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バイオ

稲由来グラム陰性細菌と米糠を用いた発酵による、自然免疫活性化機能を有する新LPS原料の開発

香川県

自然免疫応用技研株式会社

2020年4月11日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 米糠を利用した免疫賦活発酵食品素材の開発
基盤技術分野 バイオ
対象となる産業分野 食品、半導体、化学品製造
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード LPS、免疫、健康食品、化粧品、発酵
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成21年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

発酵業界は、基質と微生物と製造法で独自性を出し、より安全、安心な商品を常に追及している。そこで、本事業では我が社が世界で初めて開発したリポポリサッカライド(LPS)による自然免疫賦活技術を導入し、アジア圏内で受容性の高い米を、LPSを有する新規グラム陰性細菌で発酵させる手法で、従来の麹、酵母、乳酸菌を使った発酵物質と差別化できる高い免疫賦活能を持つ素材「米糠発酵抽出物」の開発をめざし、その製造法と品質管理技術等を確立する。

開発した技術のポイント

・食品・化粧品に配合することで、人や動物の免疫力を高めることができる画期的な物質として、グラム陰性細菌のLPSに着目。
・稲から単離したグラム陰性細菌を、発酵培養技術で増やした後、LPSを高収率で抽出精製する技術を確立。LPS原料「米糠発酵抽出物」の開発に成功。
・有効成分である稲菌LPSを特異的に定量するELISA測定法を確立。機能性成分の含量を保証して販売しています。
・本LPS原料は、健康食品やスキンケア化粧品など様々なヘルスケア製品に配合が可能で、免疫力を高める付加価値を与えます。

稲由来グラム陰性細菌から、免疫を活性化するLPS原料を発酵培養法で製造
具体的な成果

(1)微生物の選択
・発酵微生物として稲から単離されたグラム陰性細菌A46株(Pantoea菌、現在の分類では、Enterobacter asburiae)を選択、発酵基質として米糠を選択。
(2)製造法の確立
・A46株の最適発酵培養条件を決定
・培養後の菌体から高収率でLPSを抽出精製する工程を開発
(3)品質管理技術の確立
・A46株のLPSを他の菌のLPSと区別して特異的に認識する抗体(ウサギ由来ポリクローナル抗体)を取得
・取得した抗体を使い、直接ELISA法の系を確立(2019年現在では、マウスモノクローナル抗体を取直して使っている)。
・感度を補う測定方法としてリムラス反応のトキシノメーター測定を導入。LPSの簡便測定に使用。
・安全性試験を行い、開発したLPS原料に、変異原性、毒性がないことを確認
(4)効果実証試験
・製造した米糠発酵抽出物配合のドリンクを試作
・成人20名への試験で、有害事象が出ないことを確認。目覚め・便通・肩こりがよくなる等の体感が得られた

研究開発の具体的内容
知財出願や広報活動等の状況

・特許第5449834号「リポ多糖、イネ発酵エキス及び稲発酵エキス配合物(出願日:2009/4/5)
・特願2016-173294「ハイブリドーマ、モノクローナル抗体及びリポ多糖の定量方法(出願日:2016/9/6)

・第26回芦原科学功労賞受賞(テーマ:自然免疫の制御技術に基づく、人の健康に資する製品の開発、受賞者:自然免疫応用技研副社長・稲川裕之)

研究開発成果の利用シーン

開発したLPS原料は、免疫活性化と自然治癒力を高める作用があるため、機能性食品においては高齢化やストレス時代の健康増進のための、化粧品においては、肌にはり・弾力を与え、アレルギー性の肌荒れを抑制するための、高付加価値商品を開発できます。

ヘルスケア産業での利用

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・開発した食品用LPS原料から派生した化粧品用LPS原料が売上につながっている。
・取引先件数:10社

提携可能な製品・サービス内容

素材・部品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・LPSは、経口経皮での生理的な免疫活性化機能において、乳酸菌やβグルカンをしのぐ作用があり、高齢化が進む日本において需要の高い食品及び化粧品成分である。
・開発したLPS原料は、先行品と異なり、製造に米ぬかを使う点で、日本およびアジア圏の消費者に受け入れられやすい。
・有効成分LPSの特異的・定量的測定方法が確立しており、LPS原料の含量を保証できるため、ロット間での品質が安定している。

今後の実用化・事業化の見通し

・開発した食品用LPS原料は、力価に対して重量が小さい。従って重量ベース規格にすると、先行したLPS原料に比較してコスト高となってしまうことより、販売を中断している。今後、規格を力価ベースに変更することにより、再度の販売を目指す。
・先行LPS原料に比較してエビデンスが少ないため、今後臨床試験も含め、エビデンスの蓄積を行う。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 自然免疫応用技研株式会社
事業管理機関 一般財団法人四国産業・技術振興センター
研究等実施機関 株式会社東洋発酵
国立大学法人香川大学 医学部

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 自然免疫応用技研株式会社(法人番号:9470001005637)
事業内容 LPS素材の製造・販売、受託解析サービス
社員数 7 名
生産拠点 香川県高松市
本社所在地 〒761-0301 香川県高松市林町2217-44ネクスト香川301
ホームページ https://www.macrophi.co.jp
連絡先窓口 LPS事業推進部・原体営業課・課長:中田陽子
メールアドレス iatii3@macrophi.co.jp
電話番号 087-867-7712