機械制御
航空機用光学式油量計システムの開発
長野県
多摩川精機株式会社
2021年2月16日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 航空機用燃料非接触防爆型油量計システムの研究開発 |
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基盤技術分野 | 機械制御 |
対象となる産業分野 | 航空・宇宙、自動車、産業機械、光学機器、輸送機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上) |
キーワード | 光学、液面計測、屈折率、プリズム、耐環境性 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成29年度~令和1年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
「電気系統が燃料に非接触で燃料量を検出できる航空機搭載可能な油量計システム」を開発することにより、従来の静電容量方式より安全性に優れた油量計システムを実現する。具体的には、フォトセルの配列による光学式油量計システムとし、万が一、故障等が発生しても燃料非接触であり、点火源にならない検出原理を用いる。
合わせて、航空機装備品に求められるシステム開発保証プロセス、ソフトウェア認証の設計手法を確立する。
開発した技術のポイント
・航空機に搭載可能な光学式油量計の原理確立
-光学式検出構造並びに検出ロジック回路の確立。
-耐燃料性、光透過性、強度、耐温度性、耐腐食性、耐カビ性、経年劣化を考慮したプリズム材質の選定
-2列配列による故障検出性向上と冗長性の確保
-発光体の点灯時間を最小化することによる省電力化、長寿命化
・ARP4754信頼性設計手法の確立
-CERTIFICATION PLANの作成、及び光学式油量計の設計にて実践した内容のレビューによるARP4754信頼性設計手法の確立
-安全性解析において、System Functional Hazard Assessment (SFHA)/ Preliminary System Safety Assessment (PSSA)よる設計保証レベル(DAL)の設定、Fault Tree Analysis(FTA)によるシステム検証の実施
・DO-178ソフトウェア認証手順の確立
-機体姿勢によって液面高さが変動する状況において、機体姿勢に対応した燃料量を計算するアルゴリズムの開発
-DO-178に基づいたソフトウェア設計の実践、DERによる模擬レビューの実施
具体的な成果
・航空機に搭載可能な光学式油量計の原理確立
-静電容量方式±2%より高精度な±1%(フルスケール)の計測精度を実現
-ヒステリシスや温度変化による精度変化をほとんど発生しない油量計を実現
-高低温度・高度試験、振動・衝撃試験、防爆試験、EMI試験などのQualification Testの通過
・ARP4754信頼性設計手法の確立
-油量計システムの安全目標設定、設計評価から検証までの一連のプロセスを構築、実践
・DO-178に係る認証プロセスを確認
-DERによる模擬レビューを通じてDO-178に係る全ての認証プロセスの了解が得られたことで、航空機用装備品のソフトウェア認証のノウハウを蓄積
・補助燃料タンクシステム搭載 地上システム試験
-完成した油量計を上位システムの補助燃料タンク模擬システムに連接させ、AIRモード時の補助燃料タンクから機体タンクへの燃料移送機能、アラート機能、GROUNDモード時の給油機能などの補助燃料タンクシステムの一連の機能を統合確認
知財出願や広報活動等の状況
多摩川精機特許 ・・・ 4件準備中
研究開発成果の利用シーン
・電気系統が燃料に非接触で液面高さを検出できる構造であり、従来品よりも安全性を向上することができる。
高度な安全性を求められる航空機の燃料システムでの利活用が可能である。
・燃料だけでなく、オイル、水等の液面検出が可能であり、自動車、鉄道、あらゆる輸送機器、産業機器のタンク搭載液量を計測することが可能である。
・温度による測定誤差がなく、従来品より高精度な液面検出技術により温度変動のある液体の液面計測精度を向上することができる。
温度変動が激しい環境下での高精度な液面計測が可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
油量計システムの開発を通して、協業メーカーとのつながりを構築。海外有力メーカーや国内機体メーカーとはコンタクトを継続。民間航空機用同システム関連の海外のメーカーから評価に関する助言を頂きながらコンタクトを継続している。また、海外より具体的な問い合わせも戴いている。
また、国内においては地上輸送機器に搭載する油面センサを試作開発中である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造
製品・サービスのPRポイント
・航空機に搭載可能な光学式油量計システム
-電気系統が燃料に非接触で液面高さを検出できる
-静電容量方式に比べ低コスト
-温度による測定誤差がなく、校正が簡単
-電源投入後すぐに正確な計測可能
-液面高さそのものを計測し、経年による精度変化がなくメンテナンスが容易
今後の実用化・事業化の見通し
航空機業界では搭載実績が重要視されるため、実績のある海外メーカーとの協業を目指し、海外有力メーカーとのコンタクト継続。また、国内機体メーカーとの情報交換を継続。航空機分野以外の業種について、油量計の市場動向を調査し、活用できる産業を開拓する。自社ホームページ内の注目製品として日本語の情報を掲載、また航空機関連機器の専用ホームページでは英語の情報を掲載、専用英文・和文のカタログをダウンロード可能とし、世界に向け発信している。事業化に向け評価、実運用等の実績の積み上げを進める事を計画している。
実用化・事業化にあたっての課題
・航空機環境よりさらに高温、耐振性を求められる環境条件下にて液面計測可能な油量計の開発
・航空機業界では搭載実績が重要視されるため、事業化に向けて海外メーカーとの協業が必要。実績の積み上げが必要である。
・海外より具体的な問い合わせもあるが、評価用サンプルを提供できる生産体制を作る必要がある。
事業化に向けた提携や連携の希望
航空機搭載実績のある油量計メーカーとの協業、または航空機燃料システムメーカーとの連携を模索中
航空機以外の輸送機器または産業機器への販路開拓に向けた販売協力会社を模索中
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 多摩川精機株式会社 第一事業所 |
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事業管理機関 | 公益財団法人長野県テクノ財団 伊那テクノバレー地域センター |
研究等実施機関 | 国立大学法人信州大学 工学部 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 航空技術部門 次世代航空イノベーションハブ |
アドバイザー | 航空機関連メーカーより招へいしたアドバイザー(詳細未公表) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 多摩川精機株式会社(法人番号:6100001022548) |
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事業内容 | 電子部品・デバイス・電子回路製造業 |
社員数 | 758 名 |
生産拠点 | 長野県飯田下伊那地域に3つの事業所、青森県に八戸事業所並びに5つの工場を保有 |
本社所在地 | 〒395-8515 長野県飯田市大休1879番地 |
ホームページ | https://www.tamagawa-seiki.co.jp |
連絡先窓口 | 多摩川精機株式会社 池上幸紀 |
メールアドレス | yukinori-ikegami@tamagawa-seiki.co.jp |
電話番号 | 0265-21-1985 |
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