立体造形
フィギュアのモノづくりを日本の産業に
宮城県
株式会社デザインココ
2023年2月5日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | フィギュア市場向け成形型の企画から完成までの製作期間を大幅に短縮させるプロセスの開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | コンテンツビジネス |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(精度向上)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、デザイン性・意匠性の向上 |
キーワード | クールジャパン、フィギュア、3DCG、樹脂型、3Dプリンター |
事業化状況 | 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中 |
事業実施年度 | 令和1年度~令和3年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
コンテンツ系クールジャパンの一角を担うフィギュアの製造型に関する研究であり、従来トライ&エラーで行われてきた原型製作を3D-CGデータ化し、従来の鋳物金型を3Dプリンタによる樹脂成形型へ変更する。これにより、製作期間の大幅な短縮(1年→6ヶ月)、商品の再現性向上、型製造の国内回帰、小ロット生産が可能となる。樹脂型を用いた製造は困難な点が多く、このような取り組みは世界で初めてである。
開発した技術のポイント
・X線CTにより取得した原型輪郭と、光造形樹脂製成形型を用いた射出成形により作製した成形品の輪郭をX線CTにより取得し、原型データと形状比較を行った。その結果形状の再現性が難しいパーツを射出成形可能なモデルデータを開発した。
・DLP方式に対応した光硬化性樹脂に、塩化ビニル樹脂の射出成形に耐えられる物性を持たせた。
・塩化ビニル樹脂の射出成形に耐えられる物性を持ち、成形物であるフィギュア外観として、大幅な後加工なしで使える平滑性を持つ。
具体的な成果
・自由曲面形状を持つフィギュアの射出成形可能なモデルデータの開発
‐射出成形により、原型とほぼ同じ形状の成形品を得ることができた。
-成形品に現れるパーティングラインなどの粗さや凹凸、うねりについてはワンショット顕微鏡ならびに接触式粗さ計を用いることで数値評価を可能とした。
・DLP方式での光造形による樹脂型の開発
-DLP方式の光源(405nmUV-LED)に対する光感度が高く、低剛性・じん性のある新規光硬化性樹脂を開発した。
-流動解析の3次元金型冷却解析システムにより型の放熱性評価のシミュレーションを可能とした。
-シミュレーション結果の妥当性を評価できる成形型の温度を計測できるシステムを確立した。
知財出願や広報活動等の状況
射出成形に耐えられる成形型について、光硬化性樹脂組成物として特許化検討中。
研究開発成果の利用シーン
研究成果を用いて、自由曲面形状を持つフィギュアの射出成形可能なモデルデータが得られる。
その結果以下のシーンで利用できる。
・製作期間の大幅な短縮
・商品の再現性の確保(原型の3D-CADデータ化)、原作者の満足度(芸術的視点)向上
・製作期間短縮と簡易成形型の積極的採用、3D-CADデータ化によるモデルデータ製作と成形型への応用
・製作のデータの手戻りを削減することによる成形型製作コストの低減
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
既存の取引会社に、国内生産の納期の優位性(マーケットに対して戦略的な商品投入)を説明している。
国内に成形工場を持っているフィギュアメーカーに対して、原型データ制作から金型まで一貫生産の体制を構築し提供する。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造
製品・サービスのPRポイント
本事業を実施すると以下の流れでフィギュア製造が可能となる。
1.国内で手造形による原型と3D-CGデータ、3D-CADデータにて、アニメ版権元で原型監修
2.3D-CGデータにより、髪パーツの成形型を、3D-CADデータにより面相・首下パーツの機械加工型を日本で製造。
3.中国の成形工場での場合、型が成形工場へ渡り、その後の成形・塗装工程へ。日本の成形工場での場合、型を国内で移動し、その後の成形・塗装工程へ。
以上から、フィギュアメーカーは大きなメリットを得られる。
今後の実用化・事業化の見通し
国内に成形工場を持っているフィギュアメーカーに対して、原型データ制作から金型まで一貫生産の体制を構築し提供する。特に機能を重要視する工業金型・成形工場に対して、意匠を重要視する商品特性を理解させつつ、金型・成形工場の持つ高い工業製品成形技術を応用した連携・開発体制を組む。
2022年度はサンプル出荷および追加研究。24年度には製品販売開始し、26年度で売上高4億2千万円を見込む。
実用化・事業化にあたっての課題
新規に開発したDLP方式の光源(405nm UV-LED)に対する光感度が高く、低剛性・じん性のある光硬化性樹脂にCNFを添加することで、強度の向上が認められたものの、当初掲げた光硬化性樹脂の高度化目標物性値には及ぶことができなかった。粘度上昇を引き起こさない程度のCNFの添加量の増加や他のフィラー(ナノシリカを想定)とのハイブリッドを検討する。
髪パーツの肉厚部の冷却効果が低く、成形品の冷却が十分でなく型から取り出すことができなかった。また、樹脂型の材料である光硬化性樹脂の熱伝導率を現在の0.3W/m・K程度から1.0W/m・Kまで引き上げることができれば、冷却効果が増すことがシミュレーションからわかっている。光硬化性樹脂の熱伝導率を向上させる材料処方の検討が必要とされる。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社デザインココ |
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事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人山形大学 宮城県産業技術総合センター |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社デザインココ(法人番号:6370001013347) |
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事業内容 | 立体造形物制作、グラフィックデザイン、広告制作 等 |
社員数 | 80 名 |
本社所在地 | 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町一丁目12番2号 星光堂ビル2F |
ホームページ | https://www.dcoco.co.jp/ |
連絡先窓口 | 株式会社デザインココ プロデューサー 大場春香 |
メールアドレス | ooba@dcoco.co.jp |
電話番号 | 022-227-2921 |
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