立体造形
低圧鋳造手法と流動シミュレータにより砂型アルミ鋳物部品の高品質・低コスト化を実現
東京都
北陸軽金属工業株式会社
2020年4月24日更新
プロジェクトの基本情報
プロジェクト名 | 高品質高効率な多品種少量生産に向けた砂型低圧鋳造技術の開発 |
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基盤技術分野 | 立体造形 |
対象となる産業分野 | 自動車、産業機械 |
産業分野でのニーズ対応 | 高性能化(既存機能の性能向上)、高性能化(小型化・軽量化)、高効率化(同じ生産量に対するリソースの削減)、高効率化(工程短縮)、低コスト化 |
キーワード | 砂型低圧鋳造、砂積層3Dプリンター、試作開発鋳造部品、少中量砂型量産部品 |
事業化状況 | 事業化に成功し継続的な取引が続いている |
事業実施年度 | 平成20年度~平成21年度 |
プロジェクトの詳細
事業概要
自動車産業では、環境、エネルギー問題への対応から、軽量化や新しい構造をもつ電気自動車、燃料電池車へのシフトと低コスト化のニーズが高い。これらの要請に対応するため、薄肉化、複雑形状化一体成形化、短納期化等、鋳造技術を高度化する事が急務となっている。本事業では、湯流れ、凝固収縮、構造解析の導入により、従来経験値に頼ってきた鋳造プロセスを最適化、短時間化し、競争力と提案力の強化を図る
開発した技術のポイント
アルミ鋳物部品の低圧鋳造手法及び鋳造シミュレーション技術の確立
・鋳造シミュレータ群の整備、シュミレーション適用ガイドラインの策定
→10日以内に3ケースの計算(2相流解析)
・砂型アルミ鋳物部品の軽量化
→平均肉厚2mm以下、製品肉厚寸法公差:平均±0.35mm、鋳造歩留率は95%以上
(新技術)
・軽量化・薄肉化・複雑形状化鍛造部品の製作
‐裏付けされた方案設定
‐最適方案の短時間生成
‐熟練者の経験をDB化
‐TRY鍛造の削減
・鍛造シミュレーションソフトウェア
‐安価で砂型低圧鍛造にあわせた最適化が可能
‐短時間の解析を特徴とする新開発技術の活用により、鍛造技術向上と顧客要求に対応可能な鍛造部品の製作が可能
具体的な成果
・熱流体シミュレータの2相流解析機能を追加
‐三次元熱流体シミュレータを基に、気液2相流の解析機能を開発・追加
‐鋳造方案の検討に利用し、方案形状の違いによる流動の相違を確認し、方案設計検討に利用できることを確認
‐計算時間は1ケースあたり3日以内(目標達成)
・鋳造シミュレータ群の整備
‐有限要素法に基づいた凝固シミュレータを、流動解析に用いるためのデータ変換の方法について検討
‐湯流れシミュレーションを実施するための解析モデル作成に向け、解析モデル作成ソフトウェアV-Xgenを基に、方案検討のためのポリゴン編集機能を追加
・湯廻り性95%、鋳造歩留り率90%の薄肉・複雑形状化鋳造部品を作成
‐砂型アルミ鋳造部品を対象とした流動、凝固、収縮、構造解析の各シミュレーションソフトウエアの開発に向けて、薄肉・複雑形状化鋳造部品の試験鋳造を実施し、データを計測
‐試験鋳造の結果、湯廻り性は95%、鋳造歩留り率は約90%、製品肉厚寸法公差は平均±0.4mm
‐局部的な複雑形状化鋳造品の試験鋳造も実施した結果、約95%以上の湯廻り性と鋳造歩留り率を達成 鋳造シュミレーターの開発に関しては、費用及び技術者等の関係により最終的な開発完成には至らず断念とした。
知財出願や広報活動等の状況
出展:新エネルギー業界向け量産試作加工技術展(H23.3)、東京国際航空宇宙産業展(H23.10)
研究開発成果の利用シーン
砂型アルミ鋳物部品の生産において、砂型低圧鋳造技術を活用することにより、内燃機系エンジン部品では内部品質の高い鋳物部品生産が可能となっている。また、EV車開発向けモーターケースなどについては、複雑な冷却回路などの成型と合わせ高品質な鋳物部品の供給が可能となっている。また、一般的な木型による砂型鋳型成型に代わり、砂積層3Dプリンターによる砂型鋳型成型手法も取り入れ、大幅な工程短縮も可能である。
実用化・事業化の状況
事業化状況の詳細
・平成21年末事業化に成功(砂型低圧鋳造手法については事業化しているが、鋳造シュミレーター開発については断念している)
・砂型低圧鋳造の技術開発については定常的な受注品に対して適用し、自動車試作車両開発向け部品(内燃機・EV車部品)などに対応している。
提携可能な製品・サービス内容
製品製造
製品・サービスのPRポイント
・精度向上:従来は肉厚2.5mmで寸法精度が±0.5mm→肉厚2mmで寸法精度±0.4mm
・複雑形状化:リブ形状間2mm以下、φ15mmのピン形状等の複雑形状一体成形
・歩留まり向上:薄肉鋳造品の歩留り率90%以上、複雑形状化一体成形品95%以上
※精度向上に関しては、従来肉厚2.5mm寸法精度±0.5mmから肉厚2mmで寸法精度±0.4mmの効果が得られているが、本仕様は特定する部品群への適用であり、一般的な肉厚は2.mm~3mmで、寸法精度は±0.5mmの状況である。
今後の実用化・事業化の見通し
研究を継続しつつ、砂型鋳造品の販売促進を図る
・薄肉化鋳造品に対する寸法公差(目標±0.35mm)と鋳造歩留り率向上について継続研究中
・一部顧客より受注を得ている鋳造品もあり、開発と受注品とを含め継続的に補完研究を実施中
・鋳造シミュレーションについては、改良と改善を含む補完研究開発を継続中
・砂型鋳造品の薄肉化並びに複雑形状化については、既に受注実績もあり、今後も自動車研究開発部門への販売促進を図る
※鋳造シミュレーションソフトウエア開発に関しては、費用並びに適用人材の確保などが困難であることにより開発を断念している。然しながら、砂型低圧鋳造技術の向上及び他砂型鋳造品の生産に当り、市販の鋳造シミュレーションソフトウエア導入により鋳造技術向上に活用をしている状況。また、今後は試作開発車両部品以外に、少中量な砂型量産の可能な生産体制構築も図っている。
プロジェクトの実施体制
主たる研究等実施機関 | 北陸軽金属工業株式会社 埼玉工場 |
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事業管理機関 | 北陸軽金属工業株式会社 埼玉工場 |
研究等実施機関 | 株式会社アドバンストアルゴリズム&システムズ 国立研究開発法人理化学研究所 埼玉県産業技術総合センター |
参考情報
主たる研究等実施機関 企業情報
企業名 | 北陸軽金属工業株式会社(法人番号:0114-01-005777) |
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事業内容 | 砂型アルミ鋳造品の製造、木型製作、精密機械加工を含む一貫生産 |
社員数 | 127 名 |
生産拠点 | 北陸軽金属工業株式会社埼玉工場(埼玉県)、海外(タイ)Hokuriku |
本社所在地 | 〒174-0052 東京都板橋区蓮沼町79-8 |
ホームページ | http://hokurikukeikinzoku.co.jp/ |
連絡先窓口 | 経営企画室経営企画室長 古川潤一 |
メールアドレス | j-furukawa@hokurikukeikinzoku.co.jp |
電話番号 | 048-582-2880 |
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