研究開発された技術紹介

産業ロボットによる溶接作業で、製品の軽量化や生産コスト削減のため固体レーザー溶接の導入が行われているが、経路移動の位置決め精度の限界から製品品質が安定せず、ティーチング作業への手戻り工程の多発という課題がある。したがって、産業ロボットによる固体レーザー溶接作業について、動作経路精度の安定化やティーチング作業の省略になる溶接作業の高精度・高速化技術を開発し、信頼性向上と生産コスト削減の実現を目指す

産業ロボットによる固体レーザー溶接作業の安定に必要な自律型位置補正機の開発、ティーチング作業不要な産業ロボット動作データ作成法の開発と、これら技術を組込んだ試作機の開発を行う

(新技術)
・産業ロボットの固体レーザー溶接作業を安定させる位置補正機能を有するユニットを開発する
・3次元形状データから産業ロボットの動作データ抽出・生成を行うプログラムを開発する

(新技術の特徴)
・安定した産業ロボットの固体レーザー溶接作業を実現する
・ティーチング作業の簡略化により溶接開始までの作業を高速化する

・自律型位置補正機能を有する固体レーザー溶接作業ユニットの開発
‐5mmの位置ズレに対して、±0.1mm以下の精度で位置補正が可能なパラレルリンク機構の溶接作業ユニットを開発した
・ティーチング作業不要な産業ロボット動作データ作成法の開発
‐3次元形状データから溶接経路やレーザー照射方向の抽出及び産業ロボット動作用信号データ生成を行うプログラムを開発した
・産業ロボット用固体レーザー溶接作業を高精度化及び高速化する試作機の開発
‐上記技術を組み合わせた試作機を開発した

・現時点で提供可能
‐直線主体の部品用ティーチングレス・レーザー溶接システム
‐開発システムによる直線主体のレーザー溶接加工部品
・将来的に提供可能
‐複雑形状対応のティーチングレス・レーザー溶接システム
‐開発システムによる複雑形状のレーザー溶接加工部品
‐溶接以外の他用途でのティーチングレス・システム

・直線動作主体の溶接作業を行っている川下企業(製缶業メーカー等)へのシステム提案が可能になった
・直線主体のレーザー溶接加工部品の製造・試作が可能となった

・ティーチングレス・レーザー溶接システムにより手戻り工程が不要、溶接プロセスを改善
‐開発した溶接作業ユニットは、産業ロボットの動作から独立して動作するため、産業ロボットの動作精度に左右されない位置補正が可能である
‐3次元形状データを用いて、溶接経路の設定が可能なため、産業ロボットの動作に従来のティーチング作業が不要となる
‐2mm程度のズレであれば、ティーチング作業への手戻り工程がなく、レーザー溶接を行うことが可能である
・開発システムによるレーザー溶接加工部品は磨き仕上げが不要、コスト削減に寄与
‐安定した溶接が行える溶接条件(レーザー出力、照射方向、溶接速度)の確立により、溶接後の磨き仕上げが不要な部品加工が可能である
・他用途でのティーチングレス・システムも可能、優れた汎用性
‐ロボットアーム先端に取付るツールを交換することで、溶接以外の作業(バリ取り、塗装など)に関するティーチングレス・システムの構築も可能である

・開発システムの製品化
‐産業ロボットメーカーと連携したロボットを含めたシステムや、既存ロボットへの機能追加によるシステムの販売を検討している
‐産業ロボットと位置補正動作の同期精度の向上、より複雑な溶接形状に対応するための研究開発が必要である
・開発システムを用いた部品加工
‐ティーチングレス機能のみで対応可能な直線主体のレーザー溶接加工品を販売する
‐直線以外形状(R曲面など)を含むレーザー溶接加工品を販売する
‐ステンレス以外の材質(アルミ、銅等)部品を試作する
※半導体、医療器具製造装置などの部品加工を行う