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情報処理

再エネ、水素蓄電、高速水耕栽培の三位一体技術を用いた革新的な植物工場を実現するエネルギーマネジメントシステム

千葉県

株式会社エーディエス

2023年2月15日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 IoT技術を活用した農業の効率化および高効率エネルギーマネジメントシステムの開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 環境・エネルギー、農業、食品
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化
キーワード 再生可能エネルギー、水素蓄電システム、植物工場、高速水耕栽培技術、エネルギーマネジメントシステム
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

再生可能エネルギー買い取り制度の終了により、再生可能エネルギーを農業(植物工場、施設園芸等)に利用することが注目されている。しかしながら農業部門での栽培コストを考慮すると、エネルギー効率を高めつつそれを安い設備投資で実現する必要がある。本研究では、エネルギー効率と栽培効率を極大化するマネジメント技術の開発を行い、効率の高い農業の実現に寄与する。また本技術を他の産業分野へ拡大することも図る。

新技術の全体像
開発した技術のポイント

・光照射量・強度を加味した成長曲線推定手法の確立
-成長曲線推定のための栽培データベースの構築
-栽培データベースを用いた成長曲線推定エンジンの設計・実装
・水素蓄電システムにおけるオンサイト水素生成量予測手法の確立
-オンサイト水素生成量予測エンジンの設計・実装
-水素蓄電システムの構築
・オンデマンド生産を可能にするリアルタイム自動機器制御手法の確立
-リアルタイム自動機器制御エンジンの設計・実装
-リアルタイム自動機器制御による植物工場での実証

成長曲線推定エンジンの性能目標
水素蓄電システムにおけるPVの最大効率点
具体的な成果

・現状の植物工場は出荷まで固定的に45日前後を要し、生産開始後の期間調整も難しい。成長曲線推定手法を確立することで25日~45日の生産調整とエネルギーコスト削減(光照射量45%以上削減)を実現した。
・現状の植物工場は予測したエネルギー供給可能量および蓄電量を効果的に使用する機能がないため、太陽光発電の大半が未使用であり、エネルギーの実効効率が低い。これをオンサイト水素生成量予測手法(発電量)を確立することで、太陽光発電の使用率を向上させた。
・現状では生産開始後の期間・量の調整が困難であり、需給差からの出荷率が50~80%程度と低い。一連の成果を用いて電力系機器の自動機器制御手法を確立することで、この出荷率の向上(95%以上)とエネルギーコスト削減を実現させた。

成長曲線推定エンジンのベースとなる栽培データべース
光照射量をコントロールした栽培結果
オンサイト水素生成量予測エンジンの設計・実装
水素蓄電システムの構築
リアルタイム自動機器制御による植物工場での実証試験環境
知財出願や広報活動等の状況

特許番号:特許7016142(特願2017-203684)
発明の名称:水耕栽培装置および方法
出願人(発明者):株式会社エコデシック
概要:従来の装置と比較して、栽培期間が短く、同等以上の収穫ができる、水耕栽培装置およびその制御方法を提供する。本発明の水耕栽培装置は先行技術とは異なる形状を持つと共に、栽培棚は満水状態と渇水状態を繰り返す。また、水耕栽培装置の制御方式は、照明装置照明の明暗周期を、30分から最長24時間まで制御する。
役割:自動機器制御の根拠となる栽培期間延長が可能な高速栽培技術に関する特許である。成長曲線推定エンジンは、この特許で示された調整要素を前提に構築した。
令和2年度後半に千葉県産業振興センターの協力で、事業化に向けたセミナーを行い、事業をスタートさせた。

研究開発成果の利用シーン

・栽培マネジメントシステム
‐植物工場およびハウス栽培における野菜生産(レタス類、その他)
・エネルギーマネジメントシステム
‐再生可能エネルギーを利用した植物工場、ハウス栽培
‐既存、再生可能エネルギーの有効活用
‐再生可能エネルギーを利用した避難所・住宅・小規模事業者事業所
・統合的栽培マネジメントシステム
‐再生可能エネルギーを利用した植物工場、ハウス栽培

本研究成果のシステム全体概要

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

研究成果に係る事業化展開について、国立大学法人東京大学は、補助事業終了後においても、株式会社エーディエスへ引き続き技術支援を行い、下記の製品・サービスの事業化を行っている。
・栽培マネジメントシステム、エネルギーマネジメントシステム、統合的栽培マネジメントシステム

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、技術ライセンス、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・栽培マネジメントシステムの効果による収益性向上
‐市場から要求される翌月の野菜利用計画に従い、計画栽培を行うことができる
‐大きな栽培コストの上昇無しに廃棄損を無くすことができるため、収益性のある植物工場の実現に大きく寄与する
・エネルギーマネジメントシステムの効果による大幅なコスト削減
‐エネルギー貯蔵法を含めた安価で高効率なエネルギーマネジメントを可能とすると同時に、CO2排出フリーの水素製造設備も可能とする
‐買取がなくなった場合の発電システムの活用を含め、多様なニーズに対して、省エネルギーでかつCO2排出削減に寄与することができる
‐今後買取が難しくなった太陽光発電施設が、安定な電力供給源として独立電源としても、また商用電源の補完電源としても利用可能となる
・統合的栽培マネジメントシステムの効果による新しいビジネスモデルの実現
‐設置場所を問わない、しかも収益性の高い植物工場を可能にすることができる
‐国内だけでなく商用電源が普及していないような国や地域への植物工場の輸出まで可能となる

今後の実用化・事業化の見通し

施設園芸規模(植物工場やハウス)に関する農水省調査報告によると、複合環境制御装置のある温室(完全人工光型植物工場も含む)の普及の重要性が指摘されている。本研究開発の成果は将来の農業で重要とされている植物工場の普及及び、ハウスの高度化に大きな貢献が期待できる。また、近年就農者の減少と高齢化は更に進んでおり、それに対して新規就農者は増えていない。その理由は「作業がきつい」「栽培技術の習得が困難」ということがあげられているが、本研究開発の成果でこれらの問題を解決することが可能であり、農業の継続性に関して大きな効果を与えることが期待できる。

実用化・事業化にあたっての課題

・再生可能エネルギー発電能力、水電解装置、水素タンクのバランス
・過積載太陽光パネル廃棄電力の利用システム開発
・営農支援型太陽光パネルでの高付加価値栽培技術・栽培施設の開発

事業化に向けた提携や連携の希望

本技術を普及させていくためには、「ハードウェア企業との提携・連携」「このシステムを利用する企業、自治体等との提携・連携」が必要である。すでに水素関連ハードウェア(水電解装置、燃料電池」に関しては(株)エノアと提携、植物工場システムに関しては(株)エコデシックと連携している。システムの普及に関しては、デロイトトーマス等コンサル会社と提携を進めているが、それ以外に地方自治体やJAなどとの提携・連携を進めていく必要がある。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社エーディエス
事業管理機関 公益財団法人千葉県産業振興センター 新事業支援部 産学連携推進室
研究等実施機関 国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター 教授 杉山 正和
アドバイザー 株式会社エコデシック
株式会社ミタデン
株式会社エノア
株式会社F‐グレイス
国立大学法人琉球大学
NPO法人亜熱帯バイオマス研究センター
株式会社アグリプラス
千葉県柏市
千葉県

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社エーディエス(法人番号:2050001010636)
事業内容 議会映像配信システムの開発販売 、センサーネットワークの開発販売 、植物工場向けモニタリングシステムの開発販売 、無線調光システムの開発販売 、語学学校向け管理システムの開発販売
社員数 8 名
生産拠点 千葉県柏市(本社、研究施設)
本社所在地 〒260-0805 千葉県柏市柏6−9−18 柏パークビル4F
ホームページ https://www.adscorp.jp
連絡先窓口 株式会社エーディエス 後藤 秀樹
メールアドレス hgoto@adscorp.jp
電話番号 04-7160-2355