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測定計測

常温動作でSQUIDに近い磁気分解能を有する脳磁計測可能な新方式超高感度磁気センサ

愛知県

フジデノロ株式会社

2023年2月4日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 アモルファス金属材を用いた新方式超高感度磁気センサの量産技術確立と用途探索
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、自動車、ロボット、電池、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)
キーワード 磁気センサ、異物検知、非破壊検査、生体磁気、磁気シールド不要
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成26年度~平成28年度

プロジェクトの詳細

事業概要

アモルファス金属材料の磁気異方性を利用した磁気センサとして、従来技術よりも10倍以上の磁気分解能を持つ新構造センサの性能を高度化しながら量産に適用可能な材料を用いた各構成部品を設計開発し、医学研究機関と共に用途開発する

開発した技術のポイント
センサ感磁部の高密度化

常温動作の磁気センサとして、従来のMIセンサは安価ではあるが、感磁部であるアモルファスワイヤに電流を通電しているため、分解能と安定性に限界があった。今回開発した新型磁気センサは、これらMIセンサの問題点を解決すべく考案されたものであり、センサの性能、製造、長期安定性において極めて有利である。
(新技術)
軟磁性材料の近傍に配置した導線へ電流を流すことによる新たな作動原理を取り入れた高感度磁気センサ素子とその製造方法
(新技術の特徴)
・感磁部の体積を小さくとどめて空間分解能を損なわず、感度・分解能を飛躍的に向上させることが原理的に可能となる

具体的な成果

・磁気センサシステムとして、生体磁界が計測可能なレベルの磁気分解能を達成した
・磁気直列式センサ素子の構成においては、半田付けも容易で、量産対応も可能であった
・目標設定時の回路ノイズRMS914pTからRMS80pTまでの改善し、目標のノイズレベル1/5を達成した
・開発したセンサと高精度化した処理回路を実装し、臨床評価等で運用が可能なハンディタイプ磁界検知器を製作した
・頭部表面の磁気計測を実施したが、アルファ波(開眼・閉眼時)の明確な信号差は捕らえられず、更なる分解能向上が必要である

センサ特性グラフ
心磁・心電図の同時計測例
研究開発成果の利用シーン
高感度磁気センサの応用分野

・既存の磁気センサの置き換えによる磁気分解能、時間分解能の向上
・鉄製機械器具の高感度探知、所持品検査
・鉄製構造物の劣化や欠陥の非破壊検査
・微小電流の周囲に発生する磁界計測、電池の内部短絡検査
・人体内に挿入した微小な磁性体マーカーの高感度検出、高精度位置同定
・常温動作で脳磁が計測できる計測分解能を実現する磁気センサ
・医療以外の目的で使用する脳磁センシング技術応用製品

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細
磁性体検知器『MAGGUARD』シリーズ

センサ素子の製造工程において、製造装置の改良を行い磁性体の組成の均一化改善を実施し、センサ性能の安定化を実現した。当社の磁気センサ応用製品へのセンサ素子の置き換え評価を進めており、量産化間近である。

提携可能な製品・サービス内容

共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント
磁気センサシステム構成例

これまで磁気シールドルーム内でしか使用できなかった高価な生体磁気診断装置による心臓機能・脳機能検査を広く一般の病院や研究室、さらに家庭にまで普及させることができる。また、安価な生体磁気センサとして心磁図、脳磁図の臨床応用以外にも、細胞組織に対する薬理作用の研究や再生医療培養組織の機能評価において、非接触・非侵襲の新しい評価手段を提供する可能性など、広範な医療分野の測定技術として適用が可能であり、またその技術の一部は直ちに獣医、畜産関係にも転用できるであろう。
医療以外の多方面の産業用途にも活用可能な中核的技術の一つとなる可能性があるので、積極的に事業化を進めていく。特に脳磁センシング技術として、簡便に脳磁信号を検出することが可能となる段階に到達すれば、思考スイッチ(意思伝達装置)、ニューロマーケティング機器、リラクゼーション効果最適化装置など、思考情報を読み取ることで何らかの装置とのインターフェースとして様々な用途に活用することができ、非常に大きな市場創出が期待される。

今後の実用化・事業化の見通し

事業化の将来のターゲットとしては心磁・脳磁計測システムの製品化を目的とする。これを実現することにより広く一般の病院へ高度診断機器を普及させるだけではなく、心磁の応用としては家庭内で手軽に心臓の状態を把握する簡易心磁計という市場を形成できる。脳磁の応用としては非接触脳活動モニターとして広く用途が考えられる。例えばコンピュータインターフェース、介護用意思伝達手段等々、実現した暁には市場に大きなインパクトを与えるものとなる。
直近のターゲットとしては、比較的実現が容易なセンチネルリンパ節同定用センサ、及び細胞活性検査装置の製品化を目指す。前者は現在のラジオアイソトープを用いる検知法の非侵襲で簡便な代替手段として、後者はiPS細胞に代表される培養組織の正常性を調べる無菌的・非侵襲な手段として普及させる。

実用化・事業化にあたっての課題

医療以外の目的で使用する脳磁センシング技術応用製品については、当社としては全く新しい製品であり、また現在、それに類する大規模な市場形成の動きもないことから、外部のシンクタンクをはじめ、様々な企業とのアライアンスを結びながら、マーケティングを進めていく。

事業化に向けた提携や連携の希望

医療分野に限らず、磁気センサを応用する具体的なニーズをお持ちの共同開発パートナーを希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 フジデノロ株式会社
事業管理機関 フジデノロ株式会社
国立大学法人名古屋大学
研究等実施機関 国立大学法人名古屋大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 フジデノロ株式会社(法人番号:6180001076396)
事業内容 各種プラスチック部品製造、医療機器の製造販売およびヘルスケア製品の製造販売
社員数 360 名
生産拠点 本社:愛知県小牧市、熊本工場:熊本県菊池郡大津町、赤羽工場:東京都北区、福島工場:福島県白河市
本社所在地 〒485-0053 愛知県小牧市多気南町361 番地1
ホームページ http://www.fujidenolo.co.jp/
連絡先窓口 技術開発部 加藤進輔
メールアドレス kato@fujidenolo.co.jp
電話番号 0568-73-7575