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複合・新機能材料

単結晶製造後の切断・加工コストを大幅に低減することが可能な形状制御単結晶育成技術を開発

秋田県

秋田精工株式会社

2021年2月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 燃焼圧センサー用ランガサイト型圧電結晶の形状制御単結晶作製装置及び作製技術の開発
基盤技術分野 複合・新機能材料
対象となる産業分野 自動車、産業機械、工作機械
事業化状況 事業化に成功
事業実施年度 平成22年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

自動車の更なる燃費向上には、ランガサイト型圧電結晶を用いたエンジン内燃焼圧センサーが必要とされるが、従来法ではバルク単結晶からの加工コストが大きく実用化に大きな弊害となっている。本事業ではデバイス形状が直接作製できるマイクロ引き下げ装置における上流から下流まで全ての要素技術を見直し、中小企業に存在する世界にも高レベルの技術を掘り起こし垂直統合することで、低価格な圧電結晶素子の製造技術を確立する

開発した技術のポイント

ランガサイト型結晶の形状を制御する技術を確立
・高効率での結晶作製→形状制御ランガサイト型単結晶を6本同時に作製可能な坩堝を開発
・µ-PD装置の高周波発振機の低コスト化:現状500万円/台→300万円/台にコストダウン

(新技術)
µ-PD法によるランガサイト結晶の作製
・従来の結晶作製法では単結晶の形状制御が困難であったが、新製法により、様々な形状の単結晶が作成可能となる
・あらかじめ形状制御を行っているので加工ロスが少なく、製造コストの削減が可能

具体的な成果

・ランガサイト型形状制御単結晶育成のための坩堝を開発
‐様々な用途での使用を考慮し、円柱状、平板状、チューブ状それぞれの結晶育成が可能な坩堝を、プラチナ合金インゴットによって作製
‐ダイ部の高温使用劣化による結晶育成の安定性低下が既知であることから、ダイ部のみを交換可能とする機構を確立し、低コストでの継続運用を可能とした
・µ-PD法によるランガサイト型結晶育成装置の開発
‐従前のµ-PD法に用いていた高周波発振機は20kWと出力が多く、他方で必要な出力は8kWであることから、適正出力の高周波装置を開発
‐出力の適正化、回路の変更等によりコストを削減し、従来の高周波発振機の販売価格の半額で販売を可能とした
‐µ-PD装置は、東日本大震災によって損傷を受けた教訓をもとに、停電対策を盛り込んだ
‐装置全体の部品点数の削減等により、他社製品の販売価格の半額で販売することを可能とした
・µ-PD法によるランガサイト型結晶育成技術の検証
‐開発した装置により、円柱状・平板状・チューブ状の各種ランガサイト型単結晶の作製に成功
‐作製した単結晶の結晶性や圧電定数が、チョクラルスキー法により育成した従来品とほぼ同等であることを確認

知財出願や広報活動等の状況

論文:横田有為 「Shaped crystal growth of langasitetype piezoelectric single crystals and their physical properties」(H24.5)、横田有為「Growth of ShapeControlled Ca3NbGa3Si2O14 and Sr3NbGa3Si2O14 Single Crystals by Micro-Pulling-Down Method and Their Physical Properties」(H23.6)等(他4件)

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度に実用化に成功、事業化間近
・無償試作機あり(燃焼圧センサー試作器)
・有償試作機あり(形状制御ランガサイト型圧電結晶、マイクロ引き下げ装置、小型高周波発振機、形状制御用特殊合金坩堝)

製品・サービスのPRポイント

・低コスト化→開発したマイクロ引き下げ装置による形状制御単結晶育成技術は、単結晶製造後の切断・加工コストを大幅に低減する
・省スペース化→開発したマイクロ引き下げ装置は、従来装置と比べて設置面積を30%縮小し、製造コストも約2/3である
・省エネルギー化→開発した小型高周波発振機は、従来装置と比べて消費電力が約2/3であり、製造コストも約2/3である

今後の実用化・事業化の見通し

既に一部の開発成果(マイクロ引き下げ装置等)は販売を開始。現在、マルチ単結晶育成技術の確立に向けて補完研究を実施中
・燃焼圧センサー用圧電結晶は自動車メーカーに試作品を提供予定である。マイクロ引き下げ装置、高周波発振機、形状制御用坩堝は既に販売実績あり
・さらなる量産化技術の確立のため、平成23年度グローバル技術連携・創業支援補助金(一般枠)を基に、連続原料供給システム、形状制御坩堝の脱着機構等を開発中である。また、マルチ単結晶育成技術の確立に向けて補完研究を実施中である
・燃焼圧センサー用圧電結晶は自動車メーカーへの試作品の提供を行う予定である。燃焼圧センサーは平成26年度に実用化を予定している。開発したマイクロ引き下げ装置、小型高周波発振機、形状制御用特殊合金坩堝は既に数台(数個)販売済みである

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 秋田精工株式会社
事業管理機関 国立大学法人東北大学
研究等実施機関 青山精工株式会社
高周波ネッスル株式会社
国立大学法人東北大学

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 秋田精工株式会社
本社所在地 秋田県