接合・実装
様々なアナログ情報をデジタル回路で補正し、様々な機械・機器の性能向上に貢献
宮城県
匠ソリューションズ株式会社
2020年5月11日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高信頼性デジタルアシストADコンバータの研究開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 医療・健康・介護、ロボット、産業機械、スマート家電、半導体、エレクトロニクス、光学機器 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高性能化(精度向上)、高性能化(処理性能の向上)、低コスト化 |
キーワード | FFT、デジタルアシスト、ADコンバーター、タイムインターリーブ |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成22年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
半導体の微細化技術が進むにつれ、デジタル信号高速処理が可能になった反面、センサ等に用いられるアナログ回路の安定した電気的特性を得ることが困難な状況になっている。本研究は、アナログ回路の電気的特性を補完する為にデジタルアシスト回路で電気的特性の解析・補正、異常状態判定を行い、情報処理の高速化(200MSPS)、小型化(5MM2)、省電力化(10MW)を満たす普及型の高信頼性ADコンバータを開発する
開発した技術のポイント
旧来の方式である逐次比較方式のメリットを活かし、ADコンバータの小型化・高性能化を実現
・情報処理の高速化→200MSPS以上
・小型化→5mm2以下
・消費電力量→10mw以下
(新技術)
逐次比較方式を並列させたADコンバータ
・逐次比較方式のADコンバータ複数個を並列動作させる
(特徴)
・高速での情報処理が可能
・小型サイズ(5mm2以下)
・低消費電力量
・半導体の微細化が容易
・自己診断可能
具体的な成果
・ADコンバータの実装要素技術を開発
‐現状のFFTの処理が、Ch0をリファレンスとした4個のADコンバータに対して、Ch0とCh1、Ch0とCh2、Ch0とCh3の2本の信号の合成波に対して計3回のFFTが必要となる課題に対し、Ch0からCh3の4本の合成波により一回のFFTで実現する手法を確立
‐あわせてキャリブレーション実施時のゲイン誤差、オフセット誤差、Phase Skewの評価方法を見直し、FFTの計算量を削減
‐これにより、従来のキャリブレーション時間(5ミリ秒)から2ミリ秒以下に短縮することに成功
‐デジタルアシストの回路規模を最適化し、ADコンバータの面積を4.8mm2、消費電力を9.98mWに抑えることに成功
・自己診断機能の搭載
‐アナログ回路およびデジタル回路の自己診断テストを行うため、LSI内部にテストパターンを自動発生する回路とその出力を解析する回路(BIST:Built-In Self Test)を内蔵
‐BIST回路によって自動発生したテストパターンの補正や自己診断された結果を元に外部診断結果を通知する回路(BOST:Built-Out Self Test)を組み込み
・性能・信頼性の向上
‐Phase Skewを10ピコ秒以下に抑える技術を研究開発し、アナログ回路の誤動作を防止し、システムに影響が出ない範囲まで誤差を削減
‐自己診断機能の制御技術としてLSI外部からの制御によりBIST回路を起動する仕組みを開発し、より安全性の高いデジタルアシストADコンバータを実現
知財出願や広報活動等の状況
・特許化:アナログ・ディジタル変換装置(出願番号:特願2010-147837)
・特許化:アナログBIST回路および電子システム(出願番号:特願2009-158291)
研究開発成果の利用シーン
自社製品の生体認証システム(掌紋画像から本人の識別を行う)は非接触での認証が可能であるため、病院や介護施設などでの接触感染を防止する入退場システムに応用できる。また、スポーツジムやマンションなど、他人が触れたものに触れることを嫌われる傾向にある施設での入退館セキュリティシステムで利用できる。
各種センサー(レーザー測距、電流、画像、その他)への応用では、製造現場などでの、高度な製造設備の制御や自動検査に利用できる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
自社製品の生体認証システム(掌紋画像から本人の識別を行う)に本研究開発の要素技術を取り入れて販売中。各種センサー(レーザー測距、電流、画像、その他)の性能を向上させるため、本研究開発の要素技術を取り入れている。
提携可能な製品・サービス内容
設計・製作、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
IoTの需要に伴いセンサーの高精度化、システム化(アナログ信号からデジタル信号へ変換し、ソフトウェア制御による見える化の推進)の要求が高まっている。本研究開発によって得られたFFTを用いたデジタルアシスト技術は、アナログ信号をデジタル信号に変換する際の劣化やノイズを低減させ、用途に応じて、特徴点抽出やAI化を実現させることができるため、非常に重要性が高い技術である。
今後の実用化・事業化の見通し
当社では、画像認識、画像認証をはじめ各種センサーを用いたIoTセンサーシステムの製品化および受託開発を行っている。
今後、本技術を取り入れた掌紋認証システムの拡販、および、当社IoT製品の製造工場向けワイヤレス温度計測システムのAI化に取り入れて市場規模の拡大を狙う。
実用化・事業化にあたっての課題
サーポート技術者のリソース不足、製造工場のマーケティング、海外展開のノウハウ不足(各種認証の取得)
事業化に向けた提携や連携の希望
現在、みやぎ産業振興機構様よりビジネスマッチングの支援は受けています。海外展開の要望が増えて来たため、輸出に関する手続きや申請に支援を頂きたい。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 匠ソリューションズ株式会社 |
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事業管理機関 | 公益財団法人みやぎ産業振興機構 |
研究等実施機関 | 国立大学法人東北大学 |
アドバイザー | 国立大学法人東北大学 青木 孝文教授 株式会社富士通研究所 土屋 真平 様 富士通マイクロソリューションズ株式会社 助村 隆郎様 |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 匠ソリューションズ株式会社(法人番号:2370001015347) |
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事業内容 | 第三者検証(デジタル・アナログ)、プロトタイプ開発、Digital Assist IP販売(アナログ特性補正回路)、ASIC・FPGA設計・検証業務、PCB設計・検証(治具・試作・量産) |
社員数 | 41 名 |
本社所在地 | 〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町1-12-12 GMビルディング2F |
ホームページ | http://www.takumi-solutions.com |
連絡先窓口 | Solution Section 執行役員安藤弘一 |
メールアドレス | k_ando@takumi-solutions.com |
電話番号 | 022-342-1888 |
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