接合・実装
超短パルスレーザと高出力ファイバーレーザによるCFRP複合材料を加工する技術の開発
愛知県
株式会社最新レーザ技術研究センター
2021年2月19日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | CFRP複合材料部材の新レーザ溶接技術の開発 |
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基盤技術分野 | 接合・実装 |
対象となる産業分野 | 環境・エネルギー、航空・宇宙、自動車、ロボット、産業機械、電池、工作機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(工程短縮)、高効率化(生産性増加)、環境配慮、低コスト化 |
キーワード | CFRP、レーザ加工、軽量化 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成21年度~平成23年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
航空機及び自動車産業の課題である構造パネル等の軽量高強度に対し、炭素繊維強化複合材料製品が採用されている。この材料に対する低コスト、高精度の切断・穴あけ加工、溶接技術は開発途上である。そこで、超短パルスレーザ及び高出力ファイバーレーザを利用し、開先加工、トリミング加工、穴あけ、モザイク継手の溶接技術等の精密加工を達成し、製品となる3次元部材への加工を実現するための加工治具とその制御システムを開発する
開発した技術のポイント
超短パルスレーザと高出力ファイバーレーザを利用したCFRP加工法の確立
・複雑形状の開先加工に係る切断幅→0.1mm以下
・レーザ切断速度→ 5m/min以上(板厚:3.0mmに対して) 、高速スキャナーを用いて可能・切断加工精度→±0.01mm以内
(新技術)
<高出力シングルモードファイバーレーザと高速スキャナーを活用した新レーザ加工法>
特徴
・光学系の摩耗がなく、高精度を保持
・フレキシブルな加工が可能
・突合せ溶接が可能
・加工速度高速化によりコスト低減
具体的な成果
CFRP部材の開先加工において、切断幅0.06mm、レーザ切断速度2m/min、切断加工精度±0.01mmを達成
・3次元駆動治具により、10mm以上の厚板の開先加工、微細切断(トリミング)及び穴あけ技術を開発
・加工速度向上のため、レーザアブレーション加工を研究し、さらにレーザ加工時に発生するプラズマの除去について検討
・複雑形状の開先加工に係る切断幅は0.06mmに、レーザ切断速度は2m/minに、切断加工精度は±0.01mmとなり、目標を達成
CFRP部材を溶接し、溶接継手の強度向上を実現
・CFRP材料同士のレーザ溶接としてモザイク状突合せ継手を開発した
・CFRP平板モザイク溶接継手の引張試験を行い、モザイク継手形状との関係を調べた。その結果、モザイク継手形状の改良により最大荷重が上昇することを確認
・選定された形状を持つCFRPモザイク継手+合わせ板試験片の引張強度を測定。母材強度比80%を達成
CFRP部材のレーザ加工法による製品製作を実施
・ホットプレス装置を使用し、リチウム電池ケースを製作
・レーザを用いて切断、穴あけ加工することにより、所定の形状に加工できた
航空機スキンパネルの窓のレーザトリミング加工
~航空機用大型パネルの穴加工を実施。加工面粗度、精度、欠陥等を機械加工と比較し、精密加工にはレーザ加工が優位であることを確認~
知財出願や広報活動等の状況
・新聞:中日新聞(H23.10.19)、中部経済新聞(H23.7.21、H24.10.24)など
・受賞:東海地区信用金庫金庫協会ビジネスフェア最優秀賞
・特許:「繊維強化複合材料のレーザ加工方法」(特許第4734437)、「繊維強化複合材料のレーザ溶接方法」(特願2010-210422)など
研究開発成果の利用シーン
自動車の外販パネルのレーザ加工が高速スキャナー(毎秒14m)を用いることで、熱影響部の幅を約50ミクロンにしてトリミングなどが可能になった。板厚も4.0mmくらいのものを毎分約5mで切断できる技術が開発できた。レーザ切断を利用したモザイク突合せ継手も接合強度400MPaで可能である。将来のEV車の軽量化に大きく貢献できると思われる。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・実用化に成功、H25年度の事業化見込み
・サンプル材料を提供することで、レーザ加工受託可能(有償)
提携可能な製品・サービス内容
加工・組立・処理、素材・部品製造、共同研究・共同開発
製品・サービスのPRポイント
・軽量化→従来の金属製のものに比べ、その重量を2分の1~4分の1に軽量化可能
・精度向上→従来のダイヤモンド工具による加工やウオータージェット切断に比べ、高い加工精度を実現
・歩留まり向上→レーザのスポット径は約30~45ミクロンと微細であり、かつ加工溝幅が約50ミクロンと狭いため、歩留まりの向上 に寄与
さらに、企業化の研究を進めた結果、 3mm厚さのCFRP部材を 5m/min以上の高速で切断が可能なった。
今後の実用化・事業化の見通し
高速加工を実現するための改良・詳細検討を実施、R2年度にCFRP加工用レーザ加工装置の第1号機を市販する予定
・CFRPのレーザ加工(レーザトリミング、レーザ穴あけ、モザイク継手のレーザ開先加工など)に成功したが、厚板部材についての加工速度をさらに実用的にするため、改良を検討中
・現在、試作品の一部の性能試験を実施するとともに、高速加工を実現するための解決策としてレーザ装置の高出力化、加工光学系の詳細検討を実施中
・現在、CFRP加工用レーザ加工装置の試作を進めており、R2年度に第1号機を市販する 予定
実用化・事業化にあたっての課題
事業化はまず自動車産業や機械産業用のCFRP部材(板厚5mm以下)の切断、トリミング用のレーザ加工装置の市販を予定。R2年度内に1号機を市販したい。、
事業化に向けた提携や連携の希望
事業化に向けて、ファイバーレーザメーカーや3Dデジタルスキャナーメーカーなどと連携して、装置化を早急に進める予定である。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 株式会社最新レーザ技術研究センター |
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事業管理機関 | 公益財団法人名古屋産業科学研究所 |
研究等実施機関 | 株式会社齋藤工業 福井ファイバーテック株式会社 株式会社童夢カーボンマジック 今井航空機器工業株式会社 国立大学法人名古屋大学 学校法人大同学園大同大学 あいち産業科学技術総合センター |
アドバイザー | 近藤靖彦(中部航空宇宙技術センター)、関戸俊英(東レ)、山口泰弘(KYC-Japan) |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 株式会社最新レーザ技術研究センター(法人番号:1827-01-008841) |
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事業内容 | 最新のレーザ加工技術および溶接技術の研究・開発、委託研究、受託加工の実施、人材育成事業、 |
社員数 | 5 名 |
生産拠点 | 愛知県安城市安城町広美40-7 |
本社所在地 | 〒446-0026 愛知県安城市安城町広美40-7 |
ホームページ | http://altrec.la.coocan.jp |
連絡先窓口 | 代表取締役 沓名宗春 |
メールアドレス | altrec-kutsuna@nifty.com |
電話番号 | 0566-91-2281 |
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