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接合・実装

異種金属同士を加圧・通電加熱し、金属表面を分子間で融合させる「通電拡散接合」技術を開発し、自動車部品の低コストな量産技術の実用化を図る

栃木県

株式会社アオキシンテック

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 異種金属の通電拡散接合による自動車用エンジンバルブの量産技術の確立
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 航空・宇宙、自動車
産業分野でのニーズ対応 高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(使用機器削減)、高効率化(生産性増加)、低コスト化
キーワード 通電拡散接合、異種金属接合、コスト削減
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成29年度~令和1年度

プロジェクトの詳細

事業概要

エンジンバルブなどの自動車用部品は、異種金属同士を接合して生産されており、安価で大量に生産できる接合技術が求められている。従来は「摩擦圧接接合」方式であり、コストや生産面で課題があることから、本事業では、真空中で異種金属同士を加圧・通電加熱し、金属表面を分子レベルで融合させる「通電拡散接合」技術を開発し、大径・中空構造などの自動車関連部品の低コストな量産化技術として実用化を図る。

開発した技術のポイント

通電拡散接合技術は、真空中で金属同士を加圧・通電加熱することにより接合するものであり、接合前後の材料の形状変化が少なくバリ等が発生しないため、工程全体の効率化が可能となることで生産コスト低減が図れ、一方で、耐熱鋼など高価な材料の廃棄量削減などと資源保護にも有用な技術である。

具体的な成果

・高精度治具等の設計/試作
-治具の同軸度の確保
*達成目標である同軸度0.1mm以下に対し、30μmを達成。
-接合品質を確保するための治具冷却システム等の検討
*達成目標である接合時間20秒以下に対し、約10秒を達成。
・中空構造に対応した通電拡散接合技術の開発
-加圧・通電条件の最適化
*達成目標である接合強度250MPa以上を達成。
-接合面の評価
*各種接合状態の試験片について、接合面の断面方向についてEPMAによる元素分析を実施。強い接合となった条件ではSUH3内のFeが接合界面からの距離に応じて減少すること、弱い接合となった条件では同様の事象は見られず、接合面近傍に於いてCの局在が見られることを確認。
・IoTを駆使した量産技術の開発
-量産における耐久性の確保
*各種試験により1セットの治具にて、機器の破損等なく1,000回以上の良好な接合が行えることを確認。
-ロボット・IoTの活用
*拡散接合装置用ワーク移載装置を導入し、ワークの自動搬送を実現させた。これによりタクトタイム改善、量産安定性、オペレータの安全確保に有効であることを確認した。

自動搬送外観
接合後のワーク
接合装置治具外観
装置外観
研究開発成果の利用シーン

レシプロエンジン吸排気バルブの製造において、接合前後の材料の形状変化が少なくバリ等が発生しないため、工程全体の効率化が可能となることで生産コスト低減が図れ、一方で、耐熱鋼など高価な材料の廃棄量削減などの削減を図れる。他にも、生産性や精度が求められる輸送機器関連や精密機器分野における事業化展開が期待できる。加えて、通電拡散接合は異種金属の接合に適しており、また、接合界面の寸法変化が少ないため追加加工が不要となることから、より安全性が高い付加価値な接合に適用できると考える。具体的には、インプラント等の医療関連製品における接合に有効性があると推測する。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

技術的にはその基本は確立されており、さらなる簡素化、安定性・耐久性の向上を図る。さらに重要となるコスト低減や付加価値に資するソリューションの開発に取り組む。

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

本技術は真空中で金属同士を加圧・通電することにより接合するものであり、接合前後の材料の形状・寸法変化が少なくバリ等が発生しないため、工程全体の効率化が可能となることで生産コスト低減が図れ、一方で、耐熱鋼など高価な材料の廃棄量削減などと資源保護にも有用である。

今後の実用化・事業化の見通し

次の項目について改良、対策を行い、事業化につなげる。
・前処理の簡素化
・通電の安定性と耐久性の向上
・加熱、冷却の安定性と耐久性の向上
・自動化の追求
・コスト低減

実用化・事業化にあたっての課題

アドバイザーより、コスト低減が課題であると指摘されており、改善を図る。

事業化に向けた提携や連携の希望

当該技術に関し、大学研究室と共同で基礎研究を継続しており、これにより得られた成果によっては他の団体や組織との連携を拡大する可能性がある。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社青木製作所
事業管理機関 公益財団法人栃木県産業振興センター
研究等実施機関 株式会社青木製作所
国立大学法人宇都宮大学
ECO-A株式会社
栃木県産業技術センター
アドバイザー 本田技研工業株式会社 栃木製作所 生産業務部事業企画課 技師 馬場忠男
国立研究開発法人 理化学研究所 大森素形材工学研究室 主任研究員 大森整

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アオキシンテック(法人番号:8060001009886)
事業内容 部品製作事業、設備製造事業、ベンチャー支援事業
社員数 107 名
生産拠点 本社工場(栃木県)、高田工場(栃木県)、西沼工場(栃木県)
本社所在地 〒321-4367 栃木県真岡市鬼怒ケ丘1丁目15番10
ホームページ https://aokisym.tech/
連絡先窓口 東京R&Dセンター 緒形 博
メールアドレス ogata@aokisym.tech
電話番号 0285-81-6802