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表面処理

低線膨張銅めっき

埼玉県

株式会社東設

2021年2月17日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 加熱しても膨れない・反らないIOT端末用低線膨張配線銅めっき液とコアレスプリント基板の電解めっき装置の開発
基盤技術分野 表面処理
対象となる産業分野 情報通信、印刷・情報記録
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 銅、めっき、スマホ、反り、線膨張
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

IoT多機能端末は銅めっき配線の塊である。TSVの加熱時の膨れ、コアレスプリント基板の反りを防止する銅めっき液を開発した。IoT多機能端末は、3日間無充電でサクサク動く。この添加剤は、銅めっきの最中に結晶格子内に侵入する。結晶格子が見掛け上大きくなり非平衡状態である。加熱すると平衡状態に戻るため添加剤を放出する。その為、加熱しても膨張しない。IoT社会のための膨れ、反り、はがれが起こらない銅めっきを提案する。

開発した技術のポイント

・めっき液とめっき物性
-ノジュールフリーで半光沢の、優れた外観特性を達成した。
-均一性は10μm±5%を達成した。
-めっきスピードは目標の倍の2.0μm/minであった。
-新しい回転リング-デイスク電極を用いた添加剤モニターを発案し、添加剤消費量の高精度分析を可能にした。96時間電解後液に測定添加剤を滴下して、再びボイドフリーに生き返らせた。
-線膨張率は、25~450℃において、従来の16×10^-6/Kから10×10^-6/Kに低減した。繰り返し加熱でも6×10^-6/Kを達成した。
・反り測定方法と反り量
-シャドーモアレ法を活用することにより、250℃加熱下で反りが従来銅の70%に低減した。
・TSVポンピング測定方法の検討
-5回の繰り返し加熱でもポンピング高さが0.1μm以下であった。
・量産蒸着重合装置の開発
-300mmSiウエハ向けの量産型蒸着重合装置を新規製作し、実際のライナーの成膜を確認した。
・Keep Out Zone(KOZ)の減少
-KOZ2.0μmを達成した。
・大型めっき装置の開発
-500x500mm基板の大型めっき装置を作成・試運転した。半光沢外観が得られ膜厚が10μm±5%以下を達成した。また2倍の2.0μm/minを達成した。

具体的な成果

・低線膨張銅めっき液の開発(微小めっき研究所)
-繰り返しの加熱にも関わらず低線膨張特性を発揮する銅めっき液を開発した。従来銅の1/3の線膨張となる。
-カーエレクトロニクス、5G向け半導体、プリント基板用銅配線に必要な諸基礎特定を評価した。目標数値をクリヤーした。
・共同研究実施機関の開発
-東設では500mm×500mmの大型めっき装置の試作を行い、実機テストした。
-アルバックでは300mmシリコンウエハ向けの量産型蒸着重合装置を試作し、成膜テストをした。

新開発めっき液の低線膨張特性
新開発の500mm×500mm大型めっき装置
知財出願や広報活動等の状況

1.V.Q.Dinh and K.Kondo,"Low Thermal Expansion Coefficient Electrodeposited Copper and Its Contraction Mechanism with Annealing",J.Surf.Finish.Soc.Japan,vol.68,no.2,pp.113-114,2017.
2.V.Q.Dinh,K.Kondo,"Low Thermal Expansion Coeffisient Electrodeposited Copper and Its Contraction Mechanism by Annealing",ECS J.Solid State Sci.Technol.,vol.6,no.8,pp.P566-P569,2017.
3.V.Q.Dinh,K.Kondo, T.Hirato,"Reduction of Thermal Stress in Copper TSV due to Annealing by Low TEC Copper",ECS Trans.,vol.86,no.9,pp.17-21,2018.
4.V.Q.Dinh, V.H.Hoang, K.Kondo,T.Hirato,"Thermal Stress Redection of Copper Through Silicon Via(TSV) with Annealing",ECS J.Solid State Sci.Technol.,vol.7,no.11,pp.P689-P692,2018.
5.V.Q.Dinh,V.H.Hoang,K.Kondo,T.Hirato,"Bottom-Up TSV Fliing Using Sulfonated Diallyl Dimethyl Ammonium Bromide Copolymer as a Leveler",J.Electrochem.Soc.,vol.166,no.12,pp.D505-D507,2019.
6.V.Q.Dinh,K.Kondo,T.Hirato,"Electrochemical Behavior of 2M5S and Its Influence on Reduction of Cu Pumping and Keep-Out-Zone",J.Electrochem.Soc.,vol.167,no.6,p.062504,2020.

研究開発成果の利用シーン

今回開発した繰り返しの加熱にも対応可能な低線膨張銅めっきを、カーエレクトロニクス、5G向け半導体、プリント基板などに使用することで、加熱による基板の反りやTSVのポンピングなどを防ぐことができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

数社から引き合い。販売実績有り。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

今回開発した繰り返しの加熱にも対応可能な低線膨張銅めっきを、カーエレクトロニクス、5G向け半導体、プリント基板などに使用した場合、加熱しても基板の反りやTSVのポンピングなどが起こらない。そのため、このめっきの使用はIoT社会の発展にもつながる。

今後の実用化・事業化の見通し

資金出資してくれる会社が数社出てきた。

実用化・事業化にあたっての課題

事業展開の課題としては、本サポイン事業の顧客対応から抽出した3つの共通課題に集中対応したい。
・パワーデバイス・反り
・プリント基板・反り
・フレキシブルプリント基板・パッドずれ

事業化に向けた提携や連携の希望

民間との共同研究を実施予定している。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社東設
株式会社微小めっき研究所
事業管理機関 公立大学法人大阪(大阪府立大学)
研究等実施機関 株式会社アルバック
塚本鍍金工業株式会社
アドバイザー ケミトロン株式会社 製品研究所 所長 秋山様
東芝メモリ株式会社 技監 高橋健司様
東北マイクロテック株式会社 社長 元吉様
三菱電機株式会社 主務 藤田様

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社東設(法人番号:4010801008212)
事業内容 半導体製造装置の設計、製造、販売、アフターサービス
社員数 50 名
生産拠点 本社工場(埼玉県入間市)
本社所在地 〒358-0045 埼玉県入間市寺竹46-13
ホームページ https://www.tosetz.com
連絡先窓口 株式会社微小めっき研究所 近藤 和夫
メールアドレス kkondo828@gmail.com
電話番号 090-8602-9489