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機械制御

Roll-to-Roll装置向け、高速・高感度張力センサシステム「センサロール」を開発

大阪府

株式会社アサヒ電子研究所

2020年3月20日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 走行系表面コーティング装置技術の性能向上に資する小型高性能歪センサを用いた張力制御システムの開発
基盤技術分野 機械制御
対象となる産業分野 エレクトロニクス、印刷・情報記録
産業分野でのニーズ対応 高機能化(新たな機能の付与・追加)、高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(信頼性・安全性向上)、高性能化(精度向上)
キーワード Roll-to-Roll装置、高機能フィルム製品、張力フィードバック制御、フィルムベースエレクトロニクス、応力計測
事業化状況 事業化に成功し継続的な取引が続いている
事業実施年度 平成20年度~平成22年度

プロジェクトの詳細

事業概要

フラットパネルディスプレイや薄膜系太陽電池の主部材である高機能フィルムの製造装置において、小型高性能歪センサによる緻密な張力分布情報の管理と、組込システム・ソフトウェア技術の利用による張力制御の多元的・高速処理を実現するインテリジェント機能を備えた次世代ロールコータ制御システムを開発する。本開発によりフィルム基材の更なる薄型化と生産性向上が達成され、材料資源の大幅な削減と環境負荷低減に寄与する

開発した技術のポイント

小型高性能歪センサ・インテリジェント機能を備える張力制御システム等を開発
●小型高性能歪センサの開発→ゲージ率:15以上(従来比約9倍)、抵抗温度係数:TCR=20ppm/℃以下(温度安定性5倍)、センササイズ:3.0mm×5.0mm×0.5mm(面積比1/5)
●インテリジェント機能を備える張力制御システムの開発→センサ搭載方式:シャフト組込型(実質占有面積0ベース)、計測精度:張力変動±1.0%F.S.(計測精度5倍)、運転温度範囲:0℃~+200℃(実績値)(広範囲な温度領域での適用可)、時間応答性:10msec以下(応答遅れ0ベース)

(本成果により実現が期待される効果)
●高精度な自動位置決め制御
●高速応答処理の実現(生産性向上)
●高性能フィルム製品の品質確保と生産性の両立

Fig.3 従来技術との比較
具体的な成果

●小型高性能歪センサの開発
 ※センサ部の小型化により、ロールシャフトへの強度に影響なく取付可能で、剪断歪をピンポイントで高精度検出可能な新しい力覚センサを開発
 ※成膜プロセスの最適化によって高感度且つ低抵抗温度係数化を達成し、幅広い温度領域にわたって利用可能な力覚センサの可能性も見出した
●シャフト内蔵型センサモジュールを用いたセンサロールの開発
 ※機器構成が異なる2Typeのセンサロールを設計・試作開発し、フィルム走行時に作用する張力情報の高精度・直接計測を実現
 ※センサロールはピローブロックを不要とし、フィルム経路や装置レイアウト等のスペース上の制約を受けないため、既存装置への取付が容易である
●自律式フィルム位置決め制御システム
 ※張力フィードバック速度制御とトルク制御の2種類の駆動系統を実装したテスト用巻替装置を開発、社内デモ環境を構築
 ※時間分解能50msec以下での高速計測を達成し、特にフィルム製品メーカからの要求が多い搬送速度300m/minの高速走行制御を実現した

Fig.4 張力検出モジュール
Fig.5 コントローラ本体[TMC-300D]
Fig.6 中継リレーBOX[TMC-300D-RB]
知財出願や広報活動等の状況

●論文:「CrSiC系複合薄膜による高性能力覚センサの試作」(「Journal of the Vacuum Society of Japan」Vol.53(2010),No.5)、
「小型高性能力覚センサを用いたロールツーロール装置用張力計測システムの試作」(「Journal of the Vacuum Society of Japan」Vol.54(2011),No.3)
●出展:月刊誌「CERAMICS JAPAN」トピックス(H21.7)、コンバーテック2011「Roll to Roll装置向け高速・高感度張力センサシステム『センサロール』の特徴と応用展開 -フィルムベースエレクトロニクスの未来を拓く-」(H23.8)、ConvertechJAPAN2012[特別企画]塗布技術と周辺技術(H24.2)
●受賞:(一社)日本真空協会「第36回真空技術賞」
●特許:「張力検出装置」(特許第5393975)、「歪抵抗素子およびそれを用いた歪検出装置」(特許第5884110)

研究開発成果の利用シーン

●透明導電膜のような高機能フィルム製品を取り扱うRoll-to-Roll装置の張力制御システム
●真空・高温雰囲気中、プラズマ放電中等の特殊環境下での張力測定に適用可能

Fig.2 縦型真空RtoRスパッタ装置導入事例

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H23年度に実用化に成功
・テスト用巻替装置、センサロールの試作機あり(有償)

Fig.1 Roll-to-Roll装置(テスト用巻替装置)
提携可能な製品・サービス内容

設計・製作、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

本開発成果品”センサロール”は、シャフトに直接センサを組み込む構成のため、ロール自身に張力計測という新しい価値を付与することをコンセプトとしたものであり、以下のような特徴を備える。
●小型化:センサ部の小型化(面積比1/5)を実現することでロールシャフトとセンサの一体化構造が可能となり、ピローブロック等の外付ユニットが不要。既存装置への置き換えが比較的容易
●精度向上:最大1.5secの高速応答、計測精度5倍向上(従来比)を達成。特に10N以下の微小張力検出に有利
●新方式の実現:真空・高温雰囲気中などの苛酷環境下での適用可能

Fig.7 張力検出モジュールの基本構成
Fig.8 システム構成例
今後の実用化・事業化の見通し

川下企業との連携により、補完研究・共同開発を実施、本格展開に向け販売体制も整備
●センサロールの改善・アプリケーション開発を引き続き実施している。具体的には、防爆性の追加、耐熱性能の更なる向上、テンデンシーロールへの対応等があり、これら課題解決のための補完研究を継続中
●川下企業と契約を締結し、センサロールの信頼性評価に係る共同開発を展開中。川下企業が所有するテスト装置にセンサロールを搭載し、長期間連続走行テストや過負荷テストを行うことで、耐久性・信頼性評価を実施している
●大手ローラメーカと提携し、本格展開に向けての販売体制の確立・拡充を推進

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 株式会社アサヒ電子研究所
事業管理機関 一般財団法人関西環境管理技術センター
研究等実施機関 株式会社京都テクニカ

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 株式会社アサヒ電子研究所(法人番号:4120001073491)
事業内容 「Sensor&Computer」を開発テーマに組込ソフトウェア・システムのパイオニアとして企業展開。病院向けマイコンカルテシステムMKSやCMOSイメージセンサ、Roll-to-Roll装置用張力制御システムの研究開発・製造・販売
社員数 20 名
本社所在地 〒541-0048 大阪府大阪市中央区瓦町1-4-16アサヒビル3F
ホームページ http://www.aelnet.co.jp
連絡先窓口 技術開発部 玉置肇
メールアドレス tamaki@aelnet.co.jp
電話番号 06-6222-3233