立体造形
新たな材料・形状によって、自動車用の衝撃吸収部品をより軽量・低コスト・リサイクル可能に
愛知県
株式会社ホワイトインパクト
2020年3月22日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 軽量でリサイクル可能な自動車用衝撃吸収部品の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
事業化状況 | 実用化間近 |
事業実施年度 | 平成22年度~平成24年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
環境、安全問題に配慮した自動車用の車内衝撃吸収部品の搭載個数は年々増加している。そこで本事業では、ポリプロピレンの薄肉シートを中空のカップコーン形状に真空成形することで、従来より軽量でリサイクル可能な衝撃吸収部品を開発する。衝撃吸収性を左右するカップコーン形状はCAEを活用し最適化すると共に、生産面では成形シートの急速均一加熱技術を確立することでサイクルタイム短縮が可能な新技術を開発する
開発した技術のポイント
熱可塑性樹脂であるポリプロピレン(PP)をカップコーン状に真空成形し、そのカップコーンがつぶれる際の変形抵抗で衝突エネルギーを吸収する自動車衝撃吸収部品の開発を行う
(新技術)
真空成形によってPPシートをカップコーン状にし、変形抵抗で衝突エネルギーを吸収する
(新技術の特徴)
・リサイクルが可能になる
・中実の発泡ウレタン樹脂よりも軽量になる
・真空成形は型費が安く、低コスト化が可能になる
具体的な成果
・CAEによるカップコーンの最適形状設計
‐各形状パラメータと板厚分布・衝撃吸収特性の関係を把握、簡易金型による試作品との比較を実施した
‐実車搭載の最適形状を求め大型品を成形、評価した
・真空成形の生産性の向上
ピンポイント成形制御技術を確立、成形時間の短縮、シート板厚の均一化を確認した
・ユーザー企業のニーズを把握、金型仕様に反映
研究開発成果の利用シーン
PPシートによるカップコーン状の衝撃吸収部品について、実製品寸法での最適形状を実現した製品
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・中堅自動車メーカーに試作品を納入、実車に搭載して衝撃試験を実施し性能について評価を得た
・製造品質など、量産化を見据えた取り組みについて、自動車メーカー担当者と打ち合わせ検討を進めた
製品・サービスのPRポイント
リサイクル可能な衝撃吸収材による低コスト化
・既存の発泡ウレタン樹脂はリサイクルできないが、熱可塑性樹脂でリサイクル可能なPPをカップコーン状にすることで、変形抵抗によって衝撃を吸収できる
型費が安く、成形の短時間化・シート板厚の均一化の成形技術を確立し、低コスト化に成功した
軽量な衝撃吸収材を自動車に搭載することによる燃費の向上
・PPをカップコーン状にすることで、中実の発泡ウレタン樹脂よりも軽量化できる
今後の実用化・事業化の見通し
・今後、自動車メーカーからは、衝撃強度だけでなく、リサイクル要求性能にも対応が求められる見込みで、これらのニーズを的確に把握するため、自動車メーカーとの打ち合わせを引き続き継続的に実施する
・自動車技術会やその世界学会(FISITA)に積極的に参加し、情報収集をすることで市場から求められる製品をタイムリーに提供する
・サンプル品を主要メーカーへは全て提供しており、一部顧客ユーザーからは、顧客社内の実験部門で(5回の)実車試験を実施しクリアし、今後は、別の顧客においても社内実車試験を依頼し量産化につなげる
・試作から量産までが短い開発機関に対応するために、CAE解析の予測精度をさらに上げる
・自動車メーカーに随時ヒヤリングしながら、3Dプリンタ等の最新技術を金型へ応用して、納期短縮と金型試作製作回数を低減することで、金型費用削減、更なるコストダウンに努める
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社ホワイトインパクト |
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事業管理機関 | 公益財団法人中部科学技術センター |
研究等実施機関 | 下田工業茨木株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社ホワイトインパクト |
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本社所在地 | 愛知県名古屋市千種区東山元町5丁目59番地の1 |
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