精密加工
重症リンパ浮腫に対して、リンパ管再生を行いリンパ流路を再建する従来に無かった概念の新規医療機器の開発
東京都
タマチ工業株式会社
2024年12月23日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 極小径金属ステントおよび新規生体適合性ゲルを用いた重症リンパ浮腫に対する革新的治療機器の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護 |
産業分野でのニーズ対応 | 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高効率化(工程短縮)、高効率化(人件費削減) |
キーワード | 微細化、再生医療 |
事業化状況 | 研究中止または停滞中 |
事業実施年度 | 令和3年度~令和5年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
リンパ管の廃絶した重症リンパ浮腫に対して、現在身体的負担が少なく術者を選ばない治療法は存在しておらず、これを解決する新規治療法の開発が待ち望まれている。そこで、われわれは重症リンパ浮腫に対して、微細レーザー加工での精密加工技術によるステントの開発とリンパ管を再生するための新規生体適合性ゲルチューブの開発を組み合わせたリンパ流路を再建する新規治療システムを確立し再生医療デバイスの開発を行った。その結果、リンパ管としてパイプ状に成長し、リンパ液が流れているという確証は得られなかったが、無数のリンパ管の再生は認められた。
開発した技術のポイント
・吻合用金属ステントの開発
-微細なレーザー加工技術による極小径金属ステントの製造
・生体適合性ゲルチューブの開発
-内膜にPLGA-PEG-PLGA複合ゲルを使用した二層構造を採用
-ゲル硬度と金属ステントの形状を最適化し、脱落しないよう設計・レーザー熱凝固技術の確立
-リンパ管や静脈との接合をレーザーで行い、手術を低難度化
具体的な成果
・人工リンパ管を製作し、ステントを使わずにリンパ管を直接接合し、リンパ節細胞の移植でリンパ管再生を目指した。
・金属製ステントでは狭窄が生じやすいため、生体適合素材のバイオチューブ(コラーゲンパイプ)を使用し、内径3mmのパイプを作成。
・バイオチューブの素材は炎症が少なく、生体吸収速度も適正であったが、移植後にパイプがつぶれる問題が発生した。
・屈曲保護ステントを使用した場合、パイプの形状が維持され、リンパ管再生の可能性がある孔が確認された。
・リンパ液の染色観察では、リンパ管としての成長やリンパ液の流れは確認できなかった。
・甲南大学の研究で、リンパ管の再生には静脈血管が必要で、特定の誘導因子が静脈血管から細胞を供給することが確認された。
・この研究から、人工リンパ管が静脈血管からの細胞供給を阻害しており、再生効率を下げている可能性が示唆された。
研究開発成果の利用シーン
リンパ管再生用医療機器の開発につながる。
今後、リンパ管再生の機序を考慮した移植方法を開発することで、より高効率な再生が期待できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
リンパ管吻合に金属製ステントを用いることは適切ではないと推測された。一方、血管サイズでの吻合技術として、金属パイプに血管をレーザー光で焼き付け接着させる実験では、一定の成果が得られた。手術室に持ち込め操作性の良いレーザー装置の小型化開発が順調である。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、製品製造、試験・分析・評価、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・屈曲保護ステントを用いたバイオチューブではよくパイプ形状を保ち内部にリンパ管再生の可能性がある孔が認められた。その他にパイプの外部周辺にリンパ管孔と思われる個所が散見された。
・外側からの圧力によってステントが潰れないラディアルフォース(拡張力)と曲げた際にステントが折れない為のフレキシビリティー(柔軟性)その二つの要素を兼ね備えている屈曲部用ステントカバーを製作することができた。
今後の実用化・事業化の見通し
新技術(レーザーを用いた生体と金属溶着技術や・細径金属ステントの作製技術等)は本テーマ以外の領域にも応用が可能であり、本研究から派生するであろう各研究にも今後期待が持てる。
実用化・事業化にあたっての課題
・リンパ管再生のためにはコラーゲンをスキャホールドとし、ひも状のコラーゲン外壁に溝を作成し、細胞再生促進ゲルを溝に詰め静脈血管からのリンパ管生成細胞を誘導する方法を検討する。
・金属ステントそのものの形状や素材、あるいは塗布薬剤の開発が必要。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | タマチ工業株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構 |
研究等実施機関 | 静岡県立静岡がんセンター 学校法人甲南大学 学校法人光産業創成大学院大学 学校法人埼玉医科大学 国立大学法人浜松医科大学 |
アドバイザー | 宮野医療機器株式会社 癌研究会有明病院 |
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | タマチ工業株式会社(法人番号:9010701005932) |
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事業内容 | 製造業 |
社員数 | 103 名 |
生産拠点 | 静岡県富士宮市 |
本社所在地 | 〒140-0013 東京都品川区南大井4-10-2 |
ホームページ | https://www.tamachi.jp/ |
連絡先窓口 | 高松 賢介 |
メールアドレス | k-takamatsu@tamachi.jp |
電話番号 | 03-3762-5591 |
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