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測定計測

AI画像解析を用いた糖尿病網膜症診断支援

新潟県

株式会社オーヒラ

2022年1月26日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 眼底撮像装置とAI画像解析を用いた糖尿病網膜症診断支援システムの開発
基盤技術分野 測定計測
対象となる産業分野 医療・健康・介護、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、低コスト化
キーワード 遠隔医療、画像解析、糖尿病、機械学習、医療機器
事業化状況 研究実施中
事業実施年度 令和1年度~令和2年度

プロジェクトの詳細

事業概要

内科医や眼科医等が使用可能な小型で簡単に撮影できる無散瞳眼底カメラを開発するとともに、そのデバイスで撮影した眼底画像を、AIを用いた糖尿病診断支援システムに取り込み、眼底病変を自動的に識別・特定して、糖尿病網膜症の重症度分類が行えるアルゴリズムを開発する。AIを用いた解析プログラムをインストールしたクラウドサーバーと小型眼底カメラ間で秘匿化されたセキュリティ通信を行うことで遠隔医療の実現を目指す。

糖尿病網膜症診断支援システム図
開発した技術のポイント

・高精細眼底の小型カメラ・軽量化課題への対応
-眼底カメラにおける高感度・高精細化技術を試作した。
-短時間自動焦点化技術を検討した。
-眼底カメラの小型・軽量化を試作した。
・糖尿病網膜症の診断精度の向上と解析時間の短縮化課題への対応
-軟性白斑と硬性白斑検出、滲出液検出、出血検出及びレーザー瘢痕検出に関するアルゴリズムを開発した。
-眼科医の教師付きデータをもとにした病理の重症度分類判定診断支援機能を開発した。
・クラウドサーバーによるデータ通信システム開発及び暗号化課題への対応
-クラウドサーバー通信システム及び暗号鍵を開発した。

眼底カメラとPC端末からのサーバーへの解析要求と解析結果要求処理
具体的な成果

・高精細眼底の小型カメラ・軽量化課題への対応
-眼底カメラの光学系のシミュレーションを行うとともに、シミュレーション結果に基づいた光学設計を行って、試作眼底カメラを製作した。
-焦点調整時間の高速化のために高速画像転送技術し、調整時間8秒を実現した。目標値10秒以内を達成した。
・糖尿病網膜症の診断精度の向上と解析時間の短縮化課題への対応
-軟性白斑と硬性白斑の検出については、目標である感度80%をほぼ達成した。レーザー瘢痕検出については、検出精度92.5%を得た。
-重症度判定診断支援機能の精度80%以上を達成した。
・クラウドサーバーによるデータ通信システム開発及び暗号化課題への対応
-眼底画像データを秘匿化してクラウドサーバーと通信を行い、独自の暗号化方法で眼底画像データを通信する目標が達成できた。

糖尿病網膜症診断支援システムweb画面
知財出願や広報活動等の状況

2021年2月、”疾患撮影カメラ、疾患自動スクリーニングシステム、疾患画像データの暗号化方式、およびそのプログラムに監視、特に、撮影画像データのセキュリティを強靭化した眼底カメラ等、疾患自動スクリーニングシステム、画像データ等の暗号化方式、およびそれを実現するためのプログラムに関して”特許願提出(TA2020001)した。
2021年12月、スリランカで開催された”6th International Conference on Information Technology Research (ICITR 2021) ”において、研究成果発表を行った。

クラウドサーバー通信システムと暗号鍵の開発におけるデータのフロー図
研究開発成果の利用シーン

・開発中のAIを用いた糖尿病網膜症診断支援機能は、病理箇所の特定及び重症度の判定が可能となる。
・安価なポータブル眼底カメラで撮影した眼底写真をサーバーにアップロードして、AIが自動診断する。
・結果を臨床医にフィードバックし、眼疾患の早期発見早期治療を実現するとともに、医師の作業負担減、診断均一性、人手不足解消を実現できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

ユーザーは、医師(糖尿病専門医、一般医師)、眼科医(網膜専門医等)、オプトメタリストなどである。
現在、スリランカにおいてフィールド臨床評価を進めており、実用化に向けて取り組んでいる。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、製品製造、共同研究・共同開発、技術ライセンス

製品・サービスのPRポイント

眼底カメラは試作レベルで性能が未達であるが、デスクトップの競合品と比べて性能的には劣るものの、安価という特徴がある。
また、海外メーカーの糖尿病網膜症AI診断支援システムはデスクトップタイプの眼底カメラを使用し、
軽症非増殖糖尿病網膜症以上の検出が可能となっているが、価格が高いだけでなく、
診断システムにおいて病理箇所が特定できないなど、機能面で不足している。
一方で、開発中のAIを用いた糖尿病網膜症の診断支援機能(病変の検出支援)は、
病理箇所の特定及び重症度の判定が可能となり、診断機能が充実している。

今後の実用化・事業化の見通し

令和3年度は、ソフトウェア面においては、糖尿病網膜症診断支援システムの市場フィールド評価を計画し、
市場からの眼底画像収集と解析精度の向上に努めている。
眼底カメラのハードウェアについては、眼底カメラの光学系を再設計及び試作し、基本性能を得る予定である。
令和4年度は、糖尿病網膜症診断支援システムを先行して販売開始するとともに、
眼底カメラは、フィールド評価を実施後、製品化を行い販売に結び付ける予定である。
最終的に、糖尿病網膜症診断支援システムとして、令和5年度までに実用化を目指す。

実用化・事業化にあたっての課題

眼底カメラの短時間自動焦点化技術の開発においては、光学系が完成できなかったことから、目標である焦点調整時間10秒以内を実証することはできなかった。
次年度に眼底カメラの試作を完了させ、ハード面として短時間自動焦点化技術の検証を実施する。
また、眼底カメラの小型・軽量化に関する検討においては、目標である 830g を大きく超過した。
次回の試作では、新規光学系の設計に伴って、光学方式の再検討及びレンズ等の軽量化を実施する。

事業化に向けた提携や連携の希望

眼光学機器を製造販売している企業との連携を模索中であり、眼底カメラの高性能・高機能化を共同で推進してグローバルな展開を目指す。
加えて、電子カルテなどを提供する企業との糖尿病網膜症診断支援システムの連携を希望する。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社オーヒラ
事業管理機関 公益財団法人にいがた産業創造機構 産業創造グループ 次世代産業チーム
研究等実施機関 国立大学法人新潟大学 医学部眼科 講師 長谷部 日
株式会社インターエナジー
アドバイザー 株式会社エムシード 鈴木 雅基
株式会社エムシード アキラ ジャヤマーンナ
新潟県産業労働部

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社オーヒラ(法人番号:9110001026223)
事業内容 医療用機械器具製造業で精密光学機器を用いた医療機器の製造販売を事業としている
社員数 27 名
本社所在地 〒949-6408 新潟県南魚沼市新堀新田629-961
ホームページ https://www.ohira.co.jp/
連絡先窓口 取締役部長 池田 明
メールアドレス kohira@beige.ocn.ne.jp
電話番号 025-775-3891