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精密加工

金属プレス加工において金型にナノ積層DLC被膜を付与し、深絞り加工を行う技術を開発

東京都

表面機能デザイン研究所合同会社

2020年4月10日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 リチウムイオン電池用金属缶のドライプレス技術開発
基盤技術分野 精密加工
対象となる産業分野 スマート家電、光学機器
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 平成22年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

リチウムイオン電池用金属缶の金属プレス加工において、潤滑油使用量低減及び洗浄工程削減に向けた、低コスト化、短納期化、環境に配慮したドライ加工技術が不可欠である。本事業では、プレス工具・金型のプラズマ表面清浄化処理+ナノ積層コーテイングに電磁界を援用し複雑形状へ超耐久性コーテイング技術の実現とプラズマ被膜除去プロセスによる金型再生技術を開発する。(173文字)

開発した技術のポイント

プラズマ表面清浄化処理+ナノ積層コーティング+磁界制御による超耐久性コーティング技術の実現、プラズマ被膜除去プロセスによる金型再生技術の開発
・コーティング品質:100万回の連続ドライプレス成形可能、50GPa以上の高硬度層の創成、100N負荷で摩擦係数0.2以下を3,600秒達成
・洗浄工程と潤滑剤使用量の削減
(新技術)
・ナノ積層DLCコーテイングした超硬パンチ1,000回の打ち抜きプレス加工でごく一部が剥離
・剥離率約15%、剥離開始は700回連続プレス時
(特徴)
・インタレイヤー設計による素材との密着力向上
・ナノ積層条件制御、密着制御による耐久性向上
・プレス加工条件に適合したナノ積層コーティング条件の最適化

具体的な成果

・電池用金属缶ドライ成形のためのコーテッド金型・工具の開発
‐脱脂洗浄、プラズマ洗浄に加え、電解研磨による酸化膜剥離との融合により、異なる基材の状況に影響されず、大きな密着性を得る研究を実施
‐適性脱脂力の選定、電解脱脂、純水による脱脂剤除去、アルコール乾燥、電解研磨と化学研磨、プラズマ洗浄、真空乾燥という工程に基づき、基材及び表面の状態ごとの脱脂
・洗浄レシピと評価方法を作成
‐コーティングレシピの選択では、CrNでのインターレイヤーをつけ、成膜温度250℃において、100N負荷で摩擦係数0.15を3,600秒継続できた
‐再生コーティング手法の開発では、Arプラズマによる被膜除去処理の基礎データを収集し、平面基材の被膜除去手法を検証。プラズマの発行状態から脱膜条件を診断する方法を開発した
・コーテッド金型・工具によるドライプレス加工
‐ドライ工具-転造タップの加工では、前処理条件、成膜レシピ、バイアス制御等により、複雑形状のタップ工具に製膜できた
‐多段深絞り工程のドライ化では、黄銅材料による部品に対し、ドライプレス連続5,000ショットを実施
‐微細部品のドライプレス化では、速乾性潤滑油0.1㏄/30ショットを用いて、黄銅材料の深絞り加工を180spmで1万回まで実施

知財出願や広報活動等の状況

・特許:「薄膜形成方法および薄膜形成装置ならびに被膜を形成した被処理物、金型および工具」(特願2011-208140)
・論文:相澤龍彦、森田泰史「Tooling Life Design for DRY Metal Formingvia NANO-Laminated DLC Coating」(2011.2)、森田泰史、相澤龍彦「DryTransferstamping by Nano-Laminated DLC-coatedtool」(2011.10)等

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・補完研究中であり、実用化には時間を要する
・サンプルあり(トランスファーライン用金型への成膜と量産試験の実施)

製品・サービスのPRポイント

・強度向上→ナノ積層DLC被膜を金型に付与し、微量の乾燥型潤滑油の滴下を行い、順送り連続加工で10万回を達成
・低コスト化→DLC被膜の劣化後、アッシング技術により被膜除去を行い、再生膜することで金型自身の劣化を予防する。アルゴン及び酸素ガスプラズマにより、アッシング技術を確立
・環境負荷低減→金属プレス金型深絞り加工には粘性の高い潤滑油を使用することが一般的であったが、乾燥型の粘度の低い潤滑を1/100程度に削減できた

今後の実用化・事業化の見通し

技術高度化を行い、川下企業による性能評価を受けている
・より高耐久性の被膜製作及びアッシング技術の進化を実施。川下企業による性能評価・耐久試験を受けている
・協力川下企業で経済的優位性を評価してもらうために、従来の10万回連続プレス加工を30万回まで伸ばすことを進める
・協力川下企業の評価と成果を足かがりに、同業他社への営業活動を進める

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 表面機能デザイン研究所合同会社 大田区新産業創造支援施設
事業管理機関 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
研究等実施機関 株式会社パワー精密
島村金属工業株式会社
学校法人芝浦工業大学
地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 表面機能デザイン研究所合同会社
事業内容 薄膜による表面特性の技術開発と技術提供
本社所在地 〒144-0045 東京都大田区南六郷3-15-10 大田区新産業創造支援施設101号室
連絡先窓口 代表社員 森田泰史
メールアドレス hiroshi-m@mtc.biglobe.ne.jp
電話番号 03-6424-8615