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バイオ

家畜飼料に混ぜて与えるサプリメント、成長促進などの効果がある焼酎粕乳酸発酵液(SPL発酵液)の提供

鹿児島県

株式会社栄電社

2023年2月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 焼酎粕の処理費低減とオーガニックな飼料提供のための長期保存可能な焼酎粕完全利用技術を活用した動物用サプリメント開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 農業、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 焼酎粕、乳酸発酵、飼料、サプリメント、機能性
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

焼酎製造の副産物である焼酎粕は多くの機能性成分を含み動植物に有用であるが、粘性の強い酸性の液体で腐敗しやすいため貯蔵に向かず有効利用が困難であった。本事業では、粘性を低減し腐敗を防ぐ特許技術を応用し“廃棄物ゼロ”の焼酎粕処理を実現する新技術で畜産や養殖事業者の需要に応える動物用サプリメントの製造に関する研究開発を行う。

SPL発酵液出荷荷姿
開発した技術のポイント

・処理に必要な設備費・維持管理費は安価で中小規模の酒造メーカーでも導入が可能である。
・焼酎粕の固液分離により発生した固形物と“ろ過液”を乳酸発酵させて生成した沈殿液(SPL発酵液)は飼料・農業用肥料として活用できる。
・本製品は“焼酎粕本来の機能性”に “乳酸発酵による機能性”を付加したもので、ニワトリ、豚、魚を対象に実施した給餌試験では増体重や生残率が向上する結果が得られている。
・常温で長期保存が可能で、飼料として焼酎生産時期以外の時期でも安定的に供給できる。
・焼酎粕の全量を有価物として用する “廃棄物ゼロ”の処理方法である。

具体的な成果

・腐敗防止に関する課題への成果
‐腐敗の要件である悪臭の原因となる酪酸の発生を防ぐために、SPL発酵液のpHを4.1以下に維持する必要があることを解明。
‐貯留槽、貯留容器の密閉性を高めることで、ほとんどすべてのSPL発酵液で6か月以上の腐敗防止を達成。
‐発酵条件を整えることにより1年以上腐敗を抑制し、通年の製品出荷を実現。
・設備コスト低減に関する課題への成果
‐腐敗防止策を取り入れた試作ユニットを製作。
・飼料利用での機能性・有用性の立証
‐SPL発酵液を給与した群(豚)の体重が11.7%増加。また出荷日数の短縮や肉質が改善。
‐SPL発酵液を給与した群(ニワトリ)の体重が6%増、胸肉重量13%増。出荷時間の短縮や歩留の上昇を実現。
‐SPL発酵液を給与した群(カンパチ仔魚)の体重10%以上増。
‐SPL発酵液を給与した群(マダイ仔魚)の生存率10%以上増。

知財出願や広報活動等の状況

・日本家禽学会2021年度春季大会優秀発表賞受賞「乳酸菌発酵焼酎粕の飼料添加がブロイラーの飼育成績及び肉質に及ぼす影響」
・特許取得、発明の名称:栄養強化剤、飼料組成物、栄養強化剤の製造方法、飼料組成物の製造方法、及び養殖方法(特許第6958883号)
・Aquaculture誌 (Volume 535, 30 March 2021, 736352)に掲載

研究開発成果の利用シーン

・酒造メーカーから処理を依頼された焼酎粕を有価物(畜産動物や養殖魚類向けサプリメント)に変換して畜産事業者などに供給する。
-家畜や魚にサプリメントとして与えることで成長促進や飼料代の削減など事業の生産性が向上する。
・酒造メーカーにSPL発酵液製造装置を販売する。また製造装置の運転に関する技術指導を行う。
-酒造メーカーは一定の処理費用を必要とするが、有価物として販売することでそれを補う収入を得ることができる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

実用化に向けてSPL発酵液の有効性の実績を積み上げるため、酪農2事業者、肉用牛(繁殖)1事業者、養殖3事業者でフィールドテストを実施している。そのうち酪農1事業者では乳量の増加などの成果が出ている。この酪農事業者及び養殖1事業者とは、地産地消型(飼育・養殖現場の近隣にある酒造メーカーの焼酎粕を用いてSPLを製造する)事業のビジネスモデルの構築を目指している。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・SPL発酵液は常温で長期保存が可能で、焼酎生産時期以外でも安定的に供給できる。
・“焼酎粕本来の機能性”に“乳酸発酵による機能性”を付加したサプリメントを提供する。
・SPL発酵液を給与することで乳牛の場合、乳量の増加、平均搾乳日数の減少が期待できる。
・SPL発酵液を給与することで豚の場合、成長促進、飼育期間の短縮、肉質の改善が期待できる。
・SPL発酵液を給与することで海産魚類の種苗生産で仔魚の成長率および生残率の向上が期待できる。
・SPL発酵液を給与することでブリ類の養殖の場合、成長促進が期待できる。
・SPL発酵液を給与することで肉用牛(繁殖)の場合、子牛の成長促進、飼育期間の短縮が期待できる。
・焼酎粕の全量を有価物として利用する “廃棄物ゼロ”の処理方法である。
・初期投資が少なく中小の酒造メーカーが導入しやすい処理方法である。

養殖魚へのSPL発酵液給与
今後の実用化・事業化の見通し

・酪農事業者及び養殖事業者と地産地消型(飼育・養殖現場の近隣にある酒造メーカーの焼酎粕を用いてSPLを製造する)事業のビジネスモデルの構築を目指して検討を進めている。
・産業廃棄物中間処理業の許可を取得し、2023年度生産分から有償販売する予定。

実用化・事業化にあたっての課題

・SPL発酵液の有効性に関する認知度が低いため、フィールドテストを通じて実績を積み上げ事業化に繋げる必要がある。
・SPL発酵液のサプリメント利用では家畜1頭当りの利用量が少ないため、飼料として利用する場合と比べて消費量が限定される。
・川下事業者(畜産事業者等)の需要から焼酎粕の処理量が決定されるのでそのバランスをとる必要がある

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社栄電社
事業管理機関 株式会社鹿児島TLO
研究等実施機関 有限会社栄電エンジニアリング
森建設株式会社
国立大学法人鹿児島大学 農学部 農業生産科学科 教授 大塚 彰、水産学部 水産学科 水産資源科学分野 教授 小谷 知也
アドバイザー 鹿児島大学焼酎発酵学教育研究センター
鹿児島県立農業大学校
鹿児島県畜産試験場
鹿児島県産業立地課
鹿児島県工業技術センター
九州電力鹿児島支店
株式会社白金酒造
姶良市認定農家
鹿児島県黒豚生産者
鹿児島大学産学・地域共創センター

参考情報

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社栄電社(法人番号:2340001000582)
事業内容 総合電気設備事業、発変電設備事業、情報通信設備事業、FA制御・計装設備事業、電気設備メンテナンス事業、新エネルギー・バイオ事業
社員数 71 名
本社所在地 〒890-0056 鹿児島県鹿児島市下荒田1丁目36-24
ホームページ https://eidensha-kk.co.jp
連絡先窓口 株式会社栄電社 顧問 坂口 研三
メールアドレス sakaguchik@eidenshakk.co.jp
電話番号 099-250-3348