研究開発された技術紹介

広く使用されているアルミ合金の表面には腐食を抑制するための酸化皮膜の形成および封孔処理が行われているが、1年程度の屋外使用で表面に白い斑点(白化)が発生する課題があり、その解決に取り組んだ。白化は表面の浸食に伴う光の乱反射によるものであることがわかり、更に白化加速試験を通して、酸化皮膜の空隙率が白化速度に影響することを見出した。その空隙率を小さくする技術の開発に成功し、白化が発生するまでの期間(白化寿命)を大幅に延長できた。

電解硫酸陽極酸化処理に加えて、封孔処理の条件を変更することで表面の微小クラックを減らす技術を開発した。
その結果、硫酸滴下試験回数が従来の36回に対して、360回を達成した。この値は、36回の白化寿命が1年間であるため、白化寿命10年に相当する。

白化寿命の長い表面処理技術の確立
・電解硫酸陽極酸化処理により酸化皮膜の空隙率4.9%以下を達成
・電解硫酸陽極酸化処理に加えて、封孔処理の条件を変更することで白化寿命10年を達成
白化寿命の長い表面処理プロセスの確立
・電解硫酸陽極酸化＋封孔処理のプロセス確立

特許出願3件
・発明の名称:アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理法及び陽極酸化皮膜の封孔処理法
特許出願番号:特願2020-207956
・発明の名称:陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金材及びその製造方法
特許出願番号:特願2022-047886 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ・発明の名称:アルミニウム合金の陽極酸化処理方法および陽極酸化皮膜を有するアルミニウム合金材　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　特許番号：特許第7072810号

電解硫酸技術により　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　・自動車
耐摩耗性の向上及び白化抑制のニーズがある部品への導入を検討していく。
・建材
アルミサッシの表面処理の技術を検討していく。

事業化にむけて川下企業と共同のプロジェクトが発足した。

電解硫酸技術により白化寿命が10年となるアルミ合金製品を開発した。

事業化にむけて、信頼性の評価試験及び製造ラインの改修を行っている。

白化寿命を定量化する加速試験方法として、pH4に調製した硫酸を滴下し乾燥した後、滴下・乾燥を繰り返し、目視で、白化現象が観察できるまでの硫酸滴下回数を採用してきた。
白化現象を適切に再現できていると考え実施しているが、実際の屋外使用環境とは異なるため、JIS Z 2381に準拠した暴露試験を実施中。

川下企業と事業化に向けて補完研究を実施中。