表面処理
プラズマナノ構造による新機能製品創出
埼玉県
ウチヤ・サーモスタット株式会社
2020年3月18日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | プラズマスプレー気相メッキ法による高性能環境センサ生産プロセス開発 |
---|---|
基盤技術分野 | 表面処理 |
事業実施年度 | 平成18年度~平成20年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
誘導熱プラズマスプレーを応用した新気相メッキ技術により、化学物質に対するセンシング性能を飛躍的に高めた金属酸化物ナノ粒子構造膜を形成し、情報家電を支える環境センサとする。この新しい機能膜の生産プロセスを確立するためにプラズマ制御技術、材料最適化技術、膜構造設計技術などの要素技術を開発し、川下企業と協力して環境センサへ応用する
開発した技術のポイント
熱プラズマスプレー法により成膜された金属酸化物半導体膜によるセンサー素子は、従来製法によるセンサーでは難しかった1ppm以下のVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)に対して特異的に高感度な素子を実現した。熱プラズマスプレー成膜で1mm角内という微小領域で、かつ機能特性を持つ膜を実用化レベルで達成したものはないと思われるがこれを達成した。特にプラズマ制御、条件最適化、材料調製、ステージ駆動技術などの開発により、形状や特性を毎回同じように出せるようになったこと、さらに気相成長高速堆積膜が可能になったことも大きな成果で、従来のスパッタや蒸着が不得意とする分野へのこの成膜法の発展が期待できる。
注)ppm:百万分の1(濃度の単位)
(新技術)
<開発目標>
・プラズマスプレーでの気相成膜技術を使いナノ粒子膜を形成
・ナノ粒子膜で高感度化し1ppm以下へ対応できる環境センサーを開発
具体的な成果
開発したプラズマ成膜機構、制御技術などを使い、ナノ粒子成膜によるセンサー素子を製品化した。以下の特徴を有する。
・金属酸化物半導体式環境センサー
‐センサー素子膜構造:1×1.5mm
‐特性:VOC感度1ppm抵抗比(ガス/空気)7以上
‐材料合成:プラズマ内にて触媒等の同時ドーピング
‐プラズマスプレー用電極4インチ基板:9,000以上素子集積可能
・誘導熱プラズマスプレー技術
‐成膜機構:冷却機能付き回転&X軸ステージ機構
知財出願や広報活動等の状況
特許出願数:1件、論文数:3件
実用化・事業化の状況
今後の実用化・事業化の見通し
・VOC計測器や分析機用のセンサー素子としてユーザーより一次評価を受けた。さらなる高感度品として市場に出したいとのことで性能アップを目指している。
・換気扇や自動車などの空気質コントローラ用センサー素子としては、長期耐久性を確認してから、市場に出す予定
実用化・事業化にあたっての課題
環境センサーとしては空気質モニターの数量が見込める分野への適用を目指したい。そのためには寿命や耐環境性能の向上及び評価が必要。
さらに本事業で可能となった高速での気相成長膜を広く普及させるため、例えば二次電池や太陽電池などの電極などとして各種材料での電気的特性を確認していく。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | ウチヤ・サーモスタット株式会社 |
---|---|
事業管理機関 | 特定非営利活動法人JRCM産学金連携センター |
研究等実施機関 | 日本電子株式会社 国立大学法人東京大学 新コスモス電機株式会社 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | ウチヤ・サーモスタット株式会社 |
---|---|
本社所在地 | 〒341-0037 埼玉県三郷市高州4-22-1 |
研究開発された技術を探す