精密加工
硬くて脆い金型材料CVD-SiCを独自のPCD砥石を用い、高能率かつ高精度に研削する加工技術の開発
大阪府
株式会社新日本テック
2023年2月12日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ガラスレンズ成形用CVD-SiC金型の高能率研削加工技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、産業機械、スマート家電、半導体、工作機械、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | 研削、研磨、放電、PCD、ドレッシング |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化間近 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
高度化と大型化が進むガラスレンズは、完成形近くまで金型でプレス成形するため、金型の高精度化と加工時間短縮はレンズの精度、生産性の向上に直結する。
さらに高熱伝導、高耐久性の次世代金型材料CVD-SiCで金型を高精度に製造できれば、レンズの品質安定性も向上する。しかし、SiCは高硬度で従来技術では高精度加工が困難なため、焼結ダイヤモンド製超均整多刃砥石(PCDブレード)による高能率研削加工技術を確立し、これら課題を解決した。
開発した技術のポイント
ガラスレンズ成形金型用素材として有望視されているCVD-SiCは硬くて脆い材料(硬脆材料)であるため、高精度に加工(延性モード加工)するには、加工に用いる砥石の切れ刃高さや切れ刃間隔は均一であることが望ましい。そこで、CVD-SiCの加工に適した砥石面に仕上げる放電加工法について検討し、砥石面に微小な凹凸を有するPCD製超均整多刃砥石を開発した。
・PCDの放電加工特性について検討し、回転振れの修正と切れ刃の再生が加工機上で可能な機上放電ツルーイング・ドレッシング装置を開発した。
具体的な成果
・超均整多刃砥石の開発・試作
・高硬度金型用砥石面性状の研究。最適砥石面性状を特定
・PCD砥石用機上スパーク式ツルーイング・ドレッシング装置の開発
・高能率研削加工技術の開発
高度化と大型化が進むガラスレンズは、完成形近くまで金型でプレス成形するため、金型の高精度化と加工時間短縮はレンズの精度、生産性の向上に直結する。さらに高熱伝導、高耐久性の次世代金型材料CVD-SiCで金型を高精度に製造できれば、レンズの品質安定性も向上する。しかし、SiCは高硬度で従来技術では高精度加工が困難なため、焼結ダイヤモンド製超均整多刃砥石(PCDブレード)による高能率研削加工技術を確立し、これら課題を解決した。
知財出願や広報活動等の状況
「機上ツルーイング装置及び工作機械」が特許に査定された(特許第6875675号)
研究開発成果の利用シーン
・自動車外装鋼板のレーザ溶接用ガラスレンズおよびガラスレンズ成形用金型の研削加工
・4K、8K向けのガラスレンズおよびガラスレンズ成形用金型の研削加工
・半導体材料SiCのダイシング加工
・医療用超音波エコー装置のセンサーであるセラミックスの研削加工
・焼結ダイヤモンドの超精密研削
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
①当サポインアドバイザーの光学機器メーカからも、周辺テーマの受注を継続的に得ている。当サポインアドバイザーの近畿大学 理工学部 機械工学科 藤田准教授からもPCDブレードを受注し納品しており、当研究から派生する研究も進んでいる。当サポイン研究終了直後のR4年4月、コネクタメーカからPCDブレードを受注し、問題なく納品した。同社はコネクタを製造する電子部品メーカであり、当初想定していた光学機器メーカ以外への販路開拓も可能である。以上から、具体的かつ適切に進捗している。
②同コネクタメーカから、問題ない旨の評価を得ている。近畿大学 藤田准教授からも刃厚16μmのPCDブレードも問題なく製作できている旨の連絡を受けている。
③コロナの巣ごもり需要が一巡し、4k8k機器など民生機器全般の販売不振が続いている。当研究川下企業アドバイザー企業は、ガラスレンズ開発の重点分野を大口径の4k8kガラスレンズから、直径1㎜以下の極小口径医療用内視鏡に重点を移している模様。4k8kレンズに加え内視鏡レンズにも事業化対応できるよう検討する。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、加工・組立・処理、共同研究・共同開発、技術コンサルティング
製品・サービスのPRポイント
・ガラスレンズ用金型を加工するPCDブレードのラジアル方向(回転軸と直角方向)の振れを0.5μm以下にツルーイングすることに成功した。
・独自の放電加工技術を開発し、高研削能力が持続する砥石面性状を特定し、PCDブレードへの転写に成功した。
今後の実用化・事業化の見通し
当研究では、ダイヤモンド粒子(切刃)が高密度で均一に分布し、かつ砥石の全周が均一に加工に寄与するという理想的な研削加工がPCDブレードによって可能になり、硬脆性材料の高品位高能率研削加工を実現した。
当技術の産業上の波及効果は計り知れず、工学的にも実用化技術として極めて有用であると考える。
実用化・事業化にあたっての課題
CVD-SiC加工面に残る斑点の発生を抑制する研削加工技術の開発が必要と考えている。
サポイン研究終了後も、引き続き開発を行う。
事業化に向けた提携や連携の希望
【硬く脆い材料を研削加工する企業との連携】
センサーや半導体、ガラス、セラミックスなどの硬くて脆い材料を精密に加工する企業との連携を希望する。
【ダイヤモンド金型部品の提供】
当社は、プレス金型の刃先部に焼結ダイヤモンドを使用し、耐久性を高めたダイヤモンド金型部品の製造を得意としている。ダイヤモンド金型部品は、超硬合金に比べ、50倍以上長寿命の事例が多数ある。ステンレスのプレス加工では、焼付きの発生を抑え、金型泣かせのコルソン銅やステンレスにも最適。プレス金型の生産性向上を目指す企業に、ダイヤモンド金型部品を提供するため、マッチングを希望している。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社新日本テック |
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事業管理機関 | 一般財団法人大阪科学技術センター ニューマテリアルセンター |
研究等実施機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
アドバイザー | パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 生産技術センター 工機部 ナノ加工技術開発課 課長 田中主税 株式会社東京精密 法務・知的財産室知的財産チーム チームリーダー 柚鳥良和 株式会社東海エンジニアリングサービス 代表取締役 福田達也 株式会社東海エンジニアリングサービス 営業技術部長 蓮見俊吾 インデックスエンジニアリング有限会社 代表取締役 三上直孝 インデックスエンジニアリング有限会社 研究員 早川順 元熊本大学 工学部 教授 渡邉純二 近畿大学 理工学部 機械工学科 先端加工システム工学研究室 准教授 藤田隆 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社新日本テック(法人番号:2120001001974) |
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事業内容 | 生産用機械器具製造業、電子部品製造用の超精密金型部品および超精密金型の製造販売 |
社員数 | 79 名 |
生産拠点 | 本社工場:大阪府大阪市鶴見区、鳥取工場:鳥取県東伯郡湯梨浜町、岡山工場:岡山県津山市 |
本社所在地 | 〒538-0035 大阪府大阪市鶴見区浜2-2-81 |
ホームページ | https://www.sntec.com |
連絡先窓口 | 株式会社新日本テック 代表取締役 和泉康夫 |
メールアドレス | izumi.yasuo@sntec.com |
電話番号 | 06-6911-1183 |
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