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情報処理

画像AI技術と高速通信による映像を用いた乳用牛の個体管理システムが酪農家の負担を軽減し、日本の酪農業発展に寄与する

北海道

株式会社土谷製作所

2024年12月5日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 フリーストール牛舎のためのAIを用いた映像解析による乳用牛個体管理システムの開発
基盤技術分野 情報処理
対象となる産業分野 農業、情報通信
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高効率化(人件費削減)、高効率化(生産性増加)、環境配慮
キーワード 映像解析、ウエアラブルフリー、個体認識、行動軌跡、画像AI
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和1年度~令和3年度

プロジェクトの詳細

事業概要

日本の酪農業界の国際的競争力を高めるため、生産性の向上が急務であり、安定して生乳を生産するためには、大規模牛舎に対応できる牛の管理システムが必要である。本開発では、AIによる映像解析技術によって牛の個体識別と行動追跡を可能とし、さらにデータ管理のプラットフォームを構築することによって、大規模牛舎にも対応できる牛の個体管理システムを開発し、低コストで人の手間を要さない効率的な酪農を実現させる。

開発した技術のポイント

・AI(画像認識)を用いた個体識別技術の開発
-乳用牛のマスターデータ撮影のため、「乳用牛登録用カメラ」装置を作成
-ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを用いた深度データからの立体データ作成手法を実現
-乳用牛撮影データの高品質化のための撮影環境の改善
-カメラ6台を利用した乳用牛撮影の高度化
-Mask R-CNNとよばれる深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network; DNN)を用いて牛領域抽出器を試作し領域抽出精度評価
-個体毎に切り出した入力画像を、Triplet Lossとよばれる損失関数を用いて学習したDNNによる特徴抽出
・大規模牛舎での牛の行動記録の検証
-SORT(Simple Online and Realtime Tracking)という移動体追跡アルゴリズムを使用による乳牛追跡
・牛の個体管理システムの開発
-乳用牛登録用カメラおよび牛舎カメラから情報を収集し解析するための環境として、インターネット上にファイル格納用サーバ、情報解析用サーバを構築
-解析し蓄積した乳用牛の行動記録情報を酪農家に提供するため、WEBブラウザ上で動作するWEBサービスを構築

具体的な成果

・AI(画像認識)を用いた個体識別技術の開発
-乳用牛1頭1頭のマスタデータ生成
-牛舎内映像から乳用牛の領域抽出が可能に
-牛舎内映像から乳用牛のトラッキングが可能に
-乳用牛1頭1頭の個体識別が可能に
・大規模牛舎での牛の行動記録の検証
-今までは分からなかった「この子は、いつ、どこで何をしていたの?」が分かる!
・牛の個体管理システムの開発
-牛舎映像や軌跡データをWEB上から閲覧
-1頭1頭の行動詳細を見える化

知財出願や広報活動等の状況

・下記2件の特許を出願
(1) 行動軌跡推定装置、行動軌跡推定プログラムおよび行動軌跡推定方法(特許出願番号:特願2021-166583)
(2) 異常行動検知装置、異常行動検知プログラムおよび異常行動検知方法(特許出願番号:特願2020-183460)

・広報活動
展示会への出展(2023年は、「国際農業機械展in 帯広」に出展)、帯広畜産大学 新築牛舎でのサービスプレリリースを通して、 多くの関係者にこのサービスの有用性をアピールする。

研究開発成果の利用シーン

国内で規模拡大を続ける酪農家がメインターゲットである。海外では中国、アメリカ、欧州など日本国内を大きく上回る規模の酪農が企業体制で展開されており、ユーザ数は相当量に上ると予想され、研究者や獣医師はこのビッグデータから、新たな発見や考察が生まれ、更に新たな価値観の創造へつながる可能性もある。また、エンドユーザにとっても映像という最も分かり易い形でサービスを提供でき、使い勝手の良いシステム構築も期待される。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

国内で規模拡大を続ける酪農家がメインターゲットとなっている。しかしながら、世界的な食糧不足の中で、海外では中国、アメリカ、欧州など日本国内を大きく上回る規模の酪農が企業体制で展開されており、ユーザ数は相当量に上ると予想される。

提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

現状、乳用牛の個体管理及び発情発見などの行動管理(体調管理)は、乳用牛に直接的なハードウエア装着が必須であるものの、本技術では、乳用牛1頭1頭にハードウエアを装着することなく個体管理や行動管理ができる。さらに現状の技術では乳用牛の一日の行動すべてを把握することはできないが、このシステムでは、少なくとも視覚情報としての一日の行動が記録できる(夜間に関してはカメラの性能に依存する)。一方、研究者や獣医師はこのビッグデータから、新たな発見や考察が生まれ、更に新たな価値観の創造へも寄与できる。また、将来的には、離れた場所からの酪農作業の実施や他の酪農設備と連携した自動制御によるオートメーション牛舎の実現など、様々な方面への拡張が期待できる。

今後の実用化・事業化の見通し

精度向上改善作業の結果、個体識別精度が約9割、乳牛追跡精度が8割強という結果が得られている。個体識別と乳牛追跡を併用した場合の追跡精度は約8割強となり、実用化のめどが得られた。他既存システム(農協、NOSAI等のシステム)や既存サービス(他メーカ等の提供するサービス)との親和性を高めるため、徹底的にオープンなシステムを目指し、弊社単体でのサービスだけではなく、この技術が他のシステムやサービスでも広く用いられるプラットフォーム的な立ち位置を目指すことにより、より多くのユーザに使用していただける可能性を高める。

実用化・事業化にあたっての課題

他既存システム(農協、NOSAI等のシステム)や既存サービス(他メーカ等の提供するサービス)との親和性を高めるため、徹底的にオープンなシステム開発が求められる。
システムとしての個体追跡精度に関し目標の90%を達成する。一方、全身が黒または白の牛の識別など一部残された課題については、今後も取り組む必要がある。

事業化に向けた提携や連携の希望

酪農業界以外のサービスとも連携することを考えたい。例えば保険業界とのコラボレーションなどは面白いと考えている。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社土谷製作所
事業管理機関 一般社団法人北海道農業機械工業会
研究等実施機関 株式会社構研エンジニアリング
学校法人東京理科大学 工学部情報工学科
国立大学法人帯広畜産大学 畜産フィールド科学センター
アドバイザー 十勝農業協同組合連合会
株式会社NTTドコモ北海道支社
北陸銀行苗穂支店

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社土谷製作所(法人番号:3430001010638)
事業内容 酪農機具製造販売、暖房用燃焼器具・避難器具製造、金属製品製造
社員数 95 名
生産拠点 札幌市
本社所在地 〒065-0042 北海道札幌市東区本町2条10丁目2番35号
ホームページ http://www.sapporo-tsuchiya.co.jp/
連絡先窓口 株式会社土谷製作所 代表取締役社長 土谷 敏行
電話番号 011-781-5883