文字サイズ
標準
色の変更

研究開発された技術紹介

  1. トップ
  2. 研究開発技術検索
  3. 川下製造業者の課題やニーズに応える蓄電デバイスの高性能化に資するアルミ・銅ハイブリッドバスバーの開発

接合・実装

川下製造業者の課題やニーズに応える蓄電デバイスの高性能化に資するアルミ・銅ハイブリッドバスバーの開発

大阪府

冨士端子工業株式会社

2025年1月30日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 蓄電デバイスの高性能化に資するアルミ・銅 ハイブリッドバスバーの開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 自動車、電池、エレクトロニクス
産業分野でのニーズ対応 高性能化(小型化・軽量化)、低コスト化
キーワード アルミ・銅ハイブリッドバスバー
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 令和2年度~令和4年度

プロジェクトの詳細

事業概要

リチウムイオン電池ではアルミニウムが正極、銅が負極として利用される。しかし、これらを直接接合すると化合物相が生成し良好な接合部が得られない。そのため、現状では重く抵抗率の高いニッケル製バスバーを使用する。この問題を解決するためアルミニウムと銅の直接接合による軽量かつ低抵抗のハイブリッドバスバーの開発に取り組む。

開発した技術のポイント

・接合部でアルミと銅が混合されない異種金属接合技術を開発した。
・電気抵抗値が小さいアルミ・銅突合せ接合部を形成した。
・アルミ、銅突合せ接合材は、圧延加工が可能で、板厚1mm以下のバイメタルシート作製可能となった。
・アルミ・銅突合せ接合材は、圧延後の焼鈍処理により、両材料の硬さの調整が可能となった。

具体的な成果

・アルミ・銅突合せ接合技術の確立
-厚さ2 mm、1 mm、0.5 mmのアルミニウムと銅の突合せ接合に成功し、接合強度80 MPa以上とAl硬さ60 HV以下という目標を達成。
・アルミ・銅重ね接合技術の確立
-厚さ1.5 mmと1.0 mmのアルミニウムと銅の重ね接合において、引張せん断荷重1.5 mmで1200 N/mm以上、1.0 mmで800 N/mm以上を達成。
・異厚接合技術の開発
-アルミ3 mmと銅1 mmの突合せ接合で、接合強度80 MPa以上、Al硬さ60 HV以下を達成。
・ロールtoロール式非混合突合せ接合技術の確立
-アルミと銅の突合せで、引張強さ80 MPa以上と200 mm/min以上の送り速度を実現。
・冷間加工による機械的特性の向上
-アルミと銅の突合せ接合後の冷間圧延により、引張強さ100 MPa以上を達成。
・ハイブリッドバスバーの耐振動特性評価
-応力振幅98 MPaでの振動試験において、107回以上のサイクル数で破壊なし。

研究開発成果の利用シーン

軽量で低抵抗、低コストのアルミニウム・銅バイメタルバスバーの開発は、バッテリーモジュールの電気抵抗を減少させ、バッテリー性能の向上を実現する可能性がある。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

本技術は期待値が高く、多くのパートナー(例: 中西金属工業株式会社)を獲得し、多様な情報が収集されているが、事業化に向けては量産技術の確立が課題であり、特に自動車分野への展開においては、現時点での生産能力が量産に対応しきれていない状況である。

提携可能な製品・サービス内容

製品製造、技術コンサルティング

製品・サービスのPRポイント

・アルミニウム・銅バイメタルバスバーは、ニッケル製バスバーに代わる軽量で低抵抗値、低コストの新素材であり、バッテリー性能を向上させる。
・化合物相の生成による脆弱性の問題を克服し、接合強度とアルミニウムの硬さを達成した。

今後の実用化・事業化の見通し

今後の実用化に向けて、量産体制の整備が重要なステップとなる。現状では生産能力が課題であり、外部生産委託先を探す必要がある。また、サンプルの評価や購入の出口が見え始めており、エンドユーザーとの接触が進んでいるため、EV社会に向けたバスバーの需要拡大が期待される。

実用化・事業化にあたっての課題

・耐食性の問題が依然として残っており、特に塩水噴霧試験での破壊が観察されている。このため、錫めっき方法の改良が必要。
・生産能力が量産に対応しきれておらず、設備の導入や生産ラインの改善が求められている。冨士端子工業の単独対応には限界があり、外部との協力が必要となる。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 冨士端子工業株式会社
事業管理機関 冨士端子工業株式会社
研究等実施機関 地方独立行政法人大阪産業技術研究所

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 冨士端子工業株式会社(法人番号:5120001058104)
事業内容 圧着端子・電流ヒューズ・温度ヒューズおよび関連製品の製造販売
社員数 120 名
生産拠点 作東工場、作東第二工場
本社所在地 〒550-0005 大阪府大阪市西区西本町3丁目1番44号
ホームページ https://www.fujiterminal.co.jp/
連絡先窓口 技術部 京田猛
メールアドレス kyouda@fujiterminal.co.jp
電話番号 06-4391-2771