精密加工
新しい金型素材の開発と表面処理方法の組み合わせにより、ハイテン材用金型を高品質化
静岡県
株式会社木村鋳造所
2020年3月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | ハイテン材に対応した次世代金型素材と成形技術の開発 |
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基盤技術分野 | 精密加工 |
対象となる産業分野 | 自動車 |
事業実施年度 | 平成19年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
低コスト・短納期・一体化を可能とした革新的な、ハイテン材成形用金型素材の開発を行う。新しい金型素材は、鋳造をベースとし、この素材に熱変形の少ない表面処理技術を組み合わせることにより、川下産業の軽量化・高機能化・環境配慮に貢献する
開発した技術のポイント
素材と表面処理方法の開発により、ハイテン用金型の納期・品質・コストを革新
・590MPa級以下のハイテン材に対し、合金球状黒鉛鋳鉄材での金型開発→低コスト・高品質の素材で対応
・焼入れ時の反りが0.6mm以下(600mmの型)→熱変形の少ない表面処理方法を開発
(新技術)
・低コスト・高品質の素材(合金球状黒鉛鋳鉄材)を使用
・素材に対応した加工方法の確立
・熱変形の起こらない表面処理方法の開発
・スプリングバックへの対応
<目標>
・590MPa級以下のハイテン材に対し、合金球状黒鉛鋳鉄材での金型開発・焼入れ時の反りが0.6mm以下
・スプリングバックを0.5°以内に抑制
具体的な成果
・590MPaのハイテン鋼板のセンターピラーの成形に成功
・1)ひけ性抑制(押し湯不要)・焼入れ性・耐摩耗性に優れた新素材の開発、2)PVD表面処理、3)クリアランスの均一化、4)Rの調整、5)ディスタンスの調整を実施
・その結果、590MPaのハイテン鋼板のセンターピラー(自動車の支柱:1,475×320×H77mm、板厚t2.3mm)をカジリなしで成形に成功
・PVD-TiAlN表面処理により、表面処理時の熱変形を抑制
・従来の油焼入れでは反り発生が大きいため、反りの傾向が小さい窒素ガスによる焼入れに方向転換
・目標である「600mm金型で0.6mm以下」に対し、「300mm板で0.2mm以下」で反りの抑制を達成
・さらに、従来の1000℃でのTD処理の代わりに、200℃でのPVD-TiAlN表面処理を行い、表面処理時の熱変形を抑制
・圧縮効果と曲げ癖効果を利用し、スプリングバックを抑制
・サーボプレス機を用いて、圧縮効果と曲げ癖効果を利用した成形技術を開発
・ロッカーアーム(780MPaハイテン鋼板、165×260×40、t1.2mm)の製品に対し、スプリングバックを0.5度以下に抑制
知財出願や広報活動等の状況
論文:姜一求、菅野利猛、仲正彦、北條隆、福井雅彦「高張力鋼板(ハイテン材)用プレス金型素材の開発」(型技術ワークショップ2010P98-99)(2010,11,17-18)
研究開発成果の利用シーン
ハイテン鋼板をプレスする各種金型の素材に合金球状黒鉛鋳鉄材を用い、PVD-TiAlN表面処理を行うことで、熱変形を抑制
実用化・事業化の状況
今後の実用化・事業化の見通し
実用化の技術は確立、あとは市場の変化を待つ
・事業化に向けては、木村鋳造所がハイテン対応用金型素材を製作し、川下ユーザである三恵技研工業に提供する予定
・ただし、既存のTD処理と比べて、PVD-TiAlN表面処理の費用が高いため、販売が難しい状況。市場の変化を待っている
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社木村鋳造所 |
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事業管理機関 | 株式会社木村鋳造所 |
研究等実施機関 | 学校法人片柳学園東京工科大学 三恵技研工業株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社木村鋳造所 |
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事業内容 | フルモールド鋳造法による鋳物製品(自動車用プレス金型、工作機械用鋳物、産業機械用鋳物等) |
本社所在地 | 〒411-0905 静岡県駿東郡清水町長沢1157 |
ホームページ | http://www.kimuragrp.co.jp |
連絡先窓口 | 開発部 |
メールアドレス | kang@kimuragrp.co.jp |
電話番号 | 055-975-7053 |
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