により、ガラス製有機ELパネルでも、曲率半径 R100mm の固定曲面および可変曲面が可能であることを実証した
・これにより、インテリアデザインにマッチした車載用の曲面ディスプレイや快適に過ごすことができる面照明の製品化が可能となる
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・ガラス製有機ELパネルでは難しいとされていた曲面が可能となり、今後成長が期待される車載分野および照明分野の事業展開が可能となった
・車載ビジネスは、階層的サプライチェーン(車両メーカー、Tier1=電装メーカー、Tier2=パネルメーカー)が確立されており、車載用途の製品化には長期の開発期間を要することから、事業期間中から、各階層の川下企業を訪問し、開発試作等を対応中
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術ライセンス
製品・サービスのPRポイント
・ケミカル加工の高度化により、通常の厚みのガラス製有機ELパネル(総厚1000μm)を作製した後、超薄研磨加工(総厚150μm)を行うことで、湾曲可能な有機ELパネル(曲率半径R100mm)を実現することが可能となった
・そのため、既存のガラス製有機ELパネルの製造ラインをそのまま活用することができ、高度化ケミカル加工の追加投資のみで対応することができるため、設備投資額を抑制することができ、信頼性の高いガラス製曲面有機ELパネルを安価に量産することが可能となる
今後の実用化・事業化の見通し
・曲面ディスプレイは全世界1億台の自動車市場の内、2021年頃から高級車に導入され、価格次第では2023年のモデルチェンジ時に中級車に展開される可能性もあり、面照明への展開も含めて、本技術によるコストダウンが大きなカギを握るものと考え、事業化を目指し、量産技術の確立に向けて開発を継続中
・また、本技術は有機ELパネルへの展開に限定されるものではないため、本技術を活用し得る事業(カバーガラス、液晶パネル等)への展開も図る
実用化・事業化にあたっての課題
事業化にあたって、製造マージンを確保するために、高度化ケミカル加工技術に関して、工程能力の更なる改善や高度化装置に導入した新規仕様の完成度を高める必要があり、新規封止構造に関しても、信頼性の更なる向上を図る必要がある
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社NSC |
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事業管理機関 | 株式会社NSC |
研究等実施機関 | 国立大学法人山形大学 有機エレクトロニクスイノベーションセンター 硯里研究室 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社NSC(法人番号:1120901025082) |
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事業内容 | 表面処理事業、排水処理事業、薬品販売事業、再生加工事業および高純度化加工事業 |
社員数 | 500 名 |
生産拠点 | 本社工場(大阪府)、茂原工場(千葉県)、白山工場(石川県) |
本社所在地 | 〒561-0845 大阪府豊中市利倉1-1-1 |
ホームページ | https://www.nsc-net.co.jp |
連絡先窓口 | 株式会社 NSC 技師長 田村 達彦 |
メールアドレス | tamura.tatsu@nsc-net.co.jp |
電話番号 | 06-6862-5025 |
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