研究開発された技術紹介

自動車産業界の裾野では、大手カーメーカー海外進出に伴い、国内生産の空洞化が深刻な問題となっている。その状況下でも国内で生き残るためには、難加工材の3次元形状部品をプレス化することや、金型費用の削減等の高付加価値化での国内生き残り戦略が必要不可欠となってきている。そこで、本研究開発として一般的なダイセット(ガイドポスト)金型構造ではなく、丸形プレート方式の嵌合い自己調芯金型製造技術を確立することで、精密プレス製品を低コストで製造する技術を確立する

丸プレート方式によるシンプルで高精度なプレス金型製造技術を確立
・加工精度(Φ30);20μm→10μm以下
・製品における歪(Φ20);1%→0.25%
・仕上工数：現状の6割、金型コスト：現状の5割
・体積→角形プレートに比して22%低減
(新技術)
<丸プレート方式によるプレス金型製造>
(特徴)
・高精度でシンプルな金型構造により、ガイドポストなしでプレス偏芯荷重による芯ズレを防止
・円形が基本形状となることにより、金型素材歩留まりが向上(約22%)。金型重量も２割以上の軽量化で、メンテナンスが容易
・円形が基本形状であることにより、焼入れ歪による金型の寸法変化が小さい為、仕上げ加工費が削減できる
・金型の補強が容易で強度維持が可能
・円形のため、加工時の位置決めが容易で、精度が出しやすく、トータルとして仕上げ工数を低減

･丸ﾌﾟﾚｰﾄ金型ｼｽﾃﾑを試作､外径､円筒度､製品外観は良好
‐ｼﾝﾌﾟﾙで高精度な印籠方式嵌合構造で､自己調芯を可能とする丸ﾌﾟﾚｰﾄ実験用試作金型ｼｽﾃﾑの基本設計及び､試作
‐ﾄﾗﾝｽﾌｧｰﾌﾟﾚｽの基本工程確認として､試作した金型を用いて､単一絞り工程の実証実験を実施
‐外径寸法､円筒度および製品外観が良好であることを確認
･ﾊﾞﾈによる偏芯荷重を与えても品質は良好
‐ﾊﾞﾈを用いて模擬的に量産時の偏芯荷重を発生させて評価
‐ﾊﾞﾈ無しからﾊﾞﾈを1本ずつ増加させる毎に､変位量は15μmずつ増加し､3本目からは変位増加は認められなかった
‐金型のｷｽﾞ､焼付きの発生､製品寸法には変化はなく､良好な結果が得られた
‐量産ﾌﾟﾚｽ機において､多段絞り加工品の品質を評価
‐200個程度のﾌﾟﾚｽ成形を行った結果､評価項目のいずれについても規格値(合格基準)および､研究目標値を達成､基本的な欠陥はない
･試作金型による製品の寸法測定結果
～外径､円筒度が良好であることが確認～
･ﾌﾟﾚｽ品の品質評価結果
～研究の目標値は､製品における歪(Φ20の場合)を製品径の0.25%以下であるため､径ΦA､ΦB､円筒度(ΦA部)の研究目標値は,それぞれ公差ﾚﾝｼﾞ0.45､0.475､0.045となる｡結果､目標値を全て満足する結果となった～

・H25年度の上期に事業化予定
・サンプルなし

・低コスト化→金型形状が丸形プレート方式であることから、金型素材歩留まりを2割以上向上させることや、自己調芯構造などにより、金型費用の半減が可能
・複雑形状化→丸形プレート方式による嵌め合い自己調芯金型の製造技術の確立で単純金型構造でありながら、精密な複雑形状プレス部品を実現

丸プレート方式による金型を、事業展開中
・丸プレート方式による金型の結果が良好であり、自動車部品メーカーに、概算見積を提出する予定