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デザイン開発

平板型・フレキシブル型に続く第三の太陽電池である円筒型太陽電池システムの提案

福岡県

株式会社フジコー 

2023年2月13日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 次世代太陽光発電向け円筒型太陽電池システムの研究開発
基盤技術分野 デザイン開発
対象となる産業分野 環境・エネルギー、農業、情報通信、スマート家電、電池、物流・流通
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(小型化・軽量化)、環境配慮、デザイン性・意匠性の向上
キーワード 円筒形状、太陽電池、軽量、農地発電、ZEB・ZEH
事業化状況 実用化間近
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

平板型太陽電池、フレキシブル太陽電池に次ぐ第3の太陽電池として蛍光灯型構造を持つ円筒型太陽電池を開発する。平板型に比べ設置(垂直設置により、設置面積が少なく、効率的な土地利用が可能。デザイン性に優れる)、メンテナンス、リサイクルが容易、軽量で暴風・積雪に強い等の特長を持つ。第一弾として円筒型アモルファスシリコン太陽電池、次いで円筒型ペロブスカイト太陽電池を展開し、低コスト、高効率、高耐久な理想的太陽電池の実現を図り、市場の急拡大を狙う。営農発電や建物近傍設置に有利である。

円筒形デバイス紹介(フジコー)
開発した技術のポイント

・従来のグローブボックス環境とドライルーム環境で製作した円筒型太陽電池ユニットの製造タクトタイムを算出することで、従来に比べ、25分のタクトタイム短縮が実現出来ることを実証した。
・フレキシブルα-Si発電シートの接合方法を最適化し、配線抵抗および接触抵抗の最小化を実現した。全サンプルでばらつき±8%に収まる(ばらつきは購入した発電シート自体の特性に大きく起因)事を確認した。
・平板型太陽電池が日中をピークに朝方と夕方は発電量が低下するのに対し、円筒型はその形状から、日中どの方向からでも太陽を補足できるため、一日中の発電量のばらつきが少なく、平板型太陽電池に比べて円筒型太陽電池は安定電源として機能する。

円筒形デバイスの特長(フジコー)
具体的な成果

・製造プロセスの開発
-アモルファスシリコン太陽電池向け長尺封止技術の開発:長尺封止プロセスを確立した。
-製造タクトタイムの短縮:グローブボックス環境に比べて、25分のタクトタイム短縮を実現した。
・発電ユニットの制作             
-電流・電圧出力の最適化されたα-Si 太陽電池ユニットの製作:開発したユニットはユニット長さ毎に0.5~2.0Wの目標出力を得た。加速試験(耐湿性試験、熱サイクル試験、耐光性試験)後において、初期効率の90%以上を維持した。
-ワンタッチで装着可能なソケットの製作:ユニット1本毎に交換可能な試作を実施した。
・発電ユニットの実証実験
-5V定電圧出力可能な蓄電デバイス内蔵円筒型太陽電池を開発:屋外環境下で蓄電および5V定格出力可能であることを実証した。
-蓄電デバイス内蔵円筒型太陽電池を直列・並列接合した、円筒型太陽電池モジュールを開発
・全体システムの実現
-架台取り付け後に、ユニットを一本ずつ容易に取り付け可能な発電モジュールを開発
-故障診断可能な電流センサー付き円筒型太陽電池ユニットを開発
・透明導電膜レスペロブスカイト太陽電池の開発
-透明導電膜レスペロブスカイト太陽電池の構造・材料設計
-作製した同太陽電池は小面積セルで、目標値10%を超える効率10.65%を得た。

知財出願や広報活動等の状況

透明導電膜レスペロブスカイト太陽電の特許出願中
「バックコンタクト型ペロブスカイト光電変換素子」 特願2017-46142

研究開発成果の利用シーン

次世代太陽電池として、 フレキシブル発電シートを蛍光灯と同等形状の透明ガラス管内に完全密閉封入した円筒型太陽電池図の研究開発・実用化を図り、太陽光発電の新たなる市場を創出することを狙いとしている。平板太陽電池設置出来ない建物への屋上設置、ビルへの垂直設置、容易に可搬可能なポータブル電源としての活用、日陰の影響を抑制した農地発電向け展開等が期待出来る。また、 街灯、表示板など景観、デザイン性を向上させる街創りに貢献できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

複数の会社に円筒型PVは分解・問題箇所の取外し、 修理が容易であり、O&M・廃棄費用の削減メリットがあることを認識していただいている。またサンプル供給数として10,000本の生産目標を掲げている。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・農地の有効活用により新規太陽光発電設置場所が確保し、更に、円筒形状は縦型設置により受光量が平板型の1.5倍となる。
・円筒型太陽電池は平板型太陽電池に比べて軽量である。そのため、強固な設置用架台が不要となり、持ち運びも容易であるため架台・設置工事コストの大幅削減に期待出来る。荷重制限のある市町村庁舎、地方自治体関連施設への展開を目指す。
・円筒型太陽電池は封止材を使用しないため、ガラス管端部切断で容易に発電シートが回収でき、リサイクルの基盤構築は容易と言える。太陽電池パネルのリサイクル・廃棄に関する課題を考慮した設計である。

今後の実用化・事業化の見通し

想定するサンプル出荷先として、農業用途、ICT用途、ZEB、ZEH、非常用電源用途を予定している。
令和4年度より、有償サンプル出荷を開始しており、令和6年度から販売を開始する計画。

実用化・事業化にあたっての課題

・発電モジュールで安全認証規格の衝撃破壊試験等の機械強度に関する一部試験に不合格。新規モジュールを設計・開発する。現状の規格は平板形状を前提としたものであり、円筒形状に対して、不要あるいは不利な要求事項が含まれる。実証を通して、円筒型太陽電池の優位点および信頼性を立証する必要がある。。
・透明導線電膜レスペロブスカイトPVの構造設計、効率10%、大型化の目標において今後、塗布、スクライバー装置の開発・導入が必要。

事業化に向けた提携や連携の希望

円筒型太陽電池、あるいは円筒型太陽電池と従来の太陽電池を組み合わせたハイブリッド型太陽電池としてのシステム提案に関する協業。
ペロブスカイトフィルムやCIGSフィルム等、高効率発電フィルムの提供。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社フジコー 技術開発センター
事業管理機関 公益財団法人北九州産業学術推進機構
研究等実施機関 国立大学法人電気通信大学 i-パワードエネルギー・システム研究センター 早瀬 修二 特任教授
アドバイザー CKD株式会社
ウシオ電機株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社フジコー (法人番号:4290801003292)
事業内容 製造業 複合製品(ロール)の製造・販売・補修、光触媒製品の製造・販売
社員数 785 名
生産拠点 山陽工場(岡山県)、若松響工場・若松響第2工場(福岡県)、岩沼工場(宮城県)、仙台事業所(宮城県)、千葉事業所(千葉県君津市、千葉市)、京浜事業所(神奈川県)、加古川事業所(兵庫県)、倉敷事業所(岡山県)、福山事業所(広島県)、八幡事業所(福岡県)
本社所在地 〒804-0011 福岡県北九州市戸畑区中原西2丁目18-12
ホームページ https://kfjc.co.jp/
連絡先窓口 株式会社フジコー 技術開発センター第三開発室新規開発第一チーム 野村大志郎
メールアドレス d-nomura.fujico@kfjc.co.jp
電話番号 093-701-4500