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測定計測

虫歯になりそうな歯の発見を目的に、小型化したラマン分光装置を搭載した歯科医療機器計測装置の開発

京都府

株式会社ShinSei

2023年2月12日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 ラマン分光技術を応用した歯科医療機器診断計測装置の研究開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)
キーワード ラマン分光、虫歯、医療、光学、医療機器
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

口腔内の不健康は様々な病気を誘発する為、予防、早期発見の重要性が高い。ラマン分光法は分子レベル構造変化を検出でき、それを応用することで、虫歯発症前を検知することができる。しかしながら、ラマン分光技術を医療機器に応用するためには、小型化かつ高感度、高分解能が必要であり、こられを達成するためには新たな光学技術が必要である。本事業では、これらを解決し、歯科医療診断装置の製品化を目指す。

旧来の検診の様子
開発した技術のポイント

・解析ソフトウェアを含むラマン分光システムの設計
・コストと性能の観点から最適な光学素子を選択し、十分な感度とラマン強度、高いスペクトル分解能を最大化する最適な光学配置を調整
・口腔内という立体的な空間に複雑な歯列で配置された、局所的な虫歯部位のみを健常部位と識別しながら、微弱なラマン光を最大限に取り込む集光インターフェースを新たに設計開発
・乳歯、永久歯、歯石、歯垢、口腔内組織、唾液に由来する発光の影響を受けない、ラマン用狭線幅レーザー励起波長の選択
・ラマン分光装置の分光性能
・分光器に歯からの散乱光を取り込むシステム(プローブ)
・ニアーフィールドパターン(Near Field Pattern:NFP)法とファーフィールドパターン(Far Field Pattern:FFP)法による入射光と集光系の光軸調整
・ラマン分光ソフトウェアの開発
・ファイバーラマン分光器を使用した、ライン走査ラマンスペクトル法
・バイオフィルムの3Dイメージング化

小型化したラマン分光装置を搭載した歯科医療機器計測装置-1
具体的な成果

・金属ブロック内部研磨法の欠点を克服するため、表面粗度が明確な真球ガラスを基材として選択した。平滑な球面ガラス表面上に金属を真空蒸着するにより、高度な研磨技術なしに、時間とコストを大幅に低減できる方法を考案した。約10倍もの集光効率を達成し、ラマン分光用積分球としての可能性を見出した。
・積分球と同等の機能を有する第3のラマン分光用集光系を考案。集光した散乱光ロスは最小限に抑制でき、高分解能で明るい785nmLD対応、常温動作型CMOSセンサーを搭載したファイバーラマン分光器を実現。
・汎用的な分光計測制御ソフトウェアが完成。
・ライン走査ラマンスペクトル法により、HApの特性ラマン振動数960cm–1をプローブとして、虫歯、脱灰、健康歯の局所的なエナメル構造変化をラマン強度(と半値幅)の変化として捉えることができ、当初の目標を達成。
・バイオフィルムのラマンスペクトルを計測し、構造解析を行った。その結果、それぞれの菌に特徴的なラマンスペクトルを5分以内に測定でき、バイオフィルムの3Dイメージング化に成功した。

ラマン分光-新方式
研究開発成果の利用シーン

歯科医院に投入し、予防医療に寄与することができる、世界初、世界最小の高精度で簡便に使えるラマン分光装置の提供。

虫歯のメカニズム

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

動物実験を行い医師の操作性等のヒアリングをする。これにより課題を明確にして、試行錯誤を繰り返す。
また、薬事承認に必要な電気安全性試験を実施し医療機器の事業化を狙う。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・研究機関でしか使用できなかった従来のレーザーラマン顕微分光装置に対し小型化を図り、一般の歯科医院にも設置可能なラマン分光装置。
・本事業の目標値5cm-1以下である高分解能2.5cm-1と高S/N比を両立した。小型ラマン分光システム。
・歯科クリニック、一般家庭、介護施設などの現場で使用されている照明(白色LED、暖色LED、白色蛍光灯、白熱灯(タングステンランプ)であれば、ラマンスペクトル強度やベースラインに全く影響を与えない小型ラマン分光システム。

小型化したラマン分光装置を搭載した歯科医療機器計測装置-2
今後の実用化・事業化の見通し

本事業で上市を目指している歯科診断用ラマン分光装置は、生体に直接接触させ診断するため、さらにハードルは高いが、動物実験を経て薬事申請に至る。ラマン分光法を用いたin vivo対応の診断医療機器は未だ上市されておらず、新規の医療機器に該当すると考えられる。そのため、想定よりも医療機器認証におけるハードルは非常に高いと予想される。また、 薬事承認に必要な「電気安全性試験」についても実施しなければならない。医療機器の事業化にはあと3~5年は必要と考える。

診査画像
実用化・事業化にあたっての課題

・動物実験を未だ実施していないため、実験を行い医師に操作性などのヒアリングをする。
・ファイバー由来のラマン散乱光が測定対象物から反射したレイリー散乱光を、ソフトウェアによって除去する方法を確立する。
・薬事承認に必要な電気安全性試験を実施する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社ShinSei
事業管理機関 公益財団法人京都高度技術研究所
研究等実施機関 公立大学法人京都府立医科大学
リサイク合同株式会社

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社ShinSei(法人番号:6130001039102)
事業内容 プラスチック用精密金型の設計・製作、プラスチック射出成形、医療機器製造
社員数 23 名
本社所在地 〒611-0033 京都府宇治市大久保町平盛83-1
ホームページ https://www.mold-shinsei.co.jp/
連絡先窓口 芦田 華乃
メールアドレス kn.ashida@mold-shinsei.co.jp
電話番号 0774-26-8070