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接合・実装

各種機器の小型化と高性能化を可能とする、微細回路の印刷技術の開発

京都府

中沼アートスクリーン株式会社

2020年3月19日更新

プロジェクトの基本情報

プロジェクト名 サブ10μm線幅電子回路印刷技術の開発
基盤技術分野 接合・実装
対象となる産業分野 医療・健康・介護、環境・エネルギー、スマート家電、電池、半導体、エレクトロニクス、印刷・情報記録、光学機器
産業分野でのニーズ対応 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(耐久性向上)、高性能化(精度向上)、高性能化(微細化)、環境配慮、低コスト化、デザイン性・意匠性の向上
キーワード スクリーン印刷、ポジ型レジスト、常温露光・現像・硬化、微細配線、高精細印刷
事業化状況 実用化に成功し事業化に向けて取り組み中
事業実施年度 平成22年度~平成23年度

プロジェクトの詳細

事業概要

先の地域新生コンソーシアム研究開発事業(H18~H19年度)および補完研究で開発に成功した、線幅10μmの解像性を有するスクリーン版の試作品を実用レベルに発展させるため、SUSスクリーンとの密着性に優れ、印刷時にクラックが発生せず、耐久性に優れたポジ型レジストを開発し、実用に供する事ができるスクリーン版を開発する。さらに、解像性が10μm以下の超高精度スクリーン版の開発を目指す

開発した技術のポイント

・2005年度版ロードマップ(半導体)におけるクラスB、クラスCの導体幅を目標とする
-最少導体幅・導体間隔:従来のスクリーン印刷で20~30µm→5~7µmに
-アスペクト比:0.5以上

(新技術)
(新規開発するスクリーン版)
・高感度な感光性樹脂
・高強度な感光性樹脂パターン
・クラック発生をしない樹脂パターン
・スクリーンからの剥離がない樹脂パターン
・解像性5~7μm達成

具体的な成果

・高感度・高解像性・高強度なポジ型レジストの開発
-高解像スクリーン版作製のため、化学増幅型アクリル系ポジ型レジストをベースとした樹脂を開発
-既存の汎用光ラジカル発生剤とは異なり、365nm光を全く吸収しないが、254nmのみを吸収してラジカルを発生させる新規の光ラジカル発生剤を開発。後露光時の光反応を効率よく進行させることが期待できる
-ウレタンアクリレートと汎用多官能アクリレートの組み合わせが、架橋剤として最適であり、多官能チオールを共架橋剤として使用することにより、レジスト高度の調整・感度向上が可能であることを見出した
-高感度特性を維持しつつ、ライン/スペース=6µm/6µmでアスペクト比1.3の解像特性を達成
・SUSスクリーン上でのレジストパターン形成
-直径13µmのステンレス繊維で作製した590メッシュのSUSスクリーン上に開発したポジ型レジストを塗布したものに、2回の光照射を行い架橋・硬化するというパターン形成法を確立
-フォトマスクに対する製版後の寸法変動が20µm/200mmのスクリーン版を作製することに成功
・スクリーン版による導電ペーストの回路印刷
-ライン/スペース=6µm/6µmのスクリーン版を用いて、銀の導電ペーストをポリイミドフィルム上に印刷し、ライン/スペース=6µm/6µm、アスペクト比0.3の導電ペーストの回路印刷を実現

知財出願や広報活動等の状況

・新聞:化学工業日報(H23.9)
・雑誌:ElectRonicJouRnal別冊「2012プリンタブルエレクトロニクス」
・論文:m.ShiRai他、「High‐resolutionresistforscreenprinting:Applicationtodirectfabricationofagcircuit」(H24.6)
・出展:SMT Hybrid Packaging(H24.5)
・書籍:「プリンテッド・エレクトロニクスに向けた 材料、プロセス技術の開発と最新事例」、技術情報協会(H29.10)
・セミナー:技術情報協会講習会 『スクリーン印刷条件のプロセス最適化とトラブル対策』(R1.8)

研究開発成果の利用シーン

開発した解像性が10μm以下の超高精度スクリーン版技術により、フォトリソで製造されるような製品(配線パターンなど)の製造コストを、工程の短縮や材料の削減といった点で、大幅に下げることができる。また既存の製品、例えばタッチパネルのグリッドパターンなどをさらに微細化して目立たなくしたり、今までの配線パターンではスペースが必要であったものを微細化できるため、集積度を上げることができる。配線パターンの微細化や高集積化といったシーンでの利活用が可能である。
そのほか、開発したレジスト単体でも驚くべき性質があり、半導体分野や様々な研究活動・シーンでの利活用が可能である。開発したレジスト驚くべき性質とは、ポジ型レジストでありながら、波長の異なる光を使うことで全て室温条件下で露光・現像・硬化が可能である。加熱による寸法精度の低下を嫌う用途に最適である。ご存知の通り、このようなポジ型レジストは上市されていない。バイオ系や光学系など、利用者のアイデア次第で無限の可能性が広がるポジ型レジストも提供できる。

実用化・事業化の状況

事業化状況の詳細

・H24年度に実用化に成功
・サンプルあり(評価用サンプルスクリーン版の提供が可能)

提携可能な製品・サービス内容

加工・組立・処理、製品製造、共同研究・共同開発

製品・サービスのPRポイント

・微細化→サブ10µmスクリーン印刷版の開発で従来できなかったスクリーン印刷での極細線回路形成が可能となる
・省エネルギー化→サブ10µmスクリーン印刷版は回路形成におけるフォトリソ法をスクリーン印刷法に転換できる
・低コスト化→回路形成においてフォトリソ法をスクリーン印刷法に転換することで数分の一に低コスト化できる
・高寸法化→開発したポジ型レジストは全ての工程(露光・現像・硬化)を室温で行い、最終的なパターンを作ることが可能であり、高寸法精度が求められる分野で活用することができる。

今後の実用化・事業化の見通し

・事業化に向け、試作品の評価を継続中
-サポイン事業終了後は川下企業に試作サンプルを提供しており、評価を受けているところである
-研究開発については、試作品の印刷適応性、耐久性の確認・評価を行っている
-今後の事業化に向けて、現在試作ラインを検討している

実用化・事業化にあたっての課題

大型スクリーン版を作製するためには、大幅な設備投資が必要なため、パートナー企業が見つけられるかどうかが課題である。

事業化に向けた提携や連携の希望

お客様の要望次第であるが、現在の試作ラインでは露光面積が狭いため大型のスクリーン版は作製できない。提携や連携が可能であれば、設備投資が可能な企業・団体様と提携・連携させていただきたい。

プロジェクトの実施体制

主たる研究等実施機関 中沼アートスクリーン株式会社 本社・技術部技術開発室
事業管理機関 公立大学法人大阪(大阪府立大学)
研究等実施機関 公立大学法人大阪(大阪府立大学)

主たる研究等実施機関 企業情報

企業名 中沼アートスクリーン株式会社(法人番号:1130001001504)
事業内容 スクリーンマスク、メタルマスク、フォトマスク、スクリーン印刷、スクリーン印刷用諸資材、スクリーン印刷関連機械販売
社員数 130 名
生産拠点 京都
本社所在地 〒616-8082 京都府京都市右京区太秦安井奥畑町23
ホームページ http://www.nakanuma.co.jp
連絡先窓口 技術部技術開発室室長長田英也
メールアドレス h_nagata@nakanuma.co.jp
電話番号 075-811-0440